これだけは知ってほしい。2018年、世界で起きたこと

    色々な出来事が起こった2018年。BuzzFeed Newsが報じたワールドニュースから15のトピックを厳選しました。

    1.トランプ大統領に浮上したロシア疑惑。特別検察官に元FBI長官のロバート・モラー氏が就任し捜査を実施。

    BuzzFeed Newsはロシア疑惑に関して、トランプ陣営とロシア当局をつないだ存在として浮上したジョセフ・ミスフド氏のウクライナ人の婚約者、アンナを取材。突如、勤務していたイタリアの大学から姿を消したミスフド氏に関する情報を入手した。

    また、トランプ陣営の中心人物で外交政策顧問を務めていたジョージ・パパドポロス氏とギリシャの防衛相の密会も報じた。このギリシャの防衛相とロシアのプーチン大統領は非常に親しい関係にあることで知られていた。

    モラー氏による捜査の行く手には暗雲が立ち込めている。11月6日の中間選挙の投票が締め切られたのちに発表された司法長官解任。これまで司法長官を務めていたセッションズ氏はモラー氏の捜査を静観していたが、新しく司法長官に任命されたホワイテカー氏は特別検察官の捜査に否定的な立場をとっている。


    2.社会はFacebookに対して、ヘイトスピーチを拡散するアカウントへの責任ある対応を求める。

    スリランカでは、民族独立を志向するアカウントが暴力へ人々を駆り立てることが長年問題視されてきた。政府や一部の市民はこれまでFacebookに対して何らかの対応を求めてきていたが、そうした声がなかったことにされていたことが明らかとなっている

    ミャンマーで明らかになったのはヘイトスピーチ対応で後手に回り、イスラム系少数派のロヒンギャの人々に対しての暴力的な言動が放置されている実態だ。

    国連はミャンマー政府のロヒンギャの人々への対応を「ジェノサイド(大虐殺)」と呼び、批判している。Facebookは20の団体と個人のアカウントを凍結したが、こうした対策がなされたアカウントはごく一部であり、あまりに遅いと指摘されている。

    3.中米諸国の人々がアメリカへの入国を目指し、メキシコを横断。このキャラバンの模様は2018年を象徴する1つのニュースに。

    3月、BuzzFeed Newsはアメリカを目指して危険の多いメキシコを横断する中米諸国の人々について報じた

    そしてトランプ大統領のキャラバンを批判するツイートを皮切りに、多くのメディアがこれまで見たことのないこの現象に関心を持ち、彼らのストーリーを報じ始めている。

    こうした移民の動きは、トランプ大統領の移民政策へ数々の疑問を投げかけた。また、アメリカとメキシコの関係性への影響も避けられない。

    アメリカ政府は2018年11月8日、「メキシコと接するアメリカ南部の国境から不法入国した移民は難民資格を申請できない」とするルールを適用。こうした移民政策の転換はネブラスカ州などの小さな町で働くラテン系の人々に対しても打撃を与えている。

    4.移民の問題はヨーロッパでも議論の的に。移民の受け入れを拒む極右政党への支持も一部で強まりつつある。

    ドイツでは反移民感情が高まり、デモが行われる裏で何が起こっているのかを報じた。

    一方、イタリアでは人口減少の続くリアーチェという小さな村が移民を積極的に受け入れる方針を発表し話題を呼んだ。BuzzFeed Newsも市長を務めるドメニコ・ルカーノ氏に話を聞いている

    しかし、その後イタリア内務省はリアーチェに対して受け入れた移民を強制移送することを決定。内務省のトップを務めるマッテオ・サルビーニ氏はイタリアの極右政党「同盟」の党首として知られている。

    5.インドでも#MeTooの動きは決定的なものに。

    6. 次から次へと起きる銃乱射事件。

    スコットランド、ダンブレーンで1996年に起きた銃乱射事件。16人の生徒と1人の教師が命を落としたこの事件の被害者、そして遺族たちは22年の時を経て力強いメッセージを同じく銃乱射事件の被害に遭ったマジョリー・ダグラス・ストーンマンハイスクールの生徒たちに送った

    「変化は必ず起こせます」と彼らは手紙に記した。1996年の痛ましい事件が起きた後、イギリス国内では銃規制への機運が高まった。その結果、ハンドガンが規制され新しい法律が制定されている。それ以後、イギリス国内の学校で銃乱射事件は起きていない。

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    7.世界中で起きているオピオイドをめぐる悲劇。

    BuzzFeed Newsの取材班はナイジェリアで深刻なオピオイド中毒に悩む22歳の男性に出会った

    初めて彼に会ったとき、彼はドラッグ中毒者の収容施設のコンクリートの床に横たわっていた。動くことができないよう、脚が拘束された状態で。

    8.ジンバブエ史上初の大統領選挙が行われた。

    37年もの間、実質的な独裁者だったロバート・ムガベ大統領が政権を掌握していたジンバブエ。そんな国で行われる初めての大統領選はどのように運営されたのだろうか。

    BuzzFeed Newsではそんな選挙の模様を取り上げた。そこで見えてきたのは、独裁政権から脱して新しい一歩を踏み出そうとするジンバブエの人々だった。

    9.アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の歴史的会談が実現

    2018年6月12日でシンガーポールで開催された史上初の米朝首脳会談。両国の首脳はその後、共同声明に署名をした。

    BuzzFeed Newsでは11歳で北朝鮮を抜け出したという25歳の男性へ取材し、北朝鮮での生活がどのようなものだったのか話を聞いている。

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    10.各国首脳と会談し、影響力を発揮したトランプ大統領。

    主要7ヵ国首脳会議(G7)はアメリカが掲げる保護貿易政策をめぐって紛糾。なんとか共同声明の発表までこぎ着けた。そんな中、声明発表直後に「こんなものは認めない」とツイートし波紋を呼んだトランプ大統領。しかし、アメリカ政府はツイートは実効性も持たず、共同声明に則るとBuzzFeed Newsの取材に答えている

    こうした波紋を呼ぶ言動を、トランプ大統領は今も続けている。

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    11.アメリカ・ロシアの2国間で起きた様々な事件。

    7月、ロシア人女性のマリナ・ブティナ氏がアメリカ政府に登録することなくロシアの工作員活動をしていたとして逮捕された。

    BuzzFeed Newsはサウスダコタ州からスタートした彼女のアメリカでの生活、そしてどのようにして保守派との距離を縮めたのかに迫った

    他にもロシア政府が国家的なプロパガンダを行なっているという実態も掴み、ロシア政府が西ヨーロッパ各国に拠点を置くニュースサイトに対して金銭的支援を行なっていることも明らかにしている。こうしたニュースサイトを通じてロシア政府は、クレムリンからプロパガンダを行ってきたと見られている。

    12.メキシコ大統領選挙で変化を求め投票した人々。しかし、その裏で人々の血が流れ続けた。

    新たに大統領に就任したアンドレス・マヌエル・ロペス=オブラドールはドラッグ戦争を血を流すことなく終結させることを目指していた。しかし、選挙の2週間前には113人の政治家が殺される事件が発生するなど、その出だしは必ずしも順風満帆とは言えそうにない。

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    13.サウジアラビアの体制を批判してきたジャーナリスト、ジャマル・カショギ 氏がトルコのサウジアラビア総領事館で殺害された。

    10月2日にトルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館を訪れたのを最後に消息を絶ったジャーナリストのジャマル・カショギ 氏。当初は関与を否定していたサウジアラビア政府だったが、その後「殴り合いにより死亡」したと発表した。

    この件に関与したと見られる18人が拘束され、一部の政府幹部も解任された。

    14.「ブラジルのトランプ」が大統領に就任。

    ブラジルのトランプと話題になったジャイール・ボウソナロ氏。彼の大統領選勝利をインターネットと切り離して語ることはできない

    そして、こうした動きは決して「驚くべき結果」などではない。

    15.シリアの惨状を伝える記事は配信されているが、シェア数は減り続ける。

    シリアの内戦が始まってから7年。今でもその惨状を伝える記事は配信されている。しかし、そのシェア数は年々減少傾向にある。もはや、誰もシリアで起きている悲惨な現実に興味を持っていないのだろうか。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:千葉雄登