トランプ氏のちゃぶ台がえし
共同声明は認めない
トランプ氏は「ジャスティン(=トルドー首相)の会見での間違った発言やカナダが米国の農民や企業に巨額の関税を課していることに鑑み、私は米国の代表団に対し、米国市場に溢れる自動車に関税をかけることも検討しつつ、共同声明を承認しないよう指示した」とツイートした。
G6+1
トランプ氏と、それ以外の6ヵ国の立場が激しく対立し、「G6+1」とまで呼ばれた今回のG7。
同じ場面を収めた写真でも、各国の政府や首脳が発表した構図の微妙な違いを見比べると、その絵柄を選んだ意図が、どことなく浮かんでくる。
ドイツ政府の公式インスタ写真は、トランプ氏に詰め寄る風
これが、安倍首相のインスタでは
カナダ政府の提供写真はほのぼの系
フランス・マクロン大統領から見れば
そしてホワイトハウスは
それぞれの違いの背景は
今回のサミットの焦点は、トランプ政権の掲げる米国産業の保護策をどうするか、というものだった。
「米国第一」を掲げるトランプ氏は、これまでの米国の外交・通商の枠組みを一つ一つ覆してきた。
* 気候変動を防ぐための国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱。
* イランの核開発を防ぐための国際合意からの離脱。
* パレスチナだけでなく欧州各国の猛反対を押し切っての米国大使館のエルサレム移転。マクロン氏、メルケル氏はともにトランプ氏と直談判し、思いとどまらせようとした。
そこに、保護貿易策の打ち出しが加わった。
保護政策に反対する欧州、立ち位置に苦慮する日本、なんとかまとめたいカナダ
米国は6月1日、欧州やカナダ、メキシコに対し、鉄鋼などの高関税を課した。日本や中国にもすでに高率の関税を課している。
国際社会には、一方的な保護措置を禁じる世界貿易機関(WTO)のルールがある。各国が他国からの輸入を制限し、言うことを聞く国や植民地をまとめて自国中心の経済ブロックをつくり、他国のブロックを敵視することで世界大戦に発展してきたという人類史上の反省から生まれた考え方を、ベースにしている。
国と国が互いにビジネスの関係を深めれば、人的な交流と相互理解も強まるし、互いに殺し合う戦争をすることが割に合わなくなる、ということだ。
国際協調は脇に置き、秋の中間選挙を控えて自国の支持層に「米国第一」の姿勢を示して支持を集めようとする米国。
米国を思いとどまらせようとするドイツとフランス。
ジェンダーや環境などリベラルな価値を掲げ、サミット主催国としてまとめ上げようとしながら、名指しで批判され当惑するカナダ。
北朝鮮問題を抱えてトランプ氏をつなぎ止める必要がある一方、欧州と同様に高関税に反発し、欧州と米国をなんとか仲立ちしようとする日本。
その立ち位置の違いが、各国が公表した写真からは浮かんでくる。