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平成最後の流行語に選ばれた「#MeToo」。平成最初は「セクハラ」だった

平成も間もなく終わりを迎える。社会は変わったのだろうか。

Saori Ibuki / BuzzFeed

今年最も話題になった言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」が12月3日、発表された

“平成最後”の流行語大賞となった今回、トップテンの一つに、セクハラや性暴力被害に対して当事者が声をあげ、連帯する運動「#MeToo」が選ばれた。

奇しくも今から29年前、1989年に贈られた“平成最初”の流行語大賞で、新語部門・金賞に選ばれた言葉は「セクシャル・ハラスメント」だった。

「セクハラ」が流行語になった年

時事通信

福岡セクハラ訴訟で記者会見を開いた弁護団

それまで、日本で広く知られていなかった「セクハラ」という言葉が、流行語になるほど注目を集めた理由は、大きく二つある。

1989年9月に判決が出た「西船橋駅転落事件」と、同年8月に提起され、日本で初めてセクハラ被害をめぐって争った民事裁判「福岡セクハラ訴訟」だ。

西船橋駅転落事件とは、総武線西船橋駅のホームで、酔ってしつこく絡んできた男性の体を女性が押し返した結果、男性が線路に転落し死亡した事件。

判決では、死亡した男性には「抜き難い“女性軽視“の発想」があることが指摘され、正当防衛だったという女性側の主張が認められた。

福岡セクハラ訴訟の弁護人を務めた角田由紀子弁護士は著書「性と法律」で、「この言葉(セクハラ)によって、この(西船橋駅転落)事件の本質ーー男性が女性を性的に侮辱し、身体的・精神的な暴力を振るうことは許されないということーーが鮮明になった」と記している。

Saori Ibuki / BuzzFeed

福岡セクハラ訴訟の弁護人を務めた角田由紀子弁護士

一方、福岡セクハラ訴訟は、福岡の出版社に勤めていた女性が、男性編集長から「男遊びが激しい」「取引先と不倫している」などと私生活に関する悪評を流され、のちに解雇された事件だ。

セクハラをどう法的に裁くかという前例がない中、弁護団は、性的な悪評を流すことも人格権を侵害する不法行為だと主張し、勝訴した。セクハラという言葉は、多くの人にとって無視できないものになったとも言える。

角田弁護士はBuzzFeed Newsの取材に、裁判が注目を浴びた当時を振り返り、こう語っている。

「今でも覚えているのですが、夜のニュース番組で裁判について報じられた時に、取材班が新橋あたりに出て行って『この裁判どう思います?』と街の声をとっていたことです」

「すると、サラリーマンが『そんな、会社で女の子のお尻も触れないなんて、人間関係がぎくしゃくしてどうしてくれるんだ』って真面目な顔で言うのよ」

「当時は普通の人がそう思っていたし、両論併記の一部としてテレビで報じてもいい内容だと考えられていたってことよね。あの頃はそんな時代でした」

30年で社会は変わったのか

時事通信

財務省の福田淳一元事務次官

セクハラが流行語になった年から約30年。ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴィー・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑をきっかけに、「#MeToo」運動は世界に広まった。

日本でも今年4月、財務省の福田淳一元事務次官が女性記者にセクハラ行為を繰り返していたことが報じられ、一気に議論を呼んだ。

「#MeToo」の流行語大賞受賞者は「私も#MeTooと声を上げた全ての人」とされている。受賞理由には次のように書かれている。

「男性と女性のセクハラに対する意識の違いを浮き彫りにしたこの問題、声を上げた一人に社会全体で、この声を受け取れる努力も必要なのかもしれない」

平成も終わりを迎えようとしている中、社会はどのように変わったのか。角田弁護士はこう指摘する。

「セクハラが流行語大賞をとったことは、言いにくかったこと、言い表せなかったことに名前がついたという点で大切だった。『この行為はセクハラで問題です』と文句を言えるようになったから」

「でも言葉の中身はどこまで理解されているのか。それがいまある問題の底辺にあると思います」

Contact Saori Ibuki at saori.ibuki@buzzfeed.com.

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