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新型コロナウイルスで「北京封鎖」はミスリード。日本のメディアが報じない事実として拡散

外務省、在日中国大使館も北京が封鎖された事実はないとBuzzFeed Newsの取材に回答している。

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、ネット上では「北京が封鎖された」という情報が拡散している。

部分的な規制は行われているが、北京が完全封鎖されている事実はない。この情報はミスリードだ。BuzzFeed Newsがファクトチェックを行った。

ネット上で拡散しているのは「北京に侵入する高速道路が封鎖された」という情報だ。テレビ番組の切抜きとみられる画像とともに拡散されている。

拡散しているのは、2月9日のツイート。「北京封鎖の報道は永遠に見れないよ、メンツが悪いから。もちろん日本は報道しません。台湾は報道した」と発信しており、2月12日16時の段階で8000回以上リツイートされている。

このツイートを引用する形で「えっ、北京も封鎖されたのか?確かに日本のメディアは全く報じていない」と投稿されたツイートも3000回以上リツイートされている。

リプライ欄には「日本国政府は相変わらず中国共産主義国政府の為に情報統制を強化しています」「中国の情報がデマ。それを信じて報道してる日本のメディアこそがデマ。WHOもデマ」といった声が寄せられている。

また、まとめサイト「保守速報」もツイートを引用し、「【Twitter速報】習近平の指示で北京封鎖!!台湾は報道したが日本では北京封鎖の報道は永遠に見られないよ」と題した記事を配信し、北京が封鎖されたと伝えている。

なお、BuzzFeed Newsが調べたところ、ツイートにある画像のテロップに記されているのは「武漢から北京への道路を封鎖」という情報だけで、北京全体を指すような言葉は見当たらない。

外務省「北京が封鎖された事実はない」

こうした情報はミスリードだ。そもそも、北京は現状では封鎖されていない。

外務省中国・モンゴル第一課の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「北京が封鎖されたという事実はない」と回答した。

また、東京にある駐日中国大使館の広報担当者も「北京が封鎖されたという情報は入ってきていない」と語った。

大使館の担当者によると、武漢以外に封鎖された都市はないという。

「高速道路を封鎖」という情報も拡散しているが、中国国内では春節の終わった「2月10日から人々が仕事に復帰しはじめている」とし、そうした人々は高速道路などを利用して通勤していると指摘した。

また、高速鉄道などでは感染拡大を予防するためにこまめな消毒なども行われているという。

部分的な規制はあるが…

では、なぜ「ミスリード」と言えるのか。それは、住民や移動の厳格な管理が進んでおり、一部メディアが「部分的規制」を行っていると伝えているからだ。

外務省によると、湖北省全域での公共交通機関の停止や駅・空港の閉鎖などに続き、各地で交通規制や外出制限が行われている。

また、香港紙「South China Mornig Post」によると、北京や上海では「居住者の車両による移動を厳格に管理しており、公共の場でのマスクの着用を義務付けた他、レジャーおよびその他の重要でないコミュニティサービスの休止」を実施する旨の通知が当局から出されたという。

この情報は台湾紙「自由時報」も

取り上げており

、それをもって「北京が封鎖された」根拠としてシェアする人は少なくないが、あくまで全体的な封鎖ではなく、一部の規制に止まっていることに留意が必要だ。

もちろん、中国における感染拡大は、予断を許さない状況だ。外務省も2月12日に「状況が急激に悪化する可能性も念頭に、情報収集等に万全を期すとともに、日本への早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急御検討ください」と呼びかけた


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