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ゲイの僕が、保守的な両親に初めて恋人を紹介したクリスマスの話

僕が両親にカミングアウトしたのは、本当の意味でお互いがお互いの人生にちゃんと関わっていたかったから。だから、僕のパートナーのことも知ってほしかった。

BuzzFeedスタッフのパーネルといいます。5年前、ガチガチのカトリック教徒の両親に、自分はゲイだとカミングアウトしました。

最初の2、3年くらいは「父さんと母さんはあなたを愛している、でもあなたのしていることは嫌だ」とか「オープンな心でいれば、そのうちぴったりな女性に出会うんじゃない?」とか言われました。でも、ありがたいことに、あれからものすごく前進しました。

両親と話していて、激しい言い合いにまでなることはもうめったにありません。

ぼくがゲイであることを認めて、そのことについて(かなり苦しいながらも)話し合えるようになりました。

以前は、あえて触れずに表面は穏やかにしておく、というカトリックに非常によくある対応だったことを思うと、ものすごい進歩です。

そこで去年、クリスマスに家族が集まるときに僕の交際相手に会ってみるつもりがあるか、父と母に聞いてみました。2人の答えはイエス。

僕が自分の愛する人を両親に紹介したかったのは、それが両親にとって、そして僕自身にとっても、回復につながる気がしたからです。

とても不安で、ピリピリしていました。

でも僕が両親にカミングアウトしたのは、本当の意味で お互いの人生にちゃんと関わっていたかったから。

だから今回もやらなくちゃいけない。

クリスマス前日。

車で休暇先のラスベガスに向かいながら、両親が僕の恋人に失礼な態度をとったりしないか、ずっと考えていました。

彼のことを無視しないだろうか? ゲイへの反感を込めた言葉を彼に投げつけたりしないだろうか?

そういう気まずい事態になるかもしれないと考えると、気持ちが沈んできます。

母親との電話も、気持ちが落ち着かない原因でした。クリスマスが近づくにつれ、母と電話で話すたびに大丈夫かなと不安になりました。母がこんなふうに繰り返すからです。

「気持ちがいっぱいっぱいになってる。ストレスで吐きそう」

母は仕事をしながら父と兄の面倒をみて、家のこともこなしていて、心身にかなり負担があったのでしょう。ゲイの息子の彼氏に会ってる場合じゃなくて、抗不安剤をのんだ方がいいんじゃないかという気がしてきます。

でもここまで来たらもう引き返せないし、やはり両親にはゆっくり休暇を過ごしてほしい気持ちがありました。

抱えていることが大きすぎて、まったく気が休まりません。両親を人に紹介するのは初めてです。両親にとっても、息子が他の男と親密にしているのを目にするなんて、初めての経験です。

ラスベガスで集まる前の晩にも、母と電話で話しました。「やっぱり来なくていいよ」と言ってこないかなと淡い期待を抱いて。そうなればみんなこの苦悩から逃れられます。

「で、ほんとにボーイフレンドを連れてっても大丈夫?」

僕は聞いてみました。

「うーん」

「っていうのは、何なら別に連れてかなくてもいいからさ、母さんと父さんが妙な感じになるんだったら」

「大丈夫。明日会いましょ。じゃあね、愛してる」

そう言って電話は切れました。

はあ。もう これで決まった。やるしかない。

ホテルに着くと、他の家族はちょうど買い物に出ていていませんでした。

ホテルの部屋に戻ると、中から母親の笑い声が聞こえてきます。僕は彼の手をとりました。カードキーをかざし、ドアを開け、2人で部屋に入ります。

「母さん、彼がボーイフレンドのジュリアン」。僕は覚悟を決めて言いました。

僕にとって人生で一番大切な2人がハグしている――見つめながら、僕の小さな心臓がドキドキするのがわかります。

僕たちは3人でそこに立っていました。何か会話をしなきゃと思い、ジュリアンに促しました。

「さっき買ったバッグ、見せたら」

ジュリアンはバレンシアガでバッグを買っていました。ベージュグレーの箱を開け、黒とダークグレーの真新しいバッグを出してみせました。

母はまあ、と感心してみせて、手に取りました。

「どうもありがとう」

「母さん、それ彼のだから」

「あら、プレゼントじゃないのね」

母が笑います。

「ちがうよ」

僕も笑いました。

「1200ドルするバッグなんだから」

みんなそろって笑い出しました。さっきは無表情だったおじも。

母は僕をハグすると、またおじとのおしゃべりに戻っていきました。2人が会うのは2年ぶりです。積もる話もあるだろうと、邪魔をしないことにしました。

僕とジュリアン、兄、その友人とでしばらく話したあと、それぞれの部屋へ帰っていきました。思い描いていた初日の夜とは違います。

僕はみんなそろって夕食をとるつもりでいました。多少気まずくなるかもしれなくても…。

ところが、同じホテルにいながら別々の部屋で寝ているのが現実でした。でも、まだクリスマス当日があります。

クリスマスの日の朝

翌25日の朝、僕とジュリアンは朝食をとるつもりでホテルのビュッフェに行ったものの、結局戻ってきました。2時間待ちの列ができていたのです。

「僕が料理するよ」ジュリアンが手を挙げました。

「ナマズの甘辛煮(カーコートー)なら作れます。ベトナム料理なんです」

母は笑顔をつくってこう言いました。「コバンアジでお願いしてもいいかしら?うちではナマズは食べないの」

クリスマスディナーに向けてお買い物

そんなわけでクリスマス当日、僕はゲイの恋人とヘテロの両親を車に乗せ、聖地へ向かいました。フィリピン系のスーパー、「シーフードシティ」です。

母と僕の恋人がナマズの代わりに何がいいかと真剣に話し合っているのを、僕は見守りました。

ホテルに戻り、僕がひそかにみんなのクリスマスプレゼントを包んでいる間、母親とジュリアンはすっかり意気投合していました。

一緒に笑ったり、お互いに相手が言い終わらないうちに話し出したりして、会話が弾んでいるのが聞こえてきます。

父親はあまり話はしていませんが、時々咳払いが聞こえます。自分の部屋へ引っ込まずに、一緒にキッチンにいました。

クリスマスディナーをつくる

Cooking Christmas dinner

料理長ジュリアンが、魚の準備に取りかかります。母と僕は野菜を洗って切る担当。クリスマスのディナー作りはチーム仕事です。

すべて終わると、テーブルには見事な夕食が並びました。

みんなでお祈りを唱えました。教会から足が遠のいてしまった僕も加わりました。

みんなが目を閉じている間、顔を上げてみると、僕のパートナーが母親の手を取っています。

僕がなぜこの人を愛しているのか、家族が身をもって知ることができてよかった、という思いがわいてきました。

夕食がすむと、僕は全員分のプレゼントを出しました。全員にひとつずつ用意してあります。

僕以外、たぶん誰もプレゼントを持ってこないだろうなという予感がしていたので。

クリスマス翌日

翌日の午後、ジュリアンをバス停まで送っていきました。

後編へ続く〜

両親とロサンゼルスに残ったパーネル。お父さんとお母さんは、恋人のことをどう思ったのでしょう?

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この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan