BuzzFeedスタッフのパーネル(右)です!5年前、ガチガチのカトリック教徒の両親に、自分はゲイだとカミングアウトしました。

【後編】クリスマス翌日(前編はこちらから)

ジュリアンを乗せたバスを見送ったあと、僕は両親をランチに誘い、ちょっといい店に連れていきました。

父が早く目の前の料理を食べたそうにしているのはわかっていたけれど、僕は話を続けました。

母はこうも言いました。「たぶん、私たちは彼に会う準備ができていたのかもしれない、あなたが自分のことをいろいろ話してくれてきたから」
それを聞いて僕はとても誇らしく思いました。5年前、両親にカミングアウトしたのは、まさにそのためだったからです。
ずっと黙っている父にも、この休暇はどうだったか聞いてみました。するとこんな答えが返ってきました。
「おまえのことはこれからも愛している、それだけだよ。あと、実際に会って相手の意向を自分で確かめてもみずに、人を決めつけることなんてできない」
これまで父の口から聞いた言葉のなかで、何よりもすてきな、反同性愛とはかけ離れた言葉でした。僕たちは本当に大きく進化したのです。
父は新型コロナに感染して危うく死にかけたのですが、以来、ずいぶん丸くなったと思います。
心を開いて物事を受け入れるようになりました。愛情深くなりました。そのことに、心を動かされます。
「じゃ彼のこと気に入った?」
「まずまずだな」と父。
「万事オーケーだ」
僕たちは料理を食べ終え、会計をすませました。一緒に過ごせるのはあと数日です。
車で家に帰る

12月31日の朝、ラスベガスを発つ時がきました。別れ際、いつもより力を込めて父と母にハグしました。次はいつ会えるのかわかりません。
母から贈られた皿とカトラリーとカップのセットが入った箱を、車に積み込みます。
引っ越したばかりのワンルームのアパートで使うようにとくれたのです。
父はその朝、コーンビーフと米で料理を作り、タッパーにたっぷり詰めて持たせてくれました。
車で帰宅する道のり、ようやくこの休暇を振り返ることができました。

そこではっとしました。僕が両親に自分のパートナーと会ってほしかったのは、世界が混乱に陥ったこの2年間、僕の人生で最良の部分が彼だったからなのです。
彼が両親のことを気にかけてくれて、両親が僕のパートナーと親しくなろうと努力してくれているのを目の当たりにして、新年への決意がわいてきました。
僕の人生に関わってくれる人にもっとよくしたい、そう思ったのです。自分がまさにそうしてもらっているから。
この2年は、僕にとって散々でした。毎日が苦しくて、冷たい人間になりました。
連絡がきても返信しなくなり、できるだけ人との接触を断って閉じこもりました。
すごく感じの悪い人間になったし、あらゆる人との関係、中でも恋人との関係を、あって当たり前のように扱っていました。
そんなわけで、初めて恋人を両親に会わせること自体はそれほど大ごとではなかったけれど、僕にとっては大きな一歩になりました。
自分の人生にはたくさんの愛があると改めて教えてくれる、大事なきっかけになったのです。
ラスベガスの町と2021年が過ぎ去っていく中、僕はロサンゼルスに向け、そして新しい年に向けて、車を走らせました。
3人の人間が気まずいさをはねのけて、お互いを思いやる気持ちを示したのです。
隣の助手席に目をやると、父が僕のために作って詰めてくれた料理が置いてあります。
これが愛なんだな。僕はそう思いました。

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この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan