2年前から保護猫・リド君と一緒に暮らしている謎解きクリエイター・松丸亮吾さん。
謎解き以外にもYouTubeや会社経営など多岐にわたる仕事に追われる松丸さんは「忙しい人ほど猫を飼うのに向いている」と熱弁します。
インタビュー前編に続き、猫のためのスマート首輪「Catlog」のアンバサダーも務めている松丸さんに、“デバイスを駆使した猫との暮らし”について話を伺いました。
(聞き手:嘉島唯)
食は自動化! 体調管理は「PDCAサイクル回してます」
――リド君とは保護猫施設で出会ったそうですが、審査はいかがでした? 厳しいという話も聞くので。
僕はそこまで厳しいとは感じませんでした。施設によると思いますが、求められる条件は大切な命を扱う責任を考えたら当たり前のことばかりというか。僕個人としては、保護猫は審査がある点は逆に良いなと思いました。
――逆、とは?
審査にあたって、猫を飼うためには何が必要で、どういう世話が必要か、外出するときにはどうするのかということを勉強するんです。だからこそ、安心してリド君を迎えられました。「どうすればいいのかわからない!」ってことが少ない。
――出張などで家を空けることも多いと思いますが、お世話はどうされていますか?
ご飯と水は自動的に出るようにしてるので、2日程度だったら問題ないです。長いこと家を開けるときは、近所に住んでる友だちやマネージャーさんに様子を見てもらうようにしています。
――食は自動化!
ですね。自動給水器は特に買ってよかったアイテムです。水って意外とすぐに汚れてしまって、それを飲ませるのは忍びないなと……。かと言って、働いている手前、頻繁に水を取り替えてあげるのも難しいので、今は給水器を2台置いてます。片方が動かなくなった時のための保険ですね。複数台っていうと、ペットカメラは4台使っています。
――多いですね!?
ちょうど「1台買ったらもう1台プレゼント」みたいなセールをやっていたので……(笑)。4台あるとリド君が家のどこにいるかもわかるので、仕事場からよく眺めています。僕が遠隔で見てると、リド君はカメラをじっと見つめてくるんですよ。癒やしです。
――他に愛用しているものはありますか?
Catlogはもちろん使っていて、ご飯や睡眠、毛づくろいなどのログを取ってます。これで「最近、毛づくろいが増えた」とか「運動量が減ってる」とか、健康状態に気づけるようにしています。猫ってストレスが貯まると毛づくろいが増えるらしいので。
それからトイレの下に置く「Catlog Board」も自分で買っていて、排泄のたびに体重のログも取っています。猫の「飲む・食べる・出す」というインプットとアウトプットをデータで確認できるので便利ですよ。体重が増えすぎたら餌の量と頻度を調整してPDCA回してます!
――インプットとアウトプット(笑)。それにしても、いろんなデバイスを駆使されていますね。
リド君が赤ちゃんの時にウイルス性の病気にかかったことがあって、その時には前兆がわからなかったんですね。気づいた時にはくしゃみが目立つようになっていたり、食欲がなくなっていたりしていました。
猫は体調不良を隠す特性があると言われているので、目で見ているだけだと異変に気付けない。もっと早く病院に連れて行ってあげたかったという気持ちが芽生えてデバイスを揃え始めました。
実家の愛猫との別れで痛感したこと
――そういえば、松丸さんはご実家でも猫を飼っていたと聞きました。
はい。マロという名前の猫で、僕が小学2年生の頃から14年ほど一緒に暮らしてました。母親が買い物に行った時に、袋が破れていたとかで牛乳か何かをポタポタ垂らして歩いていたら、家までついてきちゃったんです。
家で試しにミルクをあげてみたら、ものすごくおいしそうに飲んでくれて、それ以降家の前に来るようになりました。気がついたら擦りガラス越しに茶色い物体がいる……みたいな。少しずつキャットフードで家の中に誘導してみたら、完全に家に住み着いてしまいました。
――作戦成功……?
はい(笑)。ただ、僕が大学生の時に、マロが発作を起こして、てんかんを患っていることが発覚したんです。ちょうど家に1人でいたタイミングだったので、本当にびっくりして、動物病院へ抱きかかえて連れて行ったのを覚えています。病院では「完治するものではない」と言われてすごくショックを受けました。
てんかんが発覚してからは長くなかったのですが、最期の方は「どうやったらマロが1秒でも長く幸せに生きられるか」を考えながら毎日を過ごしていました。
マロを見送って思ったのが、健康管理をもっとしっかりやってあげればよかったということ。マロ自身がもともと野良猫だったこともあって、夏場はよく外にでかけていたし、体調が悪そうにしていても「病院に連れていくほどじゃない」と思ってしまったことも多かった。
そもそも家族みんなで育てているので「誰が、いつ、ご飯や水をあげたのか」もよくわからない状態で、マロがちゃんと水分取れていたかとか、ご飯を適切なタイミングであげられてたとかは、わかりません。家族の一員として愛情をたっぷり注いだものの、気持ちだけでは支えきれない部分があります。
――確かに、ねだられたらご飯をあげてしまうことは多そうです。家族間だと引継ぎをするのも堅苦しいですし。
そうなんですよね。今は技術に助けられる時代になっていると日々実感しています。忙しくて飼えないとか、きちんと見てあげられるか心配という人もいると思うんですけれど、技術が本当に発達してるので、自分の中のハードルを下げても大丈夫だと思います。
実は僕は今、2匹目を検討中なんです。
――多頭飼いに。
はい。やっぱり家に1匹だけだと寂しいだろうなと思うし、猫同士で遊んでいるところが見たい! 一歩踏み出すと、猫との暮らしで得ることは本当に多いので本当におすすめです。
(前編も合わせてどうぞ!)