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ハリウッドの「多様性」は「非現実的」。売れっ子監督が指摘「白人だけだっていい。大切なのは…」

映画『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督が、“映画業界の多様性”について13分のスピーチを行った。「すべての番組、わたしたちが作るすべての作品に、すべての人種、すべての素性、すべての体験を盛り込むのが『多様性』だと、わたしたちは勘違いしているのです」

タイカ・ワイティティは、ハリウッドで俳優や監督として大活躍している。

5月から、全米脚本家組合(WGA)が待遇の改善やAIの利用規制を訴えストライキをしている。タイカは組合への支持を表明し、ストライキ中だから基調講演の原稿は書かなかった、とジョークを飛ばしながら話し始めた。

人工知能のチャットボットは、要点をいくつか提示した。

「すべての番組、わたしたちが作るすべての作品に、すべての人種、すべての素性、すべての体験を盛り込むのが『多様性』だと、わたしたちは勘違いしているのです」とタイカは話す。

多様性に力を注ぐよりも、ハリウッドは「映画の非植民地化」に努めるべきだとタイカは説明する。

ただの義務感から有色人種の登場人物を入れるのは必要ないし、賢明ではないとタイカは話す。

「あなたの映画に名ばかりのポリネシア人が出ているのは見たくないのです。わたしが見たいのは、完全にポリネシア人が管理し、ポリネシア人が書き、ポリネシア人が総指揮をするポリネシアの物語です」

タイカは、ひとつの人種や文化圏の俳優を採用し、特定の物語に焦点を当てている作品をいくつか例に挙げた。『ビーフ』『アトランタ』『レザベーション・ドッグス』(タイカは共同制作者)などだ。

「もうひとつ、植民地化は『互いに対抗させる』やり方をとります。だれがいちばんひどい目に遭ったか、という議論です」

ここで少し歴史をひも解いてみよう。1759年は、イギリスが七年戦争に勝利し、ヨーロッパにおける力関係を根本的に変えた年。1492年は、コロンブスがアメリカ大陸に上陸した年だ。

一方で1769年、イギリスの探検家ジェームズ・クックはアオテアロア(ニュージーランドのマオリ語名)に到着した。

ハリウッドにおける多様化の改善は、一夜では成し得ない。大切なのは、業界が本物の努力をしようとすること。それならば時間がかかっても仕方ないと、タイカは認めている。

最後に、タイカはお気に入りのドラマを紹介した。『メディア王~華麗なる一族~』(原題:Succession)、裕福な白人たちの話だ。

そして、ハリウッドにおける「多様性の勘違い」に話を戻した。

「ほかの文化の人が登場してくるのを、このドラマでは見たくないんです」

「このドラマは、白人ばかりだからいいんです。これは、白人ばかりのドラマでいいんです。でもそれだけじゃなくて、ほかの人種ばかりのドラマも必要なんです」

巧みなジョークたっぷり、示唆に富んだタイカのスピーチ全文は、ここで聴いてほしい。

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The Hollywood Reporter / Via youtube.com

この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan