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日本航空がヒール着用規定を「廃止」へ #KuTooが始まって1年余、思い届く

日本航空が4月から新制服を導入し、いままで3〜4cmとしていたヒールの規定をなくすことを明らかにしました。


日本航空(JAL)は4月1日から新制服を導入し、これまで「ヒールの高さは3〜4cm」とされていた靴の規定を変更し「ヒールは0cmから」とする。ヒールのある靴の着用を求めていた規定は事実上、なくなる。

同社広報部はBuzzFeed Newsの取材に対し「安全や健康」などの「多様なニーズ」が靴規定の変更の背景にあると話した。

職場での女性スタッフに対するヒールやパンプスの着用を求める規定は、航空業界だけでなく、ホテルや百貨店など様々な業種で存在する。

そのような靴の規定に反対する運動 #KuToo は2019年に始まり、1年で日本を代表する企業の靴に関する規定を変えるまでに至った。

JAL広報は2019年6月、BuzzFeed Newsの取材に対し、同社の女性スタッフに対する靴の規定は「客室乗務員はヒールの高さを3〜4cm、色は黒。グランドスタッフはヒールの高さを3〜6cm、色は黒と制服規定、STYLE BOOKにて定めている」と説明していた。

新しい靴規定では客室乗務員と地上職員、共にヒールを0cmから可にし「黒の表革で、プレーンなデザイン」とすることから、ローファーやドライビングシューズなど、より動きやすい靴も着用可能になるという。

広報担当者はBuzzFeed Newsの取材に「新しい靴の規定の背景には、ジェンダーや安全、健康など着用する社員の多様なニーズがあります」と話した。

広報担当者によると、今回の新制服導入に際しては、実際に制服を着用している社員から意見を聞けるように、ワーキングチームを設けて聞き取りをしていた。

仕事中の靴には「ヒールがない方がいい」という社員からは「その方が安定する」「身長が高くなりすぎる」などの意見があったという。

同社は2019年7月、JALで初めてとなる女性用の「パンツスタイル」の制服も発表し話題になっていた。2020年4月から導入される制服だ。

一方で、7月の新しい制服発表の時点ではヒールの着用規定に関しては、改定は発表されていなかったため、「靴の規定も変更を」との声がネット上でも上がっていた。

#KuTooの運動から1年、国会や大企業を動かした

JALの女性スタッフに対する靴の規定の変更に関しては、共産党の小池晃氏が3月23日、参議院予算委員会で言及した。

3月3日には、小池議員が同予算委員会の答弁の中で、#KuTooなどの状況を質問し、安倍晋三首相が回答。職場での女性に対するヒール・パンプス着用を含む服装規定に関し、「合理性を欠くルールを女性に強いることはあってはならない」と述べていた。

安倍首相は「男性と女性が同じ仕事をしているにも関わらず、女性に対し服装において、今申し上げましたような苦痛を強いることがあってはならないということは、明確に申し上げておきたい」とも話し、Twitterでは「総理大臣が#KuTooに言明したことは大きい」と話題になっていた。

#KuToo発起人「他の企業にも続いて欲しい」

#KuTooの運動を始めたのは、以前、職場でヒールの着用を定められていたという石川優実さんだ。

厚生労働省に署名を提出するなど、1年間にわたり#KuTooの運動を続けてきた石川さんは、JALの新規定についてこう語る。

「とても勇気のいる決断だと思います。Twitter上ではそんなJALを賞賛する声が見られます。これをきっかけに、他の航空会社やホテル業、冠婚葬祭業など、女性にヒールを義務付けている企業にも続いて欲しいです」

これまで「女性がパンプスやヒールを着用することは『マナー』だ」とされてきたことにも触れ、「既に変わり始めている『マナー』と、働く女性の健康や安全、どちらが大切なのか今一度、見直してもらえたら嬉しいです」と話した。

航空業界で存在していた「ヒール規定」

BuzzFeed Newsは2019年6月から7月にかけ、日本の主要な航空会社6社(日本航空、全日本空輸、Peach Aviation、AIRDO、ジェットスター・ジャパン、スカイマーク)に、客室乗務員など女性スタッフに対する靴の規定の有無や、その理由を問い合わせていた。

6社はいずれも「身だしなみ」や「統一美」などを理由に、女性スタッフへのパンプス着用を求めている、と回答していた。

(6社からの回答の詳細はこちらの記事から「CAはヒール強制?高さまで決められてるの? 航空会社に聞いてみた」)

足や背中の痛み。航空会社勤務の女性の悲鳴

これまでのBuzzFeed Newsの取材に対しても、航空会社に勤める女性から、このような声が寄せられていた

「空港の地上職で働いていました。女性はヒールというのが決まりでした。毎日履いていたけど、本当に辛かった。仕事では、チェックインカウンターから搭乗口まで一日中走り回ります。1日10キロ、1万歩をヒールで歩く日もざらでした。10キロもヒールで毎日歩いていると、毎日足が痛いだけでなく、足の形が変わってきます」

この女性は以前、日系大手航空会社に勤めており、ヒール着用で背中の痛みが悪化し、整体ではヒールを履かない方がいいと言われたが規則なので履き続けていたという。

女性はヒール着用規定に対し、このように意見を語っていた。

「地上職の他の男性は心地好さそうな靴を履いていて羨ましかった。もっと女性の足の健康に気を使ってほしい。妊娠している同僚もヒールを履いていたので怖かった」

「なぜヒールを履くかと考えても、正当な理由が見当たらない。地上職はオンタイムで飛行機を飛ばす時間勝負で、よく空港内を走ったりもしました。この仕事は本来はスニーカーでやるべき仕事です」

また、客室乗務員として以前、日系大手航空会社に勤めていた女性は「もし実際に非常事態が発生すれば、制服のスカートにパンプスで的確に動けるのかな、と安全性の面で疑問に思っていました」とし、緊急時にヒールは適していないと語っていた。

女性はまた、長時間フライトでパンプスを履いて勤務すると、足がむくみ辛かったという。

「ニューヨークまでのフライトは13時間に及びます。 フライト中の休憩時間にパンプスを脱ぐと、足がパンパンにむくんでいるので、休憩が終わっても靴に足が入らず、無理やり履いて仕事に戻っていました」

同僚には、外反母趾に苦しむ人もいた。その人も規定に従いパンプスを着用していたが、普通に売っているパンプスが履けないため、オーダーメイドしていたという。


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