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1人の女性のツイートは1年後、首相に届いた。「数センチ」をめぐる思い

石川優実さんの一つのツイートから始まった #KuToo 運動。1年後には国会答弁で安倍首相がその内容を支持しました。

2019年1月、ある女性が職場で着用を義務づけられていたパンプスで足を痛めた経験をツイートし、Twitterで大きな共感を集めた。

ツイートを投稿したのは石川優実さん。このツイートがきっかけで、職場でのヒール・パンプスの着用強制に反対する運動 #KuToo が始まった。

私はいつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたいと思ってるの。 専門の時ホテルに泊まり込みで1ヶ月バイトしたのだけどパンプスで足がもうダメで、専門もやめた。なんで足怪我しながら仕事しなきゃいけないんだろう、男の人はぺたんこぐつなのに。

@ishikawa_yumi

それから1年2カ月が過ぎた2020年3月3日、安倍晋三首相は参議院予算委員会の答弁の中で、職場での女性に対するヒール・パンプス着用を含む服装規定に関し、「合理性を欠くルールを女性に強いることはあってはならない」と述べた。

一つのツイートから始まった運動は、ついに首相まで届いた。

「総理大臣が言明したことは大きい」「#KuTooが国会で安倍首相に認められた!」とTwitter上などで反響を呼んでいる。

時事通信

参議院予算委員会で答弁する安倍晋三首相=3月3日、国会内

共産党の小池晃書記局長はこの日、男女の賃金格差や#KuTooなどの状況を質問した。加藤勝信・厚労相や安倍首相が回答した。

小池氏は、実際に日本の職場で、女性のみにヒールやパンプスなど靴の指定があり、外反母趾や靴擦れ、腰痛などの健康被害が出ており「差別の問題だけでなく、健康問題であり労働問題です」と語り、首相に意見を求めた。

安倍首相は、こう答えた。

「職場の服装について、単に苦痛を強いるような合理性を欠くルールを女性に強いることが許されないことは当然です」 

「男性と女性が同じ仕事をしているにも関わらず、女性に対し服装において、今申し上げましたような、苦痛を強いることがあってはならないということは、明確に申し上げておきたいと思います」

時事通信

参議院予算委員会で共産党の小池晃書記局長(右手前から2人目)に答弁する安倍晋三首相(中央左)=3月3日、国会内

安倍首相の発言に対し、小池氏は「パンプスの強制着用に反対する運動をやられている皆さんが大変勇気付けられる答弁だ」と歓迎した。

そして通常は異なる意見をぶつけ合うことが多い安倍首相と意見が合致したことについて、「安倍首相との質疑で、こういう最後になるっていうのはあまり今まで経験のないことでありますが」と語ると、議場に笑いと拍手が広まった。「前向きに進めるために、この点では力を合わせたいと思います」と締めくくった。

首相の答弁「報われた気持ち」

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

2019年6月、厚生労働省に署名を提出した際の石川さん

#KuTooの活動を続けてきた石川さんは、安倍首相の答弁を受けてBuzzFeed Newsの取材に対しこう語る。

「これまで、散々『マナーなんだから』『わがままだ』と言われてきましたが、安倍首相は明確に『男性と女性が同じ仕事をしているにも関わらず、女性に服装で苦痛を強いることはあってはならない』と応じてくれました。答弁を聞いて、報われた気持ちになりました」

「そして全ての人にもう一度、男性も女性も『同じ労働者』なんだという認識を正しく持ってほしいと思います。 この件を女性差別と正しく認識して、取り上げてくださったことにも感謝したいです」

石川さんは「具体的な案が出たわけではないですが、運動を進める中で本当に励まされる、とても嬉しい答弁でした」とツイートしている。

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

厚生労働省に要望書の提出後、会見する石川さん

実際に、航空会社やホテル、百貨店など接客業では、女性職員に対しヒールやパンプスの着用を義務付けている職場も多い

これまでのBuzzFeed Newsの取材に対しても、このような声が寄せられていた

「ホテル勤務で3~6cmのヒールがある靴の着用が求められていたが、立ち仕事だったために靴ずれになったり、小指の爪が縦に二つに割れたりした」

「航空会社の地上職でヒール着用がルールだった。靴擦れもひどく、背中の痛みが悪化し、整体ではヒールを履かない方がいいと言われたが規則なので履き続けた」

また、BuzzFeed Newsが日本の主要な航空会社6社に、客室乗務員など女性スタッフに対する靴の規定の有無や、その理由を問い合わせたところ、6社はいずれも「身だしなみ」や「統一美」などを理由に、女性スタッフへのパンプス着用を求めている、と回答していた。

B&m Noskowski / Getty Images

2019年2月に石川さんが、職場でのヒール・パンプス強制をなくすよう求めて開始したオンライン署名は反響を呼び、6月には集まった1万8千筆の署名を厚労省に提出した。

12月には、企業によるヒール・パンプス着用義務をめぐり、パワハラ対策指針案に明記することを求める要望書を、厚生労働省に提出している。

今後の動きについては、石川さんはこうもツイートしている。

「事業主に配られるパワハラのパンフレットに #KuToo のことも載せてもらうよう、厚労省の方とも約束しております」

「今後は答弁にあったように、そして元々の要望である男女雇用機会均等法の見直しを求めて更に運動を続けていきたいと思います」

現在、オンライン署名は、3万2千筆以上に上っている。

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