Amazonにはびこるステマ。偽レビューはこうして量産される

    「Amazonで購入」・自然な日本語でも、本物とは限らない

    あなたの見ているレビューは業者によって作られたものかもしれない。

    アマゾンは7月に行われたセール「プライムデー」で、世界全体で1億点を超える商品を販売したと発表した。

    Leon Neal / Getty Images

    超巨大な売り場の中で商品を手にとってもらうため、販売者同士の競争も激化している。価格やブランドはもちろん、商品レビューの高さも重要な要素だ。

    2016年発行の情報通信白書によると、20代から60代を対象にした調査では、6割以上の人がインターネットショッピングにおいてレビューを参考にすると答えた。

    商品のレビュー獲得競争のなかで、様々な手段を用いて不正にレビューを集める行為も横行している。その一つが、商品の無償提供などを対価として、レビューを集める方法だ。

    Facebookで行われる、偽レビューの取引

    報酬(商品の無償提供や割引も含む)を交換条件にレビューを投稿したり、させたりする行為はアマゾンのレビューに関するガイドラインで禁じられている。

    しかし、クラウドソーシングやSNSを利用したレビュー募集は公然と行われている。例えば、共通の趣味などでユーザーが繋がる「Facebookグループ」もその一つだ。

    Facebook

    Facebookで、「アマゾン レビュー」や「Amazon review」、「亚马逊 评价」などと検索すると多くのグループが出てくる。これらはレビューを集める販売者と、無料の商品を求めるユーザーの取引の場だ。

    グループの多くは、誰でも参加・閲覧できるものだ。中には非公開グループもあるが、申請をするとすぐにグループに入ることができた。

    グループページには、販売者のレビュー募集が次々と流れてくる。多くは商品の無償提供を条件に高評価レビューを求めるものだ。扱われる商品はスマホ用バッテリーなどの小型家電を中心に、健康器具、アダルトグッズまで幅広い。

    レビューを募集するユーザーの殆どは中華系の名前で、投稿の日本語は不自然なものが目立つ。以下は実際の投稿の例だ。

    Facebook

    1、商品を試用いただきました後一週間以内に、Amazonレビューに5星投稿」してコメントお願いします。

    2、レビューが150字以上、写真やビデオなど添付いただけるのは望ましいです

    3、Q&Aを書いてお願いします。

    多くのレビュー募集は、5つ星のレビューと引き換えに、商品の無償提供を提案するものだ。投稿によってはレビューの文字数などを細かく指定するものもある。

    レビューの取引はとてもシンプル

    いくつかのレビュー募集者にコンタクトを取ってみると、レビュー取引の流れが見えてきた。おおまかには、次のような流れで取引が進むことが多いようだ。

    いらすとや

    レビュアーは欲しい商品のレビュー募集を見つけて、投稿者に直接メッセージを送る。その際、AmazonアカウントのプロフィールとPaypalのIDを求められる。

    アカウントなどを伝えると特定商品のURLやスクリーンショットが送られてくるので、商品を購入する。商品を購入したことを伝え、レビューを済ませた後、先方がレビューを確認してPaypalで返金をすれば、取引は完了だ。

    Facebook

    条件の確認などのやりとりもメッセージで行われるため、アマゾンには不審な履歴が残らない。

    Facebookだけでなく、LINEやWeChat(中国のチャットアプリ)のグループでも同様の流れで取引が行われている。

    LINE, WeChat

    複数の日本人が管理しているというLINE(左)、WeChat(右)のグループにおける、レビュー取引の様子

    レビューを募集するユーザーは何者なのか

    コンタクトをとったレビュー募集者のうち、所属を答えたのは4人。それぞれ、各商品の販売元である中国の会社の社員だという。仲介業者などを使わず、直接日本人ユーザーのレビューを集めているのだろうか。

    Facebookプロフィールの真偽は定かではないが、大学の英語科やマスメディア学科など卒業したとする、高学歴の若者が多い。

    特に日本語が流暢なユーザーに話を聞くと、北海道の温泉街に住んでいたことがあるという。大学の日本語学科を卒業後、北海道の観光ホテルで働き、今は帰国して中国で働いているそうだ。

    Brianajackson / Getty Images 画像はイメージです

    東京オリンピックが開催される2020年には、また日本にいる友だちに会いに行きたいと、丁寧な言葉遣いで答えた。

    プロフィールにはプライベートの写真も投稿されている。学んだ日本語を使いながら、新社会人として仕事に奮闘しているようだった。

    レビュー募集の目的は

    複数のレビュー募集者にその目的を尋ねると、あるユーザーは次のように答えた。

    「Amazonでライバルとの競争が厳しいから レビューが良くなるほど店の順位も良くなります」

    また、レビューが3つしか無いiPhoneの画面保護用ガラスフィルムのレビューを募集するユーザーは、「一つのレビューはなければ、売れないです。この商品を買った人はありませんから(原文ママ)」と話す。

    検索結果での露出やランキングを意識した戦略として、レビュー集めを行っているようだ。

    これらの募集行為はアマゾンの規約に違反しないのかも確認してみた。

    質問に警戒したのかやり取りが途絶えたり、詮索に怒りを示すユーザーもいたが、あるユーザーは「それはないだと思います」と否定した。

    しかし、すぐに「でもあんまりレビュー書きすぎのもダメです。お気をつけてください」と注意を付け加えた。理由を聞くと、アマゾンによってレビューが消されるのを警戒しているという。

    規約に違反していないと主張しながら、アマゾンのペナルティを警戒するのは矛盾している。違反の認識がないというよりは、レビュアーとしてコンタクトをとったこちらを安心させようとしているようだ。

    偽レビューを見分けることは難しい

    こちらからコンタクトをとったレビュー募集者とは別に、内容が一部重複するレビュー用商品リストを送ってくる2人のユーザーがいた。

    リストの商品を確認すると、すべてが中国を拠点とする4社いずれかの商品で、「Amazon売れ筋ランキング」で部門1位を取る商品も複数含まれていた。販売元が1か所でないことから、複数の販売元のレビュー募集を代行している可能性がある。

    Facebook

    例えばリストにある子供用のトラベル枕には、7月14日現在で23のレビューが投稿されている。5つ星のレビューが17と最も多く、評価の高い商品に見える。

    しかし、5つ星レビューをつけた17人のユーザーのレビュー履歴を確認したところ、6人がリストにあった他の商品、あるいは同販売元の類似商品に5つ星を付けていた。もちろん、これらが偽のレビューであることを必ずしも示してはいない。

    また、他商品のレビューが全く無いユーザーが3人いたほか、2週間にスマートブレスレットを5つ購入するなど、購買行動が不自然なユーザーも複数みられた。

    このように商品のレビューに不審な点はあるが、レビュー自体の日本語に不自然な点があるわけではない。一般ユーザーがぱっと見た目でレビューの質を判断することは難しいだろう。

    なお、ReviewMetaFakespotなど、不自然なレビューのパターンがないか確認できるサービスもあるが、現在日本国内のアマゾンには対応していない。

    偽レビュー投稿の何が問題なのか

    レビューを不正な方法で募集している商品が、必ずしも粗悪な商品とは言えない。しかし、商品を手にとって見ることができないネット上の買い物において、偽のレビューは適切な判断の妨げとなる。

    先述したiPhone用のガラスフィルムは、Facebookにレビュー募集の投稿をした時点で3つしかレビューがなかった。その後約2週間でレビュー数を29まで伸ばし、そのうち27が5つ星だった。

    しかし約1ヶ月後にはレビュー数は21まで減少、5つ星は10件にまで落ち込んでいた。レビューに占める5つ星の割合でいうと、約93%から約48%に下落したことになる。

    低評価レビューをみると、傷が付きやすいことや、商品名に「ガラスフィルム 全面フルカバー」とあるにもかかわらず、製品の一部がガラスではないことに対して不満の声が上がっていた。

    不正レビューに対し、アマゾンの対応は

    レビューの取引について、アマゾンジャパンはどのような対策をとっているのか。

    コミュニティガイドラインの中には次のようにある。

    ガイドラインに違反した場合、お客様に対してコミュニティの利用制限、投稿の削除、リストからの関連商品削除、さらにはアカウントの利用停止または削除をすることがあります。

    さらに民事・刑事責任を追求する可能性もあるという。実際、米アマゾンでは、不正レビューに関わったウェブサイトやユーザーに対し訴訟を起こした事例がある。

    しかし国内の現状を見ると、レビューの不正と対策はいたちごっこが続いているようだ。

    BuzzFeed Japanは現在、今後の対応やユーザー個人が取れる対策について、アマゾンジャパンに取材を申し込んでいる。

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    Contact Shunsuke Mori at smori.rec@gmail.com.

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