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受動喫煙どうする? 花粉症ゼロ? 2017年衆院選、各党の医療政策は

「受動喫煙」「がん」「認知症」「医師不足・偏在」「医療費・介護保険料の自己負担」などについて、各党の公約は。

地味だけど大事な医療の政策。それが適当だと困りますよね。

2017年の衆議院議員選挙にあたり、主要政党はどんな公約を発表したのでしょうか。最近、話題になった医療のトピックについて、整理してみましょう。

(調査対象は自民党・公明党・希望の党・立憲民主党・日本維新の会・共産党・社民党・日本のこころの8党)

受動喫煙対策:公明党・希望の党は「オリパラ開催国基準の対策」を表明

受動喫煙対策に公約上で言及しているのは主に自民党・公明党・希望の党・共産党の4党。このうち、自民党は具体的な対策の内容を説明していない。公明党と希望の党は、日本よりも厳しいオリンピック・パラリンピック開催国の対策を引き合いに出した。具体的な内容を盛り込んでいるのは共産党だった。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

望まない受動喫煙をなくすため、法整備を含め受動喫煙対策を徹底します。

公明党はこちら(『Manifesto2017』より)

オリンピック・パラリンピック開催地で“常識”になっている受動喫煙防止対策を進めます。

希望の党はこちら(『政策パンフレット』より)

オリンピック・パラリンピック開催国として国際標準の「受動喫煙ゼロ」規制を実施する。

共産党はこちら(『2017総選挙/各分野の政策』より)

日本共産党は、受動喫煙をなくし、非喫煙者の健康をまもるための法改正をすすめます。公衆が集まる場所の屋内全面禁煙、医療機関や学校の敷地内禁煙を罰則付きで定めた法律を早期に制定します。

たばこのパッケージの警告表示に、健康への害に係る画像表示を義務づけるなど、啓発活動を強化します。

通学路、公園、マンション共有部分、自宅やマイカーを含め、受動喫煙から子どもたちをまもるための規制を推進します。

たばこの需要減少や年少者の喫煙防止を図るため、たばこの価格・課税率を引き上げます。たばこ税の税収を、たばこの害から健康をまもる施策に充てていきます。

飲食店の全面禁煙を徹底するため、必要な表示・広報に公的支援を行ないます。

参考:非喫煙者も年間1.5万人がたばこで死亡 WHO幹部「まるで前世紀」

参考:なぜ、受動喫煙対策は進まないのか 日本医師会副会長に聞く

がん対策:公明党・共産党が詳細に言及

がん対策に公約上で言及しているのは主に自民党・公明党・日本維新の会・共産党の4党。具体的な対策の内容を盛り込んでいるのは公明党と共産党だった。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

がんの予防、治療・研究、患者の雇用継続や療養生活の質の維持向上に取り組みます。

公明党はこちら(『Manifesto2017』より)

がん対策をさらに強化するため、がん対策推進基本計画に基づき、がん検診受診率50%以上の達成をめざします。

放射線療法・化学療法の普及と専門医を育成するとともに、患者の負担を軽減するため、がんを担当するすべての医師へ緩和ケア研修を実施し、小中高校生など学校におけるがん教育や、スタートしたがん登録の周知等にも取り組みます。

希少がん、難治性がん、小児・AYA(思春期・若年成人)世代などのがん患者に対する支援を強化するため、多様なニーズに対応できる情報提供や緩和ケア診療体制の整備、有効性の高い治療法の研究開発を推進します。

「がんとの共生」をめざした療養環境の支援や、がん患者の就労支援に加え、相談体制や経済支援の強化、NPO法人等の育成支援に取り組みます。

傷病手当金について、治療が長期に及ぶがん患者にとって使いやすい制度とするため、累積で1年6カ月の受給が可能となる仕組みを構築します。

がん治療における「ゲノム医療」や「免疫療法」を推進するため、研究開発を支援します。

日本維新の会はこちら(『2017 維新八策』より)

地域における医療と介護の切れ目ないサービス提供。がん患者の緩和ケアはじめ、わが家で療養できる在宅医療の基盤を整備する。

共産党はこちら(『2017総選挙/各分野の政策』より)

国の責任で、専門医の配置や専門医療機関の設置をすすめ、所得や地域にかかわらず高度な治療・検査が受けられる体制を確立します。

未承認抗がん剤の治験の迅速化とすみやかな保険適用、研究予算の抜本増、専門医の育成、がん検診への国の支援の復活など、総合的がん対策を推進します。

現在、国会で見直しがすすめられている、がん対策基本法の改正について、当事者の声を反映させ、基本理念に「希少がん、難知性がん、小児がん対策の一層の推進と、社会的支援策の必要」を加えるよう求めます。(原文ママ)

日本でも、「高額療養費の支給特例」の改善・拡充、公費助成の導入など、長期治療が必要な患者に自己負担の心配なく給付を保障する公的制度の確立を急ぎます。

参考:原因がわかっていて、減らすこともできる「がん」がある 最新のデータは何を示す?

参考:「夢の治療法」「副作用なし」 怪しい免疫療法になぜ患者は惹かれるのか?

認知症対策:自民党・公明党・共産党が「患者や家族への社会的な支援」を表明

認知症対策に公約上で言及しているのは主に自民党・公明党・共産党・社民党の4党。このうち、自民党・公明党・共産党は認知症患者やその家族への社会的な支援を打ち出している。一方、社民党は「認知症基本法」案の具体的な内容については説明しなかった。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

地域の実情に応じた介護サービスの整備や介護人材の確保を進め、介護離職ゼロを実現するとともに、認知症の方と家族を支援します。

公明党はこちら(『Manifesto2017』より)

認知症対策を総合的に推進する「新オレンジプラン」の初期集中支援等を促進するとともに、若年性認知症対策に取り組みます。

共産党はこちら(『2017総選挙/各分野の政策』より)

認知症の高齢者に対応する公的介護サービス・介護基盤を抜本的に拡充するとともに、認知症の早期の発見・診断、初期の相談と家族への支援から、終末期のケア・看取りまで、切れ目なく治療と支援を行う、医療・保健・福祉の連携体制の構築をすすめます。

給付費削減のための「追い出し」ではなく、安価に利用できるグループホームや介護施設の計画的増設など、認知症の人が地域でくらせる基盤の緊急整備をすすめながら、在宅復帰をすすめていきます。

認知症対策に真っ向から反する、“要支援者切り”“軽度者切り”“介護とりあげ”の制度改悪に反対します。

社民党はこちら(『憲法を活かす政治』より)

「認知症基本法」を制定します。

自殺防止対策:自民党・公明党は「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目標に。共産党は社会構造の問題を指摘。

自殺防止対策に公約上で言及しているのは主に自民党・公明党・共産党の3党。自民党と公明党は「誰も自殺に追い込まれることのない社会」で一致。共産党は、自殺の背景には社会構造の問題があるとし、水際対策と並行して社会構造にもアプローチが必要だとしている。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

「自殺総合対策大綱」に基づき誰も自殺に追い込まれることのない社会を作ります。

公明党はこちら(『Manifesto2017』より)

子ども・若者の自殺予防教育を一層推進し、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現をめざします。

共産党はこちら(『2017総選挙/各分野の政策』より)

なによりも重要なことは、安定した雇用の確保、中小企業の経営の安定、生活保護の切り捨てをはじめ社会保障改悪の中止など、国民のくらしをささえ、健康を守る政治です。過度の競争的教育の是正や、学校でも職場でも「いじめ」をなくすなど、個人の尊厳と権利を尊重する教育と社会への転換です。

各自治体や、自殺・貧困問題にとりくむNPO(非営利法人)などを中心に自殺対策の努力が広がっており、こうした機関・組織などと連携しながら、自殺の未然防止、問題の改善と解決に向け努力する。

警察が収集し、内閣府が保有している地域別、職種別などの詳細な自殺をめぐるデータが非公表とされています。自殺対策をすすめるために、プライバシーに配慮しつつ、データの公表を求めます。

うつ病対策などのメンタルヘルス(心の健康)の問題にも、政府や行政が積極的に取り組み、心の病を患っている人にたいし、適切なケアを施す体制を、職場や地域に確立する必要があります。

医師不足・偏在対策:共産党は政府のこれまでの政策を批判

医師不足・偏在対策には自民党と共産党の2党が主に言及。自民党は『総合政策集 2017』で医学部の地域枠の活用など、実効性のある対策をするとしたが、他は「一層の検討を行う」と言及するに留まった。共産党はこれまでの自民党主導の医師確保の対策を批判、抜本的な医師数増をうたう内容になっている。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

病床の機能分化・連携の推進、在宅医療の充実、地域の医療従事者確保対策を進め、誰もが安心して受けられる医療の確保を図ります。

共産党はこちら(『2017総選挙/各分野の政策』より)

日本共産党は、医師の計画的に増員し、医療の安全・質の向上、医師の労働条件の改善をすすめます。医療現場の矛盾を深め、「医療崩壊」を引き起こす大本にある、政府の医療費削減路線を転換します。(原文ママ)

削減されつづけてきた診療報酬を抜本的に増額し、強引な病床削減・病院統廃合を中止させ、地域医療全体を底上げする医療政策に転換します。

国の予算投入で医師の養成数を抜本的に増やし、計画的にOECD加盟国平均並みの医師数にしていきます。そのために医学部定員を1・5倍化し、教育・研修体制の充実を図ります。医学部の「地域枠」や奨学金の拡充をすすめます。

産科・小児科・救急医療などを確保する公的支援を抜本的に強化します。地域の医療体制をまもる自治体・病院・診療所・大学などの連携を国が支援します。

医療の安全・質の向上、医療従事者の労働条件改善、産科・小児科・救急医療の充実などにかかわる診療報酬を抜本的に増額します。

医師の公的任用や公募で医師を確保する「プール制」「ドクターバンク」、代替要員の臨時派遣など、不足地域に医師を確保する取り組みを国の責任で推進します。

勤務医の過重労働を軽減するため、薬剤師、ケースワーカー、助産師、医療事務員、スタッフの増員をはかります。院内保育所や産休・育休保障など家庭生活との両立をめざします。女性医師の働きやすい環境づくり、産休・育休・現場復帰の保障などを国として支援します。

参考:医者の約半数が地方勤務希望?「医師10万人調査」に批判の声

参考:「軽度の疲労」は我慢せよ、でいいのか 他人事ではない医師の過労死

医療費・介護保険料の自己負担について:公明党・立憲民主党・共産党は負担減の方針。希望の党は「総合合算制度」を表明。

医療費・介護保険料の自己負担についてに公約上で言及しているのは主に自民党・公明党・希望の党・立憲民主党・共産党の5党。自民党以外は、すべて負担減を打ち出している。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

消費税財源により社会保障制度を持続可能なものとするとともに、安定的な財源確保を図り、子供から、現役期、高齢期まで生涯を通じた全世代型の社会保障を構築します。

国民皆保険制度を維持する

公明党はこちら(『Manifesto2017』より)

現在一部にとどまっている低所得高齢者(65歳以上)の介護保険料の軽減措置を、世帯全員が市町村民税非課税の高齢者全体に拡大する措置の前倒しをめざします。合わせて、特に所得の少ない高齢者向けに実施されている負担軽減をさらに強化します。

希望の党はこちら(『政策パンフレット』より)

医療、介護、障害福祉についての毎月の自己負担額を合算し、上限額以上の負担をしなくてよい「総合合算制度」を導入します。

立憲民主党はこちら(『政策パンフレット』より)

診療報酬・介護報酬の引き上げ、医療・介護の自己負担の軽減

共産党はこちら(『2017総選挙/各分野の政策』より)

日本共産党は、あらゆる窓口負担増の改悪に反対し、軽減を求めます。

医療制度を立て直す改革の第一歩として、▽子ども(就学前)の窓口負担は国の制度で無料とし、現役世代は国保も健保も2割負担に引き下げ、高齢者(70歳以上)は「現役並み所得者」とされている人も含めて1割負担とするなど、窓口負担の軽減を実行します。 

将来的には、安定した財源を確保し、“窓口負担ゼロ”の医療制度に前進していきます。

iPS細胞など先進的研究支援:主な言及は自民党・公明党のみ。

iPS細胞などの先進研究支援については自民党と公明党の2党が主に言及。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

科学技術イノベーションの活性化を官民挙げて推進するとともに、5年間総額26兆円の政府研究開発投資を目指します。

iPS細胞などの健康・医療や、防災・減災、省エネ及び核融合、H3ロケットなどの宇宙航空、海洋・極域の各分野、もんじゅの廃炉を含めた安全確保対策や、原子力分野の研究開発を推進します。

公明党はこちら(『Manifesto2017』より)

「iPS細胞」等による再生医療を迅速かつ安全に受けられるよう、先進的な研究開発への助成等の支援、臨床研究や治験環境の整備、承認審査の迅速化、専門的知識を有する人材の確保と養成などを推進します。

骨髄バンク、さい帯血バンクの運営に必要な予算を十分確保するとともに、患
者・ドナー情報登録支援事業を着実に推進します。合わせてiPS細胞ストック構想に、さい帯血を活用するために必要な体制整備に取り組みます。

iPS細胞等を用いた再生医療研究やがん研究、感染症研究を加速し、健康長寿社会の実現に貢献します。

参考:「9割が非正規雇用」は事実だけど… 京都大学iPS細胞研究所「財政難」の誤解

医療ビッグデータ・AI活用:自民党は「先端的技術による“医療・介護革命”」を表明。

医療ビッグデータ・AI活用については自民党・公明党・希望の党の3党が主に言及。特に自民党は公約の中心となる「生産性革命」の柱として、これらのテクノロジーの導入を位置づけている。

自民党はこちら(『政権公約 2017』より)

データヘルスを推進し、病気や介護の予防、重度化防止対策を強化し、医療におけるICT、IoT、AIの活用を進めるとともに、医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の専門職の活躍を推進します。

乳幼児健診や学校検診などの健康情報の電子化、情報の連携を進めることにより、ライフステージを通じた健康管理を可能にし、併せてビッグデータとしての利活用を促進します。

「第4次産業革命」(IoT・ビッグデータ・AI)の社会実装、先端的技術による「医療・介護革命」を進め、シェアリングエコノミー等を活用した新しい豊かな地方のくらしを実現します。

公明党(『Manifesto2017』より)

保険者によるレセプト・健診データ等を活用したデータヘルスの推進、ヘルスケアポイントの付与等のインセンティブ措置の導入など、個人の予防・健康づくりを推進します。

希望の党はこちら(『政策パンフレット』より)

遺伝子データ分析の飛躍的改善により、将来かかる可能性の高い病気を個人ごとに集中予防し、医療費を削減する。

参考:医療への「ビッグデータ」「AI」導入が、日本で停滞する理由

その他:自民党・希望の党・立憲民主党・共産党より

自民党は「医療ツーリズム振興」(『政権公約 2017』より)

医療・アート・産業といったニューツーリズムの振興に取り組み、国内観光資源の強化を図ります。

希望の党は「花粉症ゼロ」(『政策パンフレット』より)

「花粉症ゼロ」を目指したスギ等の伐採促進、国産材の活用促進などにより、林業の再生を目指す。

立憲民主党は「ギャンブル依存症」を理由にカジノ解禁反対(『政策パンフレット』より)

ギャンブル依存症に対する莫大な社会コストを生じさせ、マネーロンダリングの温床となり治安を悪化させるカジノ解禁に反対

共産党は「子宮頸がんワクチン接種勧奨は再開しない」(『2017総選挙/各分野の政策』より)

子宮頸がん予防が重要課題となっていますが、この間、公費接種の対象となったワクチンについては、副作用の頻度が高く、重い症例もあることが問題となっています。接種勧奨は再開せず、疫学調査もふくめた副反応被害の徹底した検証をすすめます。

参考:子宮頸がんワクチン、国内でも予防効果を示す研究報告が続々