世界各地でLGBTQの権利向上に向けた活動が行われる6月の「プライド月間」に合わせて、国際オリンピック委員会(IOC)が6月2日、性的指向などに基づく差別は許されないと、改めて強調する声明を発表した。
オリンピック憲章であらゆる差別を禁止
IOCは声明の中で、「IOCのすべての活動において、包括性、多様性、平等は必要不可欠な要素であり、差別の禁止はその基盤となる柱」だと強調。
オリンピック憲章に「すべての人がいかなる差別も受けることなく、スポーツをする機会を与えられなければならない」と書かれていることや、2014年の改定で、人種や宗教と並んで、性的指向に基づく差別を禁止する条文が加えられたことを改めて示した。
IOCと開催都市が結ぶ契約の中でも、このオリンピック憲章を遵守することが明記されている。声明では、性的指向に基づく差別などを禁止するIOCの動きは、「東京2020大会でも体現されるだろう」とつづっている。
「このタイミングなら変われると思ったのに…」
一方、国内では、自民党の国会議員による性的マイノリティへの差別的な発言や、「LGBT理解増進法案」の今国会での成立が厳しい情勢となったことを受け、抗議が続いている。
IOCの声明で触れられていた「プライドハウス東京」代表の松中権さんも、5月30日に自民党前で行われた抗議活動に参加。
今回の国会議員の発言を受けて、「初めて『なんでこんな国に生まれたんだろう』と感じた」と悲痛な声をあげた。
「オリンピック憲章には、あらゆる差別の禁止が掲げられています。だからこそ、五輪が開催されるこのタイミングなら、社会が変われるんじゃないかと思って、これまで活動を続けてきました」
「差別を禁止すると約束したはずなのに、どうしてその約束を破るのでしょうか? 約束を守る、これほどシンプルなことがどうしてできないのでしょうか?」(松中さん)
議員らの発言に抗議し、LGBTQに対する差別を禁止した法律を求める署名には、9万4千筆を超える賛同が寄せられた。
呼びかけ人のひとりの松岡宗嗣さん(一般社団法人fair理事長)「きちんと発言の責任を取り、当事者とちゃんと会って話をし、差別をなくす法律を作ってほしい」と語った。