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LGBTQについて学んで、発信して、繋がって。そんな場所が新宿にオープンした。

2010年バンクーバー冬季オリンピックが開催された際に、誕生した「プライドハウス 」。その中でも世界で初めて常設で、大会組織委員会公認の施設が新宿にオープンしました。

東京オリンピック・パラリンピックを契機に、ジェンダーやセクシュアリティを問わず、全ての人が安心して過ごせる場を作ろうと、LGBTQに関する情報発信の拠点施設「プライドハウス東京レガシー」が10月11日、新宿区にオープンした。

LGBTQに関する資料を集めたライブラリーや相談窓口、支援者の養成講座、交流・啓発イベントの会場、カフェスペースなどとしても機能し、大会後も常設の施設として運営していく予定だ。

安心・安全に過ごせる場を

プライドハウスは、2010年バンクーバー冬季オリンピックが開催された際、LGBTQのアスリートやその家族、観光客を歓迎するために、地元のNPOが立ち上げた施設が始まりだ。

その後、活動は世界中に広がり、五輪をはじめとする国際的なスポーツ大会の開催に合わせて、各地の団体が自分たちの「プライドハウス」を設立・運営してきた。

「LGBTQにとってスポーツ界は、ファイナルフロンティア(最後の未開の地)と世界で言われています。学校や職場など、社会には様々な場がありますが、その中でも一番スポーツの領域が、LGBTQに対する差別が根強いと言われているためです」

「プライドハウス東京レガシー」運営責任者の松中権さん(44)は、プライドハウスという場所が持つ意味に関して、そう語る。

「オリンピックやパラリンピックなどの大きなスポーツ大会では、世界中からアスリートの方々がいらっしゃいます。その中にももちろん、ご自身の性自認や性的指向を隠している人もいます」

「そうした方々が安心・安全に過ごせる場所を作ろうと、プライドハウスは立ち上がりました」

日本では松中さんが代表を務め、LGBTQの居場所作りに取り組んできたNPO法人「グッド・エイジング・エールズ」が中心となり、企業や団体、大使館なども巻き込んだ運営団体(コンソーシアム)を結成。

2019年秋に日本で開催されたラグビーワールドカップに合わせて、日本初となるプライドハウスを期間限定で開設した。

今回オープンした「プライドハウス東京レガシー」は、文化・歴史、教育、ウェルネスサポートなど8つのチームによって運営され、LGBTQに関して学び、発信し、人との繋がりを築ける、様々な機能を集約した拠点となっていく。

コンソーシアムには現時点で35のNPO、14企業、19の大使館が参加し、休眠預金や企業の協賛金などを運営資金とする。

また、五輪に合わせて開設されたプライドハウスととして初めて、大会組織委員会の公認を受けて運営を行う。

大会後も続く「レガシー」を

オリンピック憲章には「オリンピズムの根本原則」として、性別や性的指向も含むいかなる種類の差別も認めないと書かれている。

また、東京大会は「多様性と調和」をコンセプトの一つとしており、「世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会を育む契機となるような大会とする」と掲げている。

10月11日に開かれた「プライドハウス東京レガシー」のオープニングセレモニーには、トランスジェンダーであると公表した元プロバスケットボール選手のヒルライアンさんや、各運営チームのメンバーなどが登壇した。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の人事部人事制度課ディレクター・茅和子さんも出席し、組織委員会としても、東京オリンピック・パラリンピックがその後の日本社会にどのような「レガシー」を残せるかを重視しているとコメント。

「東京2020大会をきっかけに人々が色んなことに気付く、そして実行していくのが一番重要なこと。プライドハウスを通じて、LGBTQのことを知ってもらういいチャンスになれば」と語った。

また、IOCのバッハ会長からもお祝いのメッセージが寄せられた。

「スポーツにおいて、私たちは皆平等です。そこに、差別はありません。私たちは、全ての多様性において団結しています」

「(中略)オリンピックの団結、連帯、多様性の精神のもとで、プライドハウス東京が成功し、東京2020オリンピックの一環としての長期にわたるレガシーとなることを願っています」

プライドハウス東京レガシーは、東京メトロ新宿御苑駅から徒歩3分。年内は月・金・土・日の午後1~7時まで開館する。住所などの詳細はホームページから。