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HPVワクチンの積極的勧奨を再開する審議、10月に始めることを田村厚労相が表明

HPVワクチンの積極的勧奨再開について、新型コロナ対応を理由に先送りの発言をしていた田村厚労相が9月17日の閣議後記者会見で10月から再開に向けた審議を始めることを明らかにしました。

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐHPVワクチン。

国が2013年6月に積極的勧奨を差し控えて8年3ヶ月になるが、田村憲久厚生労働相は9月17日の閣議後記者会見で、「可能であれば10月中の早い時期に審議を始めたいということで今、日程調整をさせていただいています」と、10月中に副反応検討部会で再開に向けた審議を始めることを正式に表明した。

日本では毎年1万人が新たに子宮頸がんにかかり、3000人が死亡することから、関係の学会や医師らの団体、自民党の議員連盟などから早期の再開が強く求められ、5万5千筆もの署名も提出されていた。

10月に検討準備を進めていたものの、大臣が一度先送り発言


HPVワクチンは、小学校6年生から高校1年生の女子が無料でうてる。しかし、定期接種となってから接種後の体調不良を訴える声が相次ぎ、マスコミが副反応のように報じたことで、一時は70%あった接種率が1%未満に激減していた。

その後、日本でも厚労省の研究班(祖父江班)の全国疫学調査や名古屋市の3万人の女子を解析した名古屋スタディで、ワクチンを接種していない女子にも同様の症状が見られることが明らかにされ、安全性に問題はないと結論付けられていた。

一方、積極的勧奨が差し控えられていることによって、対象者の女子に個別にお知らせが送られなくなり、自分が対象者であることも知らずに無料でうつチャンスを逃す女子が増えていることが問題になっていた。

厚労省はHPVワクチンについて説明するリーフレットをわかりやすく改訂した上で、昨年10月に個別のお知らせを送るよう自治体に通知。接種率が回復してきたことから、今年10月にも副反応検討部会で積極的勧奨の再開を審議する準備を進めてきた

ところが田村厚労相は新型コロナウイルスへの対応を理由に、「10月というのは物理的に難しい」と判断を先送りする発言をしていた

HPVワクチンを製造販売する製薬会社MSDは、積極的勧奨が再開されることを見越して日本用に調達したワクチンが、再開が先送りされることで廃棄されることになれば、今後の調達も厳しくなる旨を大臣に警告し、大臣の先送り発言を受けて遺憾の意を表明していた

「10月から専門家による評価、検討に着手できれば」

今回、各方面から「先送り」の批判を受け、新型コロナの流行も落ち着いてきたことから、大臣は具体的な日程を表明したとみられる。

田村厚労相は2013年6月に積極的勧奨を差し控えた時も厚労相だった。

17日の閣議後記者会見で、田村厚労相は「積極的勧奨自体を私の時に中断をいたしました。そういう意味では私自身の宿題でもあったと思います」と発言。

その上で、「審議会でご議論いただくのは、可能であれば10月中の早い時期に審議を始めたいということで今、日程調整をさせていただいています」と話し、具体的な日程を初めて示した。

今後、副反応検討部会で専門家の了承を得た上で、健康局長通知の形で積極的勧奨の再開が自治体に通知される見込みだ。


田村厚労相の閣議後会見での発言(HPVワクチンについて)は以下の通り。

まず先々週、一度お話させていただきましたが、HPVワクチンのあり方について検討の準備を進めたいと申し上げてきたところであります。

今後、審議会でいつ議論をいただくのかと質問がありました。私コロナの方も色々対応がありますのでという話をさせていただきましたが、審議会でご議論いただくのは、可能であれば10月中の早い時期に審議を始めたいということで今、日程調整をさせていただいています。

平成25年から定期接種化になったのですが、積極的勧奨自体を私の時に中断をいたしました。そういう意味では私自身の宿題でもあったと思います。

しっかりとご議論をいただいた上で、積極的勧奨をできるかどうか判断をいただきたいと思っております。

【質疑応答】

(HPVワクチンについて。コロナワクチンがある程度見通しがつくことを条件にという話もあったが、今回、改めて10月中に審議会を開くとした理由を教えてほしい。日程感、審議会での議論になると思いますが、来年度からなのか)

まず時期というのは一定程度、いろんな調査等もしてきたわけでありますし、国民の皆様がたにご理解いただけるかということで、平成25年、中断といいますか、一度積極的勧奨を止めさせていただいた経緯があります。

そういう意味で、昨年対象者に個別に全国に(お知らせを)送付をさせていただきました。すべての自治体ではありませんが、かなりの自治体でやっていただいた結果、そういうところでは接種の率も上がっているということもございます。

そういう状況等も踏まえながら、WHOからも既に何度か今の現状に対して懸念を示されているところがあります。

そういうことを総合的に判断し、また一方で、新型コロナの方はいよいよ今日からいろんな議論が始まりますので、そういうことも踏まえてこの10月という時期が適当ではないかということで日程調整をさせていただいているということであります。

積極的勧奨の時期ですか?

これはまだ、ご審議をいただいてどうなるかわかりませんので、その結果が。今、つぶさに申し上げるわけにはいかないと思います。

ただそのご審議の内容によっては、来年度から始まることも否定しているわけではありませんので、ご議論をしっかりやっていただいた上でどのような判断になるかということになろうと思います。

UPDATE

発言内容をより詳細に書き加えました