
ニュージーランド人のジュリー・サベージは、オーストラリア人の同僚達からつけられた「キーウィ」というあだ名が人種差別だとして訴えたが、棄却された。「キーウィ」はニュージーランド人を指す一般的な言葉であり、同僚は彼女を侮辱しようとしたわけではないという判断を裁判所は下したのだった。
南オーストラリア・アデレードにあるベーカリー Vili’s Cakes Bakeryで、ジュリアはチームの監督責任者として働いていた。昼間の勤務時間帯で2番目の責任者だった彼女には、賃金も上乗せされていた。
2016年5月から、同僚達がジュリーのことを「キーウィ」と呼び始めた。彼女は職場で不当な扱いを受けたとは主張していないが、このあだ名がつけられることで「軽蔑」されたと訴えた。
これに対し南アフリカ労働裁判所(the South Australian Employment Tribunal、通称SAET) は、ニュージーランド人を「キーウィ」と呼ぶこと自体は侮辱的な行為ではないと判決を下した。
ニュージーランド人のこのあだ名の由来は諸説ある。国鳥キーウィからきているという説もあれば、ニュージーランド発祥で世界的に有名な靴磨きクリーム"Kiwi"から始まったとする説もある。
また「キーウィ」は決して外国人のみがニュージーランド人に対して使用しているのではなく、ニュージーランド人自身も自らを「キーウィ」と呼称することがある。その歴史はニュージーランドがイギリスの植民地だった時代まで遡るという。
起原についての謎は多いが、「キーウィ」が一般的なニュージーランド人を指すあだ名として頻繁に使われることは確かである。
Vili’s Cakes Bakery側はジュリーが「キーウィ」と呼ばれていた事実は認めたが、このあだ名は差別的ではなく、ニュージーランド政府にも受け入れられていると法廷で例を挙げて説明したという。
辞書も引き、「キーウィ」は鳥だけでなくニュージーランド人やニュージーランドの兵士、スポーツ選手など、ニュージーランドに関わる様々な物を指すと主張した。
そして「ニュージーランド人を『キーウィ』と呼ぶ行為や『キーウィ』というあだ名自体に侮辱的な意図はない」との判決が下った。
機会均等委員会のニキ・ヴィンセントは、「大切なのは、ジュリーは人種差別を訴えていたのではなく、望まないあだ名で呼ばれていた苦痛を訴えたかった、という点です」と語る。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子