新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、「日本での検査は陰性の場合8万円自己負担、陽性の場合は国負担」というツイートが拡散している。
これは「誤り」だ。現状の検査体制では、個人が費用を負担することはない。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。
Twitterで拡散しているのは、以下のような2月17日のツイートだ。
「新型コロナ検査
日本 陰性の場合8万円自己負担 陽性の場合は国負担
韓国 陰性の場合1万6千円自己負担 陽性の場合は国負担
なにこれ。 安倍、なにこれ。 消費税は社会福祉の充実とかウソこくな」
2月19日正午現在で、1万6千リツイート、4万「いいね」されるなど拡散。リプライ欄には「検査を受けたくても受けられない人が必ずたくさん出ますね」「なんのために消費税上げたの?」などの声が寄せられている。
このツイートは「誤り」だ。
前提として、現状、新型コロナウイルスの任意検査は実施されていない。検査を受けるのは「渡航歴や患者との接触歴などから、都道府県が必要と判断した場合」とされている。
BuzzFeed Newsの取材に応じた厚生労働省結核感染症課の担当者によると、この場合の検査費用は陰性・陽性に関わらず公費負担となり、「無料」だ。また、検査の結果入院などが必要となった場合の費用も、公費で負担される。
一部では検査費用が「4200円」という情報も広がっているが、これは今回の感染拡大を受けて施行された検疫法の政令改正(1月28日)で定められているものを指している。
これはあくまで法律で定められたほかの感染症と同様、「検疫所で証明書を受け取るため任意検査を行う場合」(担当者)などの費用を指している。
ただし、コロナウイルスに関しては先出の通り、そうした検査は実施されていない。そのため、「4200円」という情報にも注意が必要だ。
気になる症状がある場合は…?
厚労省は以下のような症状がある場合は「帰国者・接触者相談センター」に相談をするよう呼びかけている(詳細はこちらから)。
- 風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)
- 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)。
高齢者や持病がある人、妊婦の人は重症化リスクがあるため、上記の症状が「2日程度続く場合」など早めに相談する必要がある。センターに相談し、感染の疑いがある場合には、専門の医療機関が紹介される。
受診の際にはマスクを着用し、「咳エチケット」を徹底するとともに、公共交通機関を避けることが重要だ。相談センターについての詳しい情報は、こちらから閲覧できる。
また、症状に不安がある場合など、一般的な問い合わせについては相談窓口(0120-565-653、FAX03-3595-2756、土日祝を含む9時~21時)が開設されているほか、LINEの公式アカウント「新型コロナウイルス感染症情報 厚生労働省」による相談も受け付けている。
BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。
ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。
また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。
- 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
- ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
- ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
- 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
- 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
- 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
- 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
- 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
- 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。