公式サイトなどによると、寺沢さんは北海道旭川市出身。1976年に上京して手塚治虫さんのアシスタントを務めました。1978年から84年にかけて、週刊少年ジャンプで『コブラ』を連載。全世界での単行本の累計部数は5000万部以上になります。
左腕に武器「サイコガン」を着けた宇宙海賊コブラの活躍をアメコミ風のタッチで描きました。渋いセリフ回しで知られ、コブラの「知らんのか」というセリフは「ネットミーム」として拡散しています。
漫画制作へのPC導入でも先駆者として知られていました。85年には彩色にPCを導入した『BLACK KNIGHT バット』の連載を開始。92年には世界初フルCG漫画といわれる『武 TAKERU』の連載をスタートし、「デジタルマンガ」と名付けていました。
偉大な先人である寺沢さんの訃報に、漫画界から追悼の言葉が相次いでいます。
麻宮騎亜さん「学生のころから大好きだったスペースオペラ」
SF漫画『サイレントメビウス』で知られる漫画家の麻宮騎亜さん(@kia_asamiya)は12日にXを更新。『コブラ』について「学生のころから大好きだったスペースオペラ」とした上で、プロになってから寺沢さんに会ったときのことを「先生は、終始和やかに笑っておられ、こんな僕に対しても優しい言葉をかけていただきました」と回想しました。
2018年に『寺沢武一 コブラ40周年展 - COBRA the Illumination-』に参加した際のイラストを添付して「公式にコブラのイラストが描けたのはファン妙理、作家妙理につきます」と振り返っていました。
さんりようこさん「これぞSF少年漫画!!」
『B型H系』などの代表作がある漫画家の「さんりようこ」(@sanriyok)さんも11日、「コブラを繰り返し読みました」として、1988年にアニメ雑誌『ファンロード』のスペースオペラ特集に投稿したというファンイラストをXに掲載しました。
このイラストでは、ジェーンら女性キャラクター3人と主人公コブラを並べた上で「コブラ最高」「これぞSF少年漫画!! 素晴らしい作品だった… 永遠ヨイショ!」と熱い思いを綴っていました。
上山道郎さん「ノウハウを惜しげもなく公開してくれた」
『ツマヌダ格闘街』で知られる漫画家の上山道郎(@ueyamamichiro)さんは12日、デジタル漫画の先駆者だった寺沢さんの業績をXでたたえました。
「寺沢先生は日本で最初期にMacで漫画を描くシステムを膨大な私財を注ぎ込んで実現し、そのノウハウを惜しげもなく公開してくれた方です」と、90年代の寺沢さんの著者を紹介して、その実績を強調しました。
その上で「この人がいなければ漫画制作デジタル化の流れは十年遅れていたんじゃないでしょうか」と結んでいます。
イセダマミコさん「高かったMac買って、悪戦苦闘してました」
『今夜もノムリエール』の著書がある漫画家のイセダマミコさん(@isedamamiko)は、寺沢さんの本の影響力を12日、Xで振り返りました。
「パソコン作画黎明期にみんな寺沢武一先生の本を買って、高かったMac買って、悪戦苦闘してました」とした上で、当時のPCは処理速度の関係から「描画や保存の間にコーヒー淹れて飲める…そんな時代でした」と回想しています。
【訂正】上山道郎さんのアカウント名に、誤ってイセダマミコさんのアカウント名を記載していたため訂正しました(2023/9/13 9:23)