米テキサス州に住む90歳の女性が、大学院を卒業したとして、話題を呼んでいます。高校を卒業してから、実に73年後のことでした。
女性の名前は、ミニー・ペインさん(90)。
ペインさんはこの秋、ノーステキサス大学院の学際教育課程を修了しました。同大の修士号卒業生で、史上最高齢だといいます。
※学際教育(Interdisciplinary Studies)=1つの学問領域にとらわれず複合的な学問領域を深める課程のこと。
ノーステキサス大学が投稿した卒業セレモニーの動画には、ペインさんが登壇する様子が映っています。
「90歳の卒業生、ミニー・ペインさん」と紹介されると、一同が歓声を上げながら起立。
お孫さんに付き添われて壇上にあがったペインさんは、観衆の拍手喝采を浴びました。
ペインさんが、同大学に入学するまでの道のりは容易なものではありませんでした。
米複数メディアによれば、ペインさんは高等教育を受けていない両親の元に生まれました。織物工場の家庭で育ち、生活は苦しかったといいます。
同大学院のホームページによれば、1950年に高校を卒業し、1年間の短期大学に進学。その後、すぐに働き始めたそうです。
結婚や出産、子育てなどのライフステージ、そしてさまざまな仕事を経験したのち、ペインさんは68歳で退職します。
すぐさま、テキサス女性大学に入学し、2006年、当時73歳で学士号を取得します。
その後、ジャーナリズムの仕事を経て、ジャーナリズム課程を専攻するためノーステキサス大学院に入学。
コロナ禍を経て、オンラインでも修士号取得が可能だった、学際教育課程に編入し、今回卒業となりました。
ペインさんは、同大学院によるインタビューでこう語っています。
「本当に勉強することが多くて、何度も徹夜しました。でも私はやり遂げました」
CBSの取材に対し、ペインさんは「大学院に入学したきっかけ」をこう話します。
「自分自身をもっと成長させたかった」
「68歳で仕事を引退したとき、私はこれまで建設的なことを何一つしていないと思った。『前向きに、積極的に』これが私の信条だから」
「学士号を取ったとき、私は73歳だった。そのときのクラスメイトは、私を1人の仲間として対等に扱ってくれた。彼らは私に敬意を持って接し、私も彼らを尊敬していた」
同大学院の副学長で、ペインさんの指導教員も務めたビリー・ロスラー博士は、彼女の功績を称えています。
「人間が生涯にわたって学び、学習を続けるのを、教育現場ではよく『生涯学習』と言いますが、彼女はまさにそれを体現した人です」
「90歳で学位を取得した彼女の粘り強さには、感心させられます」