トランプ大統領が弾劾された場合、何が起きるのか?

    トランプ氏が退任する1月20日よりも前に上院の弾劾裁判で有罪になるかどうかが、今後の影響の分かれ道になる。弾劾決議案は、現地時間13日に審議される。

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    アメリカのドナルド・トランプ大統領が自身の支持者らを扇動し、暴徒化した支持者らが連邦議会の議事堂に侵入するという前代未聞の事件の後、民主党はトランプ氏の弾劾に動いている。

    トランプ大統領は2019年にも、権力乱用と議会侮辱で弾劾されている。同氏は任期中に弾劾手続きが2度取られる史上初の大統領となりそうだ。

    今回、トランプが直面している弾劾条項は「暴動の扇動」だ。

    Brendan Smialowski / Getty Images

    2019年10月21日、ホワイトハウスで閣議中のトランプ氏。

    今回の騒乱が起きた1月6日午前に行われた集会を含め、ここ数カ月にわたるトランプ氏の選挙に関する発言やツイートが、支持者らの襲撃を促した、と民主党は主張している。

    共和党議員の一部も弾劾の支持を表明しているが、他の共和党議員は、トランプ氏を罰することは、さらなる分断を生み出す政治的行為だと主張している。

    現地時間13日の水曜日に、下院議員の過半数がトランプ氏の弾劾(すなわちトランプ氏の起訴)に賛成した場合、退任後も上院が裁判を行う可能性があると法律専門家はみている

    2019年とは異なり、今回は上院でも、弾劾裁判での有罪に賛成する共和党議員が増える可能性が高い。2019年にトランプ氏の弾劾を支持した共和党議員はミット・ロムニー上院議員だけで、共和党の賛成票は1票だった。

    上院議員の3分の2がトランプ氏の有罪に賛成した場合、トランプ大統領は有罪となり大統領を解任されることになる。これはアメリカ史上、例がないことだ。

    トランプ氏がわずか数日の任期を残して有罪となった場合、予定より少し早く大大統領職を辞任せざるを得ない。しかし、それ以上の結果が待っている可能性がある。

    トランプ氏の任期が終了する1月20日の後に有罪となった場合、同氏はもはや大統領を「解任」されることはないが、それでも大きな影響を受けるかもしれない。

    これらの多くは前例のないものであり、そしておそらくは後に裁判になる可能性が高いが、もしトランプ大統領が弾劾裁判で有罪となった場合、以下のようなことが起こる可能性がある。

    ①再び大統領選に立候補できない可能性


    上院が大統領を解任した場合、別の投票を行い、今後大統領に立候補する資格を剥奪することができる。

    この法案を可決するために必要なのは議員の過半数。上下院で過半数を抑えている民主党は、すぐにジョージア州の結果に感謝することになるはずだ。

    これは、トランプ氏に大きな打撃を与えるだろう。同氏は2024年に、再び大統領選挙に立候補することを考えていたと伝えられている。

    トランプ氏の再出馬を防ぎたいのは民主党だけではない。一部の共和党議員は今回の事件に激怒し、トランプ氏支持の政党から抜け出したいと考えているようだ

    また、複数の共和党の大物議員は、次の選挙での立候補を考え始めている模様だ。シカゴ大学のウイリアム・ハウエル教授(政治学)はBuzzFeed Newsに「多くの人が、次の選挙でトランプ氏がどうするかを、期待を持って見ている」と語った。

    ②元大統領として享受するいくつかの権利を失う可能性

    元大統領の権限を定めたFormer Presidents Act(元大統領法)によると、元大統領は生涯にわたって「執行部門の長の基本給の年率に等しい」年金を支払われることになっている。2020年では 約22万ドル(約2300万円)になる。

    また元大統領は、オフィスを設けて有給のスタッフを雇う権利がある。加えて元大統領の配偶者は、年間2万ドルを受け取る権利がある。

    しかしこの法律は、弾劾に関する条項の「アメリカ合衆国憲法第2条第4項に基づき、解任以外の方法でその職務が終了した」大統領にのみ適用される。

    任期が終了する1月20日までにトランプ氏が有罪になって解任されなかった場合、この一文は適用されるのだろうか。

    法律家の見解も分かれており、裁判所に決定が委ねられる可能性がある。

    テキサス大学オースティン校のステファン・I・ヴラデク教授は「明らかに未知の領域」だとBuzzFeed Newsに話す。

    「双方向からの議論が考えられるが、『元大統領』の法的な定義から、任期が終了する前に上院で有罪になった人物だけではなく、任期が終了した直後に有罪になった人物を除外できると議会が主張するのは難しい。 トランプ氏が今後も公職に就く資格を失った場合は、なおさらです」

    一方、サウステキサス法科大学のジョシュ・ブラックマン教授は次のように語った。

    「法律には、『有罪になった場合』ではなく『解任された場合』と書かれている。退任後に有罪になっても、トランプ大統領をもはや『解任』することはできません」

    「その場合、トランプ氏はまだ『元大統領』であるというのが私の解釈です」

    トランプ氏が有罪になった場合でも、議会が元大統領法を無効にし、これらの利益を剥奪する法案を可決する可能性は、低いと思われる。

    ③トランプ氏はシークレットサービスに警護される権利を失う可能性(しかし、おそらくその可能性は低い)

    トランプ氏が納税者の資金による警護を失うかどうか。これも明らかではない。

    元大統領法には、弾劾され有罪になった人物を警護の対象から除外すると書いてあるように読める。しかし、シークレットサービスによる警護を定めた2013年の法律では、警護の対象を「元大統領」とは定義していないのだ。

    繰り返しになるが、裁判所がこの問題をどのように解決するかは定かではない。ただし、トランプ氏がシークレットサービスに警護される権利を失う可能性は低いだろう。

    ④トランプ氏の政治的地位と評判に傷が残る可能性

    シカゴ大学のハウエル教授によると、弾劾裁判での有罪がトランプ氏に与える最大の影響は、同氏の政治的立場と、共和党の将来に与える損害だという。

    「共和党は、大きな岐路に立たされています。いわゆる『小さな政府』と低い税金、特にロシアに対して強力な防衛措置を取る以前の公約に戻るか、あるいは大衆主義的な党になるか」

    「大衆主義的な大統領(トランプ氏)が2回弾劾されただけではなく有罪になってしまえば、この党がどちらの方向に進むべきかについて、非常に強いシグナルを送ることになるでしょう」

    それはまた今後のアメリカの大統領に、どのような行動が受け入れられ、そして受け入れられないかについてのメッセージを送ることになるだろうともハウエル氏は話す。

    「それは民主主義のために立ち上がること、そして適切な大統領の行動について私たちが持っている期待を形作ることになるのです」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。