アメリカの首都ワシントンで1月6日、トランプ大統領の支持者らが連邦議会を取り囲み、一部が議事堂へ侵入した。
議事堂ではこの日、アメリカ大統領選で各州の選挙人による投票結果を公式に集計し、当選者を正式に決めるため上・下両院による会議が開かれていたが、この混乱で一時、中断した。
Twitter社は「市民の統合を揺るがす重大なポリシー違反を繰り返した」として、ツイートで選挙不正の主張や支持者らにデモ参加を呼びかけてきたトランプ氏のアカウントをロックし、3つのツイートの削除を求めた。

群衆が議事堂に乱入した際、トランプ大統領を支持する旗を身にまとった女性が1人、銃撃を受けて死亡した。
ワシントンでは夜間外出禁止令が発令され、州兵が出動した。その後は群衆が排除され、議事堂の安全は確保されている。
議員はガスマスクを着用して避難

大統領選で敗北を認めないトランプ大統領の「不正により選挙結果が盗まれた」という主張を信じる支持者らは、上下両院合同会議が開かれる6日に合わせ、抗議デモを計画していた。トランプ氏も集結を呼びかけていた。
なお、トランプ氏が主張する「選挙での不正」は各州の選挙管理委員会が否定しているうえ、トランプ氏陣営が起こした各種の裁判でも裁判所に認められていない。
抗議する人々の中にはトランプ支持者であることを示す「Make America Great Again」と記された帽子をかぶった人や、南北戦争の時代に用いられた南部アメリカ連合の旗を掲げる人の姿も。

暴動で議場にいた議員らは一時、催涙ガスや火災に備えてガスマスクを着用して避難した。
攻撃の矛先は報道陣にも向けられ、中継用の機材が一部破壊された。こうした行為も「メディアは国民の敵」とトランプ大統領が主張し続けてきたことがもたらしたといえるだろう。

ワシントンD.Cのバウザー市長は6日午後6時に外出禁止令を発令。1100人の州兵が警察を支援するために動員された。警察は5つの武器を押収し、少なくとも13人を逮捕した。
上下両院合同会議は議事堂が片付けられた後に再開されることが発表されている。
「我々は決して諦めない」とデモを煽動

トランプ大統領は暴動が起きる数時間前、ホワイトハウス南側の広場で演説し、副大統領を務めるペンス氏に選挙結果を覆すよう要求。「我々は決して諦めない」と強調していた。
その後、支持者らにデモ行進を呼びかけた。

「長きに渡り不当に扱われてきた愛国者たちから、神聖な選挙の勝利が無情にも、悪意によって剥奪される」
「愛と平和を胸に家へ戻って。この日を永遠に忘れないで」

トランプ大統領は目の前で暴動が起きている中、暴力を容認する投稿を繰り返した。
その後、暴動の参加者たちへ家へ帰るよう促す動画を公開したが、「愛している、君たちは特別」「君たちの気持ちはよくわかる」とも語っており、参加者たちへの励ましとして受け取られるのではないかと批判されている。

共和党のミット・ロムニー上院議員は「これは大統領が引き起こしたものだ、暴動だ」と語り、トランプ氏を非難した。
Twitterがトランプ氏のアカウントをロック
As a result of the unprecedented and ongoing violent situation in Washington, D.C., we have required the removal of three @realDonaldTrump Tweets that were posted earlier today for repeated and severe violations of our Civic Integrity policy. https://t.co/k6OkjNG3bM
Twitterは「ワシントンで前例のない暴力が発生した」としてトランプ氏のアカウントをロックし、3つの投稿を閲覧できない状態にしたうえで、削除を求めた。
現職の大統領がツイートで暴力を扇動したとしてアカウントをロックされた、ということになる。トランプ氏はTwitter上で選挙に不正があったという主張を繰り返し、アメリカの選挙制度そのものに対する国内外の不信感を増長させてきた。
Twitterは12時間以内に問題のツイートを削除しない場合には、アカウントのロックを継続するとしている。そのうえで、さらに違反が続く場合、永久にアカウントを凍結するという。
Facebookも同様にトランプ氏のアカウントをロックした。