今年のメットガラのテーマ「キャンプ」って結局何なの?

    毎年5月にニューヨークで開催されるファッションの祭典、「メットガラ(METガラ)」。セレブたちが身にまとう様々な衣装が毎年注目される。あまり聞き馴染みのない今年のテーマ、「キャンプ」とは何か考えよう。

    毎年5月の第一月曜日、米ニューヨーク市のメトロポリタン美術館が、美術館の服飾研究所(コスチューム・インスティテュート)の資金集めのためにイベントを開催している。インスティテュートが毎年開くファッション展覧会のオープニング・イベントでもあり、「METガラ」と呼ばれている。

    METガラでは毎年、テーマがある。今年の展覧会のテーマは、スーザン・ソンタグのエッセイ『《キャンプ》についてのノート』に着想を得て、「キャンプ:ファッションについてのノート」とされている。

    でも、多くの人がそうであるように、みなさんはまだ思いを巡らせていることだろう。「『キャンプ』とは厳密にはなんなのだろうか? まだ分からない。どうやったら『キャンプ』を着られるのだろうか?」

    じゃあ、いままでに「キャンプ」をやったことがある人は誰がいるだろうか?

    だが、トレンドになるずっと前に、有色人種のゲイ・コミュニティで「キャンプ」が始まったと言うのは、大胆だろうか。

    メリヤム・ウエブスター英英辞書には「ホモセクシャルの俗語」と書かれている。しかしソンタグは、クィアネスやクィアなアイデンティティの重要な役割を「キャンプ」という言葉に持ち込んでいない、とモー・マイヤーのような評論家は指摘している(出典:『The Politics and Poetics of Camp』)。

    「ドラァグ(ドラッグ)」という言葉を見てみよう。本来「ドラァグ」は、生命のド派手な誇張であり、アイデンティティに根ざしている。それが「キャンプ」だ。

    リル・キムの仰々しい格好に、みんなが絶句したことを思い出してみよう。透け透けでこれ見よがしのセックスアピールであれ、ヴェルサーチ やGucciのような高級ブランドのリミックスであれ(紫のジャンプスーツでは胸が片方露わになっていたが)、あれも「キャンプ」だ。

    「Crush On You」などのミュージック・ビデオでは、大胆な色のウィッグを被り、お揃いの色の服に身を包んでいる。変わっていて刺激的だが、他と違い、ブラック・カルチャーを要約して表していた。

    リル・キムだけではない。1990年代~2000年始めのミュージック・ビデオでは、ブラック「キャンプ」が多く見られた。

    「B*A*P*S」(ブラック・アメリカン・プリンセス)や「ブーメラン」のような象徴的な映画では、ハリウッドにしてみたら独特と感じられる黒人の語り口で演じられているが、黒人のコミュニティにしてみたら日常的なことであり、普通のことだ。

    「キャンプ」についてはもっと話すことがあるが、多くのセレブレティにとっての「キャンプ」は、芸術的な表現であり、楽しいことだということを指摘しておきたい。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan