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「ピルなんてまだ早くない?」と友達に笑われた。緊急避妊薬に関する、ある大学生のツイートが話題に。

友人からのDMで、同世代にも存在する「性の知識の差」を痛感したという彼女。どんな内容だったのでしょうか?

緊急避妊薬に関する、ある大学生のツイートが話題に。

緊急避妊薬の薬局販売についての大学生のツイートが、1万7千以上のリツイートと4万3千以上のいいねを集め、話題となっています。

性教育や、正しい避妊の知識についてリプ欄でも様々な意見が寄せられるきっかけとなった、そのツイートの内容とは。

これをインスタのリア垢に投稿したら高校の同級生の医学部に進学した男の子からこんなDMが… 私は彼の知識のなさにショックを受けてこんなメモを送りました (以下ツリーに続く) #緊急避妊薬を薬局で #ピル #緊急避妊薬 #性教育

BuzzFeed Newsはこのツイートをした、りんりんさんを取材しました。

大学1年生のりんりんさんは、普段から社会の中で感じるジェンダーや性に関する様々な違和感や問題について発信しています。

今回話題になったツイートのきっかけは、緊急避妊薬の薬局での販売についての記事について、りんりんさんが投稿した自身のインスタグラムのストーリーでした。

ツイートの経緯は?

緊急避妊薬の薬局販売については、内閣府が2020年10月、研修を受けた薬剤師が十分な説明をしたうえで対面で服用させることを条件に、薬局での販売を検討することを表明したことをうけ、「処方箋なしでの薬局販売検討へ」という報道が相次ぎました。

性暴力や避妊の失敗で望まぬ妊娠の可能性がある場合、性交から72時間以内に緊急避妊薬を服用すると、高い確率で妊娠を避けることができます。

欧米など90か国以上で既に処方箋なしで薬局で買えるようになっていますが、日本では、医師の診療を受けた上で処方箋を受けることが必要です。緊急性が高いのにアクセスが悪いことに女性たちの不満が高まり、産婦人科医の有志や市民団体が署名活動や陳情活動を続けていました。

この投稿に、医学部に通う友人からあるDMが……

りんりんさんのストーリーに、医学部に進学しているという、男性の友人(19)からあるDMが届きました。

その内容は、「中出しせっくすするの?w」「ピルなんてまだはやない?w」と、緊急避妊薬を使う女性が、避妊をせずに性行為を行なっているという考えを示唆するものでした。

「これは彼自身の問題というよりは、性教育の問題ではないか」

りんりんさんは、友人からDMを受け取った時の気持ちを「初めは正直言ってびっくりしたのと不快なのが半々くらいでした」と振り返ります。

しかしその気持ちは、冷静になっていくうちに徐々に変化していきました。

「スクリーンショットを撮って『友人にこんなこと言われた』と報告するうちに自分の中でも整理がついて、これは彼自身の問題というよりは、性教育の問題ではないかと思い至り、メッセージを送った次第です」

彼が緊急避妊薬について誤った知識を持っていることは、彼の個人的な問題ではなく、性教育のあり方の問題だと考えるようになったりんりんさんは、返信で緊急避妊薬について丁寧に説明しました。

りんりんさんは友人に対し、避妊についての知識を丁寧に説明。しかし……

返信の中でりんりんさんは、

・ピルの種類(低用量ピルと緊急避妊薬の違い)
・コンドームの避妊成功率は、他の避妊法と比べると低く、安全に避妊を行うためにはコンドームの使用の他にも正しい避妊法を行う必要があること。
・女性が経験する生理中やPMS(月経前症候群)の苦痛について
・緊急避妊薬の役割
・緊急避妊薬の薬局での購入に関する現在までの議論

について丁寧に説明をし、最後に友人への思いをこう綴っています。

性教育は「相手を大切にするためには絶対に必要な知識」。友人に伝えたかったメッセージ。

「こんなこと知らなかった!」ってことがいっぱいあったと思う。医者目指す人がこの認識かとちょっとショックだったけど、多分関心持ってこなかった一般的な男子はみんな〇〇(友人の名前)みたいな人が多いと思う。でもこれは君たちが悪いわけでは決してない。

日本の性教育があまりにも遅れてて不十分だから、必要な知識をこれまで教えられてこなかっただけの話だと思う。つまり、私たちは日本の性教育の被害者なの。

性教育は絶対に変えていかなきゃいけないけど、教えられなかった私たちは自分で調べるしかないよね。それってすごく悲しいし労力がかかることだけど、例えば恋人ができたときに相手を大切にするためには絶対に必要な知識じゃん?

自分を大事にするのにも必要な知識だと私は思う。だからこれからは少し積極的に色々調べて見てね。

同級生の返信は……

りんりんさんの丁寧なDMに対しても、友人からの反応は「ヘラヘラしていた」といいます。しかし、りんりんさんは「『話す』ことこそが、若者が主体としておこせる変化だと考えている」と、これからも性教育について発信していきたいという思いを語りました。

「性に関することは、隠されがちで悩んでもひとりで解決しようとしてしまう部分が大きいと思います。悩んでいることでも問題だと思っていることでも、私たちはもっと声を出して話していくべきではないのかなと思うのです」

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誰にとっても他人事ではないけれど、どこか話しづらい「性」。BuzzFeed Japanは、10月29日(木)から11月4日(水)までの1週間を「性教育ウィーク」として、性にまつわる様々な記事を集中的に配信します。