フロリダ州マイアミで暮らす学生のメーガン・ガスリーさん(18)は、同世代の多くと同様、TikTokに夢中になっています。
動画を作りだしたきっかけは昨年8月、両親から外出禁止を言い渡されたことでした。
ジョークを言ったり、ダンスをしたり、最新トレンドを扱ったりしているガスリーさんの動画は、人気を集めました。
アカウント(@megnutt02)には現在340万人以上のフォロワーがおり、動画の再生回数は合計で数億回に達しています。
ガスリーさんはBuzzFeed Newsに対し、こう語ります。
「TikTokを作り始めてから、どんどん『いいね』をしてもらえるようになりました。これをキャリアにできないかな、と思ってがんばっています」
ガスリーさんがまだ17歳だった4月上旬、自分で撮影してある人物に送ったヌード写真が、ネット上で出回り始めてしまいました。
アメリカでは18歳から成人であるため、この時ガスリーさんは未成年でした。
画像は最初に、ゲーム用のチャットツールにリークされ、そこから他のソーシャルメディアやウェブサイトに流れていった、とガスリーさんは言います。
画像は拡散され、ガスリーさんの画像をスライドショーにしたビデオがアダルト動画サイトにもアップされ、ガスリーさんのTikTokユーザーネームがトレンド入り事態に。ゲーム「Minecraft」でガスリーさんの画像を再現する人まで現れました。
ガスリーさんがリークに気付いたのは、「画像がネットで送られてきた」と友達が教えてくれたからでした。
「私を大切に思ってくれている熱心なフォロワーさんが、家族や友達にメッセージを送って出どころを追跡してくれたから、リークに気付けました」
「どうして人は画像をリークするのか、そのいじわるな心に混乱したし腹が立ちました」とガスリーさんは語ります。
彼女は、「自分の権利が侵害された」と感じました。
同じ学校に通っているそこまで親しくない人から、「大丈夫か」というメッセージが届いたくらいです。
「あれは未成年のときに撮った私的な写真です。プライベートな写真をリークされた上に世界中に晒された。そして、それを常に思い出させられるなんて、そんな思いをすべき人なんて誰もいません」
画像を使ってガスリーさんに嫌がらせをしてくる人もでてくるようになりました。
数百というTikTokアカウントが、プロフィール写真にガスリーさんの写真を使い、彼女の動画にコメントを残すようになりました。
当然、コメントを読む人にはその写真が目に入ります。またインスタグラムに例の画像が投稿され、タグ付けされることが何度もありました。
さらには、TikTokにガスリーさんのヌード画像を含めて、彼女の名前を検索した人がすぐに見つけられるようにする人もいました。
ガスリーさんは、自分が何か動画を投稿するとすぐに、審査中という警告が自動的に出るようになってしまったと言います。
「TikTokの基準にひっかかっているからだと思う」
ヌード画像についてガスリーさんを責める人と、ハラスメントに対して彼女を擁護する人の間で言い争いが起きるようになりました。
あるTikTok認証済みのユーザーは、ガスリーさんの動画に「あなたの肩を持ってあげようとしたけど、もう無理」とコメントを残しました。
ガスリーさんは、「この状況から恩恵を受けている」と非難してきた人への思いをこう語ります。
「心が踏みにじられるような経験なのに、『これで有名になるじゃん、フォロワー増えるじゃん』と言う人がたくさんいます。有名になるのは結構なことだけど、それでもやっぱりこんな状況は嫌なものです」
TikTokの広報担当者はBuzzFeed Newsに対し、こうした状況を承知しており、厳しく対処していると話しました。
ガスリーさんのアカウントがTikTokの使用基準に抵触しているという見解については否定しています。
「画像は他のプラットフォームから来たもので、TikTok上からはすでに削除されています。また問題のアカウントは停止処分になっています」と広報担当者は続けて説明しました。
ガスリーさんは、TikTokの対応に「がっかりした」と言います。
問題となるコメントやアカウントはあるとき一気に削除されたのですが、それまで何日も、ガスリーさんのプロフィールは自分のヌード写真で溢れかえってしまいました。
TikTokでは、ガスリーさんのアカウント名を入力すると今も、「Megnutt02 リーク」という検索予測が出てきます。
ガスリーさんはTikTokと連絡を取ろうとしていますが、先方からの返事はないといいます。
さらに、ガスリーさんのヌード写真は今もTikTokに現れます。
「こういう状況を許しているTikTokに、言い訳はできません。もっときちんとした手順を用意しておくべきです」
「誰かがアカウントを通報しても閉鎖されるのは24時間後で、それまでにはその人たちは新しいアカウントを2つも作っていますから」と彼女は語る。
とはいえガスリーさんは、メッセージや動画で支えてくれた他の有名なTikTokクリエイターたちからの反応に勇気づけられました。
ガスリーさんによると、TikTokでは若い女性が他のユーザーに性的に扱われることはよくあり、ヌード写真がリークされ、同意なしにシェアされた人は他にもいる、といいます。
中には、オンラインでプライベートな写真をシェアすると脅されて自殺したアマンダ・トッドさん(15)にガスリーさんをなぞらえた人もいました。
ガスリーさんは、これまでのところはハラスメントに対処できているから自分は「大丈夫だ」と話します。
「幸運なことに私には支えてくれる人たちがいて、今回の出来事をやり過ごして影響を受けないようにできているから。こういう環境で私はラッキーだと思います」
今回の出来事を受けても、ガスリーさんは変わらない毎日を過ごしています。
多くの人と同様、自宅で勉強をする日々で、今も俳優になりたいと考えており、TikTokもまだ作り続けています(ハラスメントを取り上げた動画も作りました)。
とはいえガスリーさんは今、自分と似たような状況に陥ってしまった人を助けたいと考えており、その方法を模索しています。
今回の経験を語るYouTubeのチャンネルを立ち上げる計画を立てています。
「私は自分を被害者だとは思わないけど、でもひどい扱いはされたと思う。私が被害者にならなかった唯一の要因は、心の持ちよう。今は、波に身を任せて流れに逆らわないでいこうと思っています」