スマホ向けゲーム「ポケモンGO」(Pokémon GO)の公式配信がアメリカなどで始まり、人気を集めている。
ポケモンGOは、スマホの位置情報を使って、現実世界を動き回りながら、画面に現れるポケモンを捕まえたり、バトルしたりするゲーム。App StoreとGoogle Playから無料でダウンロードできる。日本でも7月中に配信される見込みだ。
米グーグルから独立したベンチャーNianticが開発し、販売する。同社はINGRESSの開発で知られ、ゲームには位置情報や拡張現実を活用する技術が活用されている。株式会社ポケモンが総合プロデュースした。
これまでゲーム機やアニメの中にいたポケモンが現実世界に現れるとあって、ゲーマーや若者たちを熱狂させている。
7月6日、オーストラリアとニュージーランド、アメリカで順次配信された。
Business Insiderによると、あまりの人気に一時サーバーが不安定に。Nianticのジョン・ハンケCEOは問題を認め、イギリスやオランダへの展開を一時停止したという。「ゲームは人気になるだろうとは思ったが、明らかに心をがっしりつかんだ」。7日夜の復旧に向けて当てしたという。
SimilarWebによると、8日時点で、アンドロイドのデイリーアクティブユーザー数はTwitterを追い越す勢い。
配信から2日間でアンドロイド機種の5.16%にインストールされた。米で大人気の出会い系アプリ「Tinder」を超え、驚かれている。
産経新聞によると、株式会社ポケモンの親会社である任天堂の株価は6月11日の東京株式市場で大幅続伸し、一時ストップ高に。年初来高値も更新した。
どんなゲームか? ユーザーはポケモントレーナーになる。
アプリを起動中にポケモンが近くに現れると、スマホが振動する。画面上のポケモンをタップすると、ポケモンと遭遇する。
モンスターボールをスワイプして投げると、捕まえられる。(逃げられちゃうことも!)モンスターボールは「ポケストップ」という特定の場所で手に入る。
ポケストップでは、いろいろな道具が手に入る。「どこにあるかは探してみてください」とポケモン広報。
また、ポケモントレーナーは、青、赤、黄の3チームに分かれてバトルを繰り広げ、点在する「ジム」を取り合う。
チームに参加すると、ポケモンを置いて、ジムに所属できるようになる。自分と同じ「仲間チーム」のプレーヤーと協力して、ジムを守る。仲間チームのジムでは、置かれたポケモンとトレーニングできる。別のチームのジムにはジムバトルを挑む。ジムを取り合うわけだ。
ポケモンGOに熱中する人たちはこんな感じ。
Pokemon GO is just insane right now. This is in Central Park. It's basically been HQ for Pokemon GO.
そんな中、こんな珍事件が!
マサチューセッツ州のデザイナー、ブーン・シェリダンさんは1800年代に建てられた教会に住む。8日にゲームアプリをダウンロードしたところ、自宅がジムになっていることに気づいた。
翌朝、自宅に寄ってくる人、人、人。その数、これまでに50人。みんな「トレーニング」している。
教会はジムとして指定されていることが多く、シェリダンさんの自宅もジムになったらしい。
BuzzFeed Newsに対して、シェリダンさんは、困ってはいないけど、深夜の訪問は嬉しくないと話した。面白がっていて、「怒ってはいません。驚きましたよ」
ポケモンを探して、夜中に徘徊する人たちもいる。
あるredditに投稿された話。ある白人男性(40)は眠れなかったため、ゲームをダウンロードして午前3時に家を出た。
歩いている途中、20代の黒人男性2人がいて、声をかけられた。「青いトラックの向こうを見てみろよ。イワークがいるぞ」。すると、いるじゃないか! その後、赤チームに参加するように説得されたよ。
こうして3人で公園でポケモン話で盛り上がっていると、警察官が現れた。麻薬取引をしているのではないかと疑うもんだから、ポケモンしているんだと一生懸命に説明した。そしたら、警官はスマホにダウンロードして、どうプレイするのか聞いてきた。
ワイオミング州のシャイラ・ウィギングズさん(19)は7月8日朝、歩いてポケモンを探している途中に死体を発見した。
ミズーリー州では7月10日、10代の少年4人が男性(33)を強盗した容疑で逮捕された。
オファロン警察のビル・ストリンジャー巡査部長は、BuzzFeed Newsの取材に対して、ポケモンGOが犯罪に悪用されたと説明した。
容疑者たちはポケモンを集めようとポケストップなどに集まってくるユーザーを狙ったという。
アプリを使い、数日間で他8件の強盗に関わった疑いがあるという。
商店街の活性化につながるかもしれない。ある衣料品店はこんな看板を出した。「ポケストップ 入ってポケボールとイケてる古着をゲット!かっこよくポケモン、ゲットだぜ!」
見ず知らずの人たちがポケモンGOを通じて結びつく。
なにより、引きこもりがちだった人たちが外出するのを楽しむようになった。
フロリダ州のアリさん(18)は3年間うつ症状に悩まされ、どうしても必要なときを除いて、外出することを避けてきた。
BuzzFeed Newsの取材にアリさんはこう答えた。
「9歳のころから重いうつ症状で、気力が出ないことに悩まされてきました。15歳で虐待から複雑性心的外傷後ストレス障害(CPTSD)になり、人と会うのが怖くてほとんど外出できなくなりました」
「でも、ポケモンGOで遊び始めて、すぐ外出できたんです。数時間外を歩いたら、楽しかった。ポケモンを捕まえるたびにドーパミンが流れて、もっとやりたくなりました。ここ数日間、ゲームを遊ぶためにわざわざショッピングモールにも行きました。何よりもエンジョイできたのが最高でした」
ソフィアさん(31)もBuzzFeed Newsの取材にこう答えた。
「私はとても内向的なんです。顔面変形のためです。私と話したくないんじゃないかって怖くって、誰かと会話を始めることなんてほとんどありません。でもポケモンGOなら大丈夫って思えるんです。人に話しかけられるし、拒絶されるのも怖くありません」
「より外出するようになりました。この小さい町にこんなにオタクな人たちがいるなんて思いもしませんでした!本当にすごいです」
訂正
看板の訳を直しました。