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あの大企業の名前も。厚労省「ブラック企業リスト」から見える5つのこと

長時間労働をさせた企業の数は…?

厚生労働省が5月10日、労働基準関係法令に違反したブラック企業のうち、この半年間に書類送検された334件を、はじめて一覧表で公表した。

1. 違法な長時間労働などをさせた:63件

労働基準法違反など。いずれも、詳細な労働時間は記されていない。

大手企業では、過労自殺があった電通(東京都)や三菱電機・情報技術総合研究所(鎌倉市)、パナソニックの関連工場(富山県)があがっている。

そのほかの企業も、農協や設備メンテナンス、自動車販売から運送までと幅広い。

また、福井県には外国人技能実習生に長時間労働をさせた縫製会社が6社あった。

2. 賃金の未払いなどがあった:62件

最低賃金法違反など。未払いや所定日までに支払わないケースがほとんどだ。

* 「労働者2名に、23か月間の定期賃金約419万円を支払わなかった」(ヒラマツ、学習塾、岡山県)

* 「労働者6名に9か月分賃金を支払わなかった」(都市開発コンサルタント、建設コンサル、福岡)

* 「知的障害のある労働者3名に、東京都最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった」(伸光舎、クリーニング、東京都)

* 「外国人技能実習生6名に3か月間、所定賃金の一部(総額約251万円)を所定支払日に支払わなかった」(ソーイング i、縫製、兵庫県)

3. 安全策を講じず死傷事故が起きた:3件

いずれも福島県。死亡事故があったケースは2件だった。

* 「フォークリフトへの接触を防ぐ措置を講じなかった結果、労働者1人が轢かれて死亡する災害を発生させたもの」(玄蕃商店

* 「作業計画及び安全教育を行わず作業させ、労働者1名が集材車の下敷きとなり死亡する災害を発生させた」(石嶋商事

* 「プレス機械の安全装置を無効化したまま作業を行わせ、労働者1名が右手指を切断する災害を発生させた」(三本木製作所

4. 死傷事故の報告を虚偽または申請しなかった:36件

多くは入院や労働災害の虚偽報告、未報告だ。

* 「休業4日以上の労働災害が発生したにもかかわらず、労働者死傷病報告を提出しなかった」(日本郵便・新大阪郵便局、大阪府)

* 「約300日間の休業を要する労働災害が発生したのに、休業3日とした虚偽の労働者死傷病報告を提出した」(ニッショー、設備工事、大分県)

* 「2件の労働災害について、『事務所敷地内で脚立から転落して怪我をした』と虚偽の報告を行った」(スペースワン、リフォーム、福島県)

5. 事故防止措置などをしていなかった:209件

労働安全衛生法違反など。安全措置を講じていなかったり、無資格者に作業をさせたりした企業が多い。

* 「高さ8mの屋根上で安全帯を使用させることなく労働者に雪下ろし作業を行わせた」(小川重機土木、建設、北海道)

* 「非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる非常停止装置を備えていなかったもの」(グリーン総業、堆肥製造、岩手県)

* 「労働者にサイドブレーキが有効な状態でないバキュームカーを使用させた」(グリーンファーム京都、農場、京都府)

* 「運転中のフォークリフトと接触するおそれのある場所に、危険防止措置を行わず労働者を立ち入らせた」(ヤマト運輸・神戸深江支店、兵庫県)

一覧表は今後、毎月更新されるという。公表されているページはこちら

BuzzFeed Newsでは、日本の労働状況について「残業100時間超えがこんなに? 世界初の『過労死白書』から見える5つのこと」にまとめています。