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夏休み、旅行や帰省はどうする? 専門家「どこにいても、リスクがある行為は決まっている」

お盆の帰省や県をまたぐ移動は控えるべきなのでしょうか。政府の「Go To トラベル」キャンペーンも始まる中で、気をつけるべきことを専門家に聞きました。

もうすぐ夏休み。

でも、今年の夏休みは例年とは異なるものとなりそうです。

神奈川県内の25の海水浴場は今年、新型コロナウイルスの流行をうけ、すべて閉鎖されたままとなります。

東京都では感染者数の増加が続き、7月4日、小池知事が「不要不急の他県への移動は控えていただきたい」と呼びかけました。

お盆の帰省、県をまたぐ移動は控えるべきなのでしょうか。

旅行について、多くの人が悩んでいることが明らかに

今年の夏休みはどのように過ごす人が多いのでしょう。

大手ホテル予約サイト「じゃらん」を運営するリクルートライフスタイルは7月3日、「新型コロナウイルス感染症による旅行市場への影響」調査の結果を発表しています。

調査の結果、時期を問わず「自家用車で移動する旅行」の需要が高い一方で、夏休み期間中は若年層だけでなくファミリー旅行の需要がそれ以外の時期に比べ高まるとしています。

しかし、国内の宿泊を伴う旅行をする時期について「わからない・感染状況による」と答えた人がほぼ全ての世代で最も多く、過ごし方について悩んでいる現状が見えてきます。

じゃらんリサーチセンター研究員・森戸香奈子さんはこの結果を以下のように分析しています

「夏休みはファミリー旅行が一部戻り、テーマパークなどの需要増が見込まれそうなことが分かりました」

「旅行先については、夏休み前までは県内旅行の需要が高いものの、夏休みになると県内旅行の割合は下がる結果となりました。夏休みをきっかけに一気に県外への旅行が広がるかもしれません」

「マイカー旅の需要は時期を問わず需要が高く、長く続きそうです。一方、飛行機を利用した遠方への旅行は2021年以降に希望する割合が高く出ており、本格的な回復も2021年以降と考えられます」

どうなる「Go To キャンペーン」

政府は7月22日から「Go To キャンペーン」を東京を除外した上で実施することを決めました。観光の需要を喚起することが、その主な目的です。

しかし、このキャンペーンを今行うべきなのか。根強い疑問の声があります。

「Go To キャンペーンに反対します」というオンラインの署名には11万人を超える人々が賛同しています。

西村康稔・経済再生担当相は、東京都を今回の対象から外すことについて、

・東京都における報告日別の感染者数が増加していること

・人口10万人あたりの感染者数が8.7人と他県と比べ「圧倒的に多い」こと

を、主な理由として挙げています。

その上で、「感染者がゼロにはならない」中で、政府は「感染の波を大きくしない努力をする」とし、重要なことは感染防止と社会経済活動の両立であることを西村大臣は改めて訴えました。

「感染拡大防止策と社会経済活動を両立させる。今は当然、(東京発着の旅行を)促進することは対象外。しかし、家族で旅行することまで否定するわけではない」

「新たな日常で、それぞれの業界が悩んでいる。感染者がゼロにならないと仕事ができないのか、お客さんが来ないのかという声も。感染防止策を徹底していただき、両立していかなくてはなりません」

新型コロナウイルスの治療法やワクチンの開発が可能かどうか、見通しも立たない中では、「新しい生活様式」に基づく旅のあり方の考えることが重要です。

専門家「どこにいても、リスクがある行為は決まっている」

専門家は夏休みの旅行について、どのように見解を持っているのでしょうか。

聖路加国際大学QIセンター感染管理室マネジャーで感染症対策の専門家・坂本史衣さんは「人が動くこと」よりも、「そこで何をするのかという行為」が問題だと強調します。

「どこにいても、リスクがある行為は決まっています。3密の空間に行くこと、そうした空間を作ってしまうこと、正面を向いて飛沫を浴びるような場面を避ける必要があります」

「例えば電車などに乗って、そこでお酒を飲んで、騒いでしまうことで感染のリスクは増します。もちろん移動をする間も感染を防ぐ努力は必要です。ですが、移動中の感染はマスクを着けたり、大声を控えることで防ぐことができます。むしろ、行った先での行動に注意をする必要があります」

例えば東京や大阪のように現在、感染が拡大している地域から人が移動することのリスクについてどのように捉えているのでしょう。

「東京は今、地域によっては感染者が多いので、そこから違う地域へと出かけた人が感染対策を徹底できなかったときのリスクが大きい」と坂本さんは言います。

「移動リスク自体のリスクが低かったとしても、3密環境へ行かない、飛沫感染に気をつけるといった行動のコントロールができるのか。強制することもできない中で、皆さん、気をつけることができますか?」

「一律に旅行はダメという対応をとることが、一番安心かもしれませんが、東京以外の地域でGo To トラベルキャンペーンが始まります。行った先での行動や環境をどうコントロールしていくのか。考える必要があると言えます」

帰省はどうすべき?

例えば、同じ家に暮らす家族が車で移動し、テントに宿泊する形で旅行をすることにはリスクはあるのでしょうか。

坂本さんは「もともとリスクはゼロではない。家族の間でも感染は起こりうる」と前置きした上で、「自分たちの車で移動し、行った先も屋外で、テントを立てて宿泊するようなケースでは比較的リスクは低い」と語ります。

「新型コロナウイルスに感染するかどうかは人との接触がどの程度あるのか、どのような環境にいたのかによって左右されます。どういう所に、誰といくのか、そこで何をするのか次第で様々なパターンは考えられます。ですが、根本にある大原則は3密環境の回避と飛沫による感染対策です」

8月のお盆を控え、帰省をどうすべきか。思い悩む人の声も聞こえてくるのも事実です。

坂本さんは「帰省に関しても、流行地域から高齢者が暮らす家庭へと帰る際、自分が感染をしている可能性があるため、リスクはある」と話しました。

「絶対に感染をさせたくない高齢者がいる場合には、換気を徹底すること、飛沫を飛ばさないことに注意する必要があります。例えば、通常は世帯を別にしている人々が一緒に食事をする、お酒を飲むといったことをした場合には感染するリスクが生じ得るということです」

そんな中で、帰省をしたとしても特定の行為を回避するといった方法でリスクを下げる努力をすることを坂本さんは提案します。

「例えば顔は見にいくんだけど、食事はやめておこうかなとか。そういった対応でリスクを下げることも考えられると思います。ケースバイケースではないでしょうか。ただし、高齢者や持病のある方がいる場合にはやはり注意した方が良いと思います」

「感染のリスクがあるから帰省をすべきでない、という考え方をする方もいるとは思います。ここ1〜2年は帰省を控えておく、という方もいるでしょう。でも、中にはご家族も高齢で、病気を持っているから、会えるうちに会っておきたいという方もいるのではないでしょうか。最終的に、どうするかは状況に応じて決めるしかないと言わざるを得ません」

感染を防ぐ上での原則が変わることはありません。ですが、それぞれの状況次第で「どのような行動をとるべきなのか」という質問への答えは変わります。

「正解を知りたいという方も多いと思いますし、どうすべきかわからないという方も多いのはよくわかります。一方で、ここ半年の間に私たちは様々なことを知りました。少しずつ自分たちでどうすべきかを考える癖をつけていった方が良いと感じます」

「今は感染者が増えているから、外での飲食は控えよう。でも、会いには行こうとか。会いに行かずにオンラインで話をしようとか。様々な方法があるので、どのリスクをとるのか、どうしたらリスクを減らすことができるのか、判断ができるようになれると良いですよね」


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📣新型コロナウイルスの影響で、いつも通りに過ごすことは難しい今年の夏休み。

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