ラオス南東部で7月23日、ダムが決壊した。溢れ出た水が6つの村を飲み込み、多数の死者と行方不明者を出している。現地ではいまも必死の救助活動が続く。
ラオス南東部、アッタプー県サナムサイ郡の村がダムの水に飲み込まれた。
アッタプー県はラオス政府に軍と警察の派遣および物資の支援を要請。ラオスのトンルン首相は閣僚会議をキャンセルし、救助活動を見守るために現地入りをしている。
現地メディア・KPLニュースによると決壊したのは建設途中だったセピアン・セナムノイ水力発電所のダム。このダムはベトナムとカンボジアとの国境にほど近い場所にある。
ダムは23日の午後8時に決壊、50億立方メートルもの水が流れ出し、6つの村が飲み込まれたという。
上空から撮影された映像を見ると、かなり広範囲なエリアが浸水していることがわかる。
今回のダム建設事業に参加しているSKエンジニアリング・アンド・コンストラクションの広報担当者はロイター通信に対して、豪雨によってダムの貯水量を上回り亀裂が入ったことがダム決壊の原因になったと説明している。
ダム建設プロジェクトはラオス、韓国、タイの3国の企業による合同プロジェクト。崩壊したダムの建設は2013年にはじまり、来年完成する予定だった。完成後は発電した電力の90%をタイへ送る予定だったという。
貧困国として知られているラオスでは、余剰電力を発電し隣国へと電力を売るための計画が積極的に進められ、現在も国内の水力発電所で発電された電気の3分の2は国外へ輸出されている。
「東南アジアのバッテリー」となるべく、ラオス国内ではこうした発電所建設のプロジェクトが100件進行中で、うち46件は稼働している。
ABCニュースによると、環境保護団体がこれまでもダムの乱立は人と環境に被害を及ぼすと繰り返し警告していた。
そんな中で起きたのが、今回の悲劇だった。
生存者は柱とビニールシートで作られた仮設スペースで生活することを余儀なくされている。
ダム決壊で被害を受けた人々へ支援をしている団体、インターナショナル・リバーはこのような電力供給の仕組みに疑問を呈する。
ダムの亀裂は22日の段階で確認されていた。崩壊の危険性が高まった時点で、建設会社はすぐさま近隣12の村に避難指示を出すように要請していた。
ロイター通信に宛てたメールで、インターナショナル・リバーの広報担当者はラオスのダム決壊について「警戒システムとダム建設プロジェクトの拙さを露呈した」と話している。
「ダムの決壊を知らせる警戒情報が出たタイミングは、自分と家族の安全を確保するにはあまりに遅すぎました」
軍や警察はボートを使い、救助活動と行方不明者の捜索を続けている。
UPDATE
一部表記に誤りがありましたので、修正しました。
この記事は英語から翻訳されました。翻訳:千葉雄登