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新型コロナウイルスで「東京オリンピック中止か」はミスリード。組織委員会は「中止は検討しておりません」と回答

「東京オリンピック中止か」という見出しの記事が拡散。Twitterのトレンド上位にもランクインしたが、この情報はミスリードだ。

「東京オリンピック中止」というキーワードが1月30日朝、Twitterでトレンド入りした。

拡散したのは新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、IOCがWHOが協議を行っていることを伝えた上で「東京オリンピック中止か」という見出しを、「BUZZAP!」というニュースサイトが付けて公開した記事だ。

東京2020組織委員会はBuzzFeed Newsの取材に「中止は検討していない」と回答した。「中止か」はBUZZAP側の臆測とみられ、不正確な内容となっている。

この情報はミスリードだ。BuzzFeed Newsはファクトチェックを行った。

「東京オリンピック中止か」という見出しの記事が拡散

拡散されているのはニュースサイトBUZZAPに掲載された「東京オリンピック中止か、新型肺炎対策でIOCとWHOが協議」という記事だ。

本文では「ドイツメディアの報道によると、国際オリンピック委員会(IOC)が世界保健機関(WHO)と連絡を取り合っていることをDPA通信が報じたそうです」とした上で、「2002年11月に発生したSARSの終息が2003年7月までかかったこと、新型肺炎がSARSを上回る勢いで感染拡大していることを踏まえると、東京オリンピックに重大な影響が及ぶ可能性はあります」としている。

原文を確認すると、これはドイツDPA通信の配信記事を南ドイツ新聞が掲載したものだ。

東京五輪の「安全な開催」に向けて、IOCがWHOと対策を協議しているという内容で、BUZZAPの記事の見出しとなっている「東京オリンピックの中止」に関することは、何も触れておらず、この見出しは、BUZZAP側の憶測とみられる。

この記事はエキサイトニュース等にも配信されており、それがトレンド入りするほどの注目を集めるきっかけとなっている。計測ツール「BuzzSumo」で調べたところ、エキサイトニュースの記事はFacebookとTwitterで合わせて2万2千回以上拡散されていた。

この内容が様々なアカウントでシェアされており、9000回以上リツイートされたものもある。

組織委「東京五輪の中止は検討していない」

東京2020組織委員会はBuzzFeed Newsの取材、「東京2020大会の中止は検討しておりません」と回答した。

そのうえで、新型コロナウイルスの感染対策について、「IOCや関係機関と緊密に連携し、必要に応じて対策についての検討を進めていきます」とコメントした。


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