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Updated on 2020年2月7日. Posted on 2019年12月24日

「政府が1km5円の走行税を検討」は誤り。「若者は家族や持ち家だけでなく車すら持てないのか」と拡散

電気自動車が登場し、自動運転の開発も進む中で中長期的な税のあり方を見直している状態だと財務省の担当者は明かした。

政府が自動車の走行距離1kmごとに5円を課税する走行税を検討しているという情報がTwitterで広がっている。

結論からすると、これは誤りだ。現段階において、具体的な課税額を挙げたうえで走行税が議論されているという事実関係はない。

BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

Twitterより

情報の発端となっているのは、2019年12月21日に投稿された1つのツイートだ。

ツイートでは政府が消費増税の次は走行税を検討しているとした上で、その課税額が「1km5円」であると伝え、「地方は死ねと言う事か」と憤りを示している。

このツイートは12月24日現在2.2万回以上リツイートされており、「通勤できない」「ネット通販とか大打撃」といったコメントが寄せられている。

また、まとめサイト「Share News Japan」はこのツイートと、その反応をもとに【話題】『消費税10%の次は、1km5円の走行税を検討…車しか移動手段がない地方は死ねと言う事か』という記事を配信。

計測ツールBuzzSumoで調べたところ、TwitterとFacebookで計8600シェアされており、大きく拡散していることがわかる。

「情報が切り貼りされた形で拡散」

Peter Macdiarmid / Getty Images

拡散している「1km5円の走行税を検討」という情報は誤りだ。

ツイートに添付されているテレビ朝日のニュース動画(2018年11月28日)は「政府が走った距離に応じた課税を検討している」ということは伝えている。

しかし、「1km5円」といった具体的な内容には言及していない。自動車の税制を抜本的に見直すことを伝える内容だ。

財務省に確認を求めると、担当者はBuzzFeed Newsに対し、以下のように回答した。

「2018年、税制の議論をしている中で資料で海外事例として走行税が取り上げられました。その時の情報が切り貼りされた形で拡散しているようです」

政府では「電気自動車の登場や自動運転の技術の開発などが進む中で、中長期的な税のあり方を見直している段階」という。なお2020年度の税制改正への要望事項には以下のように記載されている。

自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等の自動車を取り巻く環境変化の動向、環境負荷の低減に対する要請の高まり等を踏まえつつ、国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、その課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討を行う。

「1km5円」たびたび拡散

同様の情報が拡散するのは今回が初めてではない。

消費増税のタイミングだった10月にも、同じ情報がTwitterで拡散している。財務省の担当者も「なぜ誤った情報が何度も拡散されるのか」と語る。

たびたび拡散する「1km5円」の根拠は定かではないが、すでに走行税を導入しているニュージーランドの課税制度を伝えたNHKの特集「1000キロで5000円? 走行税の実態は」(2019年4月)が発端の可能性がある。

なお、現段階では、走行税含め、今後の税がどのような形となるのかは「個別にお話できる段階では全くない」(財務省担当者)としている。

電気自動車やカーシェアの普及を見据え、今後走行税の導入が検討される可能性は複数報道されている。とはいえ、事実に基づいた議論が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。



Contact Yuto Chiba at yuto.chiba@buzzfeed.com.

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