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「年越し派遣村」再来も? 年末年始に最大3393世帯が家を失う可能性。支援団体が再び支援の拡充を要望

最大で9ヶ月と定められている「住居確保給付金」の期限が迫っている。4月に受給を開始した人の場合、12月末で期限が切れる。住まいを失う人が続出しかねない状況に、支援団体は支援拡充を要望した。

「国民の住まいを守る全国連絡会」と「住まいの貧困に取り組むネットワーク」は11月19日、生活に困窮している人々の家賃の支払いをサポートする「住居確保給付金」の支給期間延長を求め、厚生労働省と国土交通省に対して、電子署名2500件と緊急要望書を提出した。

現在、「住居確保給付金」の支給期間は最大で9ヶ月と定められている。4月以降は新型コロナの影響で生活困窮に陥った人々の受給が増えているが、このまま新型コロナによる不況が続けば、最大で3393世帯が年末年始に住まいを失いかねない状況だ。

なぜ、このままだと年末年始に住まいを失う?

Nurphoto / Getty Images

(イメージ)

なぜ住まいを失う人が増えかねないのか?

その原因は住居を失うおそれがある人のための家賃支援制度「住居確保給付金」という制度の期限にある。

この給付金は家賃相当額を自治体が支給するもの。支給額は地域ごとの上限の範囲内となっており、返済の必要はない。

東京23区の場合、単身世帯は53,700円、2人世帯は64,000円、3人世帯は69,800円が支給上限額として設定されている。

支援を受けるには収入や資産について設けられている基準を下回っていることなど、いくつかの条件を満たす必要があるが、満たしている場合には住まいを失うリスクを回避する助けとなる。収入や資産などの制限はあるが、条件を満たせば申請することができる。

NHKによると、2020年4月に受給を開始した世帯数は3393件、5月に開始した世帯異数は2万6591件、6月に受給を開始した世帯数は3万5241件、7月に受給を開始した世帯数は2万554件にのぼる。

問題視されているのが、その期限だ。期間は原則3ヶ月、最長で9ヶ月とされており、4月に受給を開始した場合は12月末に期限を迎えることになってしまう。

コロナ禍にあって、不況を脱する見通しは立っていない。年末以降、収入が回復しないままに期限を迎え、家賃を支払うことのできない人々が続出する可能性があるのだ。

期間だけではない、住居確保給付金の問題点

Yuto Chiba / BuzzFeed

「住まいの貧困の取り組むネットワーク」世話人の稲葉剛さん

支援団体は9月25日にも要望書を提出している。

支援期間を少なくとも1年間とすること、公営住宅等への転居を支援すること、支給を受けるための用件を緩和すること、支給額を引き上げること、支援を受けるための窓口の人員体制を拡充することなどを求めていた。

今回の申し入れでも同様の緊急要請書が提出されている。

「住まいの貧困の取り組むネットワーク」世話人で生活困窮者支援に長年取り組む稲葉剛さんは「今は緊急事態。支援の期間だけでなく、支援要件や支援額を含めて、全ての人を守るんだという意気込みを見せてほしい」と語る。

都内の炊き出しには、平年に比べて多くの人が集まっている。11月にあった池袋の炊き出しには、通常時の1.5倍にあたる270人が集まったという。

Yuto Chiba / BuzzFeed

問題は「住居確保給付金」の支給期間だけではない。

「コロナ危機によって、低所得者だけでなく、いわゆる中間層や、これまである程度安定した収入のあった自営業やフリーランスの人たちも、家賃の支払いが難しくなっている状況があります」

「ですが、住居確保給付金の制度設計は生活困窮者自立支援法という法律に基づいており、生活保護の手前でサポートするという趣旨のものです。収入要件があり、生活保護レベルにならなければ受けられない。そのため現状では利用できない人々がいます」

年越し派遣村の再来も?

Toru Yamanaka / AFP=時事

2008年暮れ、仕事と住まいを奪われた派遣労働者を救済するため日比谷公園にできた「年越し派遣村」

新型コロナの影響が長期化する中で、飲食業などで働く非正規雇用者の解雇が相次いでいる。

今後、東京都から再び時短営業の要請などが出された場合には、「そのしわ寄せが非正規雇用者の人へといくのではないか」と稲葉さんは危惧する。

「これから冬を迎えるにあたってどうなるのか。年越し派遣村のようなことをせざるを得ないのではないかという声も上がっている」と強調する。

コロナの影響もあって1箇所に大勢で宿泊するような形式は難しいものの、年末年始に向けて何らかの緊急支援を検討しているという。

時事通信

東京都は、年末年始に住まいを失った人に向けた一時住宅を確保する方針を示している。だが、4〜5月の緊急事態宣言下に都が一時住宅としてホテルを提供した際の混乱は記憶に新しい。

「都内に6ヶ月以上いる人でなければ受け入れない」といった条件が当初は課されたために、初期段階では利用できない人が続出したのだ。

こうしたケースを踏まえ、稲葉さんは「住まいに困っている人が誰でも利用できるようにしてほしい」と要望する。一時的な住宅だけでなく、その後の恒常的な住まいの確保へつなげる支援策もセットで打ち出すことが重要だという。

厚労省「今まさに検討を進めているところ」

時事通信

厚労省の担当者は「住居確保給付金」の支給期間について「今まさに検討を進めているところ」と答え、与野党をはじめ各所からの要請を踏まえて関係部局と調整を進めてる段階であるとした。

また、住宅施策を取り扱う国交省は、支援に関する情報が滞りなく福祉担当部局へ行き渡るよう「今後も連携を進めていく」とした。