おことわり:本記事では摂食障害、虐待など、センシティブな話題を含みます。
メンタルヘルスの専門家であるセラピストは、違う視点から物事を考えるきっかけになるような質問を投げかけることがあります。
英語圏で人気のネット掲示板Redditで、u/annabel420さんがこんなスレッドを立てました。
「これまでセラピストに聞かれた絶妙な質問を教えてください」
すると、「心が落ち着いた」、「自分の意思を持つことができるようになった」など、前向きなコメントが多数寄せられました。
そこで今回は、あなたの心を少し楽にしてくれるかもしれない、16人のセラピストによることばを紹介します。
1. 「あなたは昔の自分と同じ?」
この問いは、あれこれ考えこんでしまう自分を引き戻して、自分を見失わないようにしてくれます。
私は、自己制御や物事の分別などでパニックになることがあります。しかし、最終的には自力で解決できるということをセラピストも知っているので、くよくよ悩むことはなくなりました。
この言葉にふれるといつも「そうだ、私はもう過去の私じゃない。何があっても対処できる力があるんだ」と思えます。
2. 「自分に言い聞かせているその話、ほんとうに正しい?」
この問いは私の場合、自分が受けた虐待の話に当てはまります。
心に大きな傷を残すできごとがあったのですが、最近それは現実じゃなくて夢だったのではと、確信が持てなくなりました。
現実だとしたら、私のトラウマを裏づける決定的なできごとです。
でも、もし現実の話じゃないなら、他人に対してネガティブな話をするべきか、考え直すべきです。
3. 「不安からあなたが学んだことは何ですか?」
私は日記をつけているのですが、セラピストさんが提案してくれたトピックのひとつが、この問いでした。
日記をつけるうちに、気がつきました。自分が何かを必要としているのに、それを顧みないでいるとき、不安が高まるのです。
この問いがうまく問題をとらえ直してくれて、自分を大事にケアしていないと、不安とお友達になってしまうのだと気づかせてくれました。
5. 「いつになったら『やらなきゃ』が『やってる』になるの?」
私に必要だったのは、もっと自分を認めてあげること、自分に厳しくしすぎるのをやめること、ちゃんとできていることを認めることだったんです。
私は「やらなきゃ」と、そればかり言っていました。
そうしたらセラピストさんに言われました。
「あなたの『やらなきゃ』はいつになったら『やってる』になるの?あなたはやろうとしてて、あれもこれもやれているじゃない。『やらなきゃ』じゃなくて、もう十分『やっている』じゃないの?」と。
6. 「どうして自分のことを、怒りの感情について問題がある、感情面に問題がある、と言い続けているの?」
小さい頃から「あなたは『怒り』の面で問題がある」と言われてきました。
しかし、セラピストに指摘されて初めて、これは家族が私の感情面をきちんと理解しようとしなかったことが原因なのではないかと思い至りました。
私の感情はいつも筋が通っていなくて「過激」だと思い込まされてきたのです。実際、そんなことはなかったのに。
最近、セラピーは卒業しました(自分で選んでそうしました。戻りたければいつでも戻れます)。
1年半かけて、感情や自己表現の仕方、自分の感情から他人を「守ってあげる」必要はないことを学びました。
私は感情に敏感なのですが(ADHDと診断)、私のリアクションは何も過激で極端ではないのです。
7. 「もしそうなら、宝くじでもやってみたら?」
当時、もうこのケガは完全には治らないんだ、という考えから抜け出せなくて、自分の将来はこうなるんだと決めつけていました。
そこで言われたのが、この一言です。
「結果を予測する力がそんなに自分にあると思うなら、数字を直感で選ぶ宝くじでもやってみたら、当たる確率はかなり高いんじゃないの」
押しつけたりバカにしたりすることなく、私に言ったんです。
私は、このひねくれた考え方に苦しんでいましたが、不安に意識を向けすぎていることに気づかせてくれました。鋭い指摘だったと思います。
8. 「もし身近な友人が落ち込んでいて悩みを抱えていたら、ネガティブなことを相手に言うかな?」
自分に対してネガティブな考えを持ってしまうことについて、こう言われました。
※落ち込んでいる友人を相手にするときのように、自分自身にも接するべきというアドバイスです。
9. 「自分の身体で好きなところを、ひとつ挙げてみて」
ひとつも挙げられませんでした。
私は泣き崩れて、そこで自分がセルフイメージと自己嫌悪の問題を抱えてるんだと気づきました。
自分の心のなかのつぶやきは、全てがネガティブでした。
その負の感情を徹底的に変えて、自分を愛してあげることを学ばなくてはいけないと、このとき気づいたのです。
私はちゃんとかわいいし、健康的な体重だったのに、ものすごく太っていると思い込んでいました。
表面的に聞こえてしまうけれど、とにかくたくさんの壁を壊すことで、自分は思っていたよりも問題を抱えていると知るきっかけになりました。
セラピーでいちばん忘れられない経験です。10年前の話です。
10. 「それがあなたにとって、どう役に立つの?」
認知行動療法を通じて学んだのですが、人がよくない選択をするのは多くの場合、そこに何かしらプラスになる点があるからです。
自分を傷つけるだけだとわかっている選択など、わざわざしません。
目の前の何か、例えば不安や落ち込み、寂しさ、ストレスなどが、とりあえず少しマシになる選択をするものです。
望ましくない行動をとりがちな人は、「これが自分にとってどう役に立つのか」と考えてみてください。
同じ効果が得られる、もっと別の健全な方法が見つかることは多いものです。
そうすれば、よくない行動を選んでしまうケースも減るのではないでしょうか。
そんなこと知ってるよ、という人もいるでしょうが、私にとってはかなり衝撃的でした。
11. 「あなたは状況を改善したい?つらい経験をたくさんしてきたから、もしそう思えなければ、それでもいいんですよ」
「でも本当のところ、ここに通いたいと思っている?自分ならできるからそうしたい?それとも、状況を改善してここを卒業したい?」
セラピストさんが問いかけたのは、私が本当に回復して傷を癒したいと思っているのかということです。
というのも、回復と癒しの道のりは、ときに傷ついたままでいるより苦しいこともあるからです。
トラウマを経験したら、回復するにはその道をしっかり選ばなくてはいけないんです。
その道のりは、苦痛が全くないわけではありません。痛みや辛さをもたらしうる状況も選ばなくてはいけない、ということです。
毎日家でじっとしていることもできるし、頑張って外の世界に自分を引きずりだすこともできます。あなたの選択次第です。
12. 「体重が減って、やっとハッピーになるの?どうして今、この場でハッピーになってはいけないの?」
この言葉は救いになりました。体重を減らさなくてはというプレッシャーを自分にかけすぎずにいられたからです。
私は過食症になっていて、セラピーに行ったのもそれが理由でした。
セラピーで学び、いちばん大変だったのは、前に進むために今のありのままの自分を受け入れなくてはいけないこと。
体重がかなり増えて、ダイエットやカロリー計算、行き過ぎた運動などをあれこれやってみて、過食した分を打ち消そうとしました。
結局どれもうまくいかなくて、どんどん太っていくなかで、すっかり絶望的になっていました。
自分の身体を好きになって、ありのままの自分に満足する必要がありました。
今は現状に満足していますが、今も体重オーバーなので、もっと健康的なライフスタイルを選ばないととは思っていますが。
これを読んで「わかる」と思う人は、専門家の助けを借りてほしい。
あなたは、体型がだらしないわけではありません。むしろ、メンタルヘルスと向き合うことが大切なんです。人生でずーっと肩に乗っていた重荷が下りたみたいな感覚でした。
13. 「大学を優秀な成績で出て、試験もよくできて、勉強もしてきたなら、どうして合格できないと思うの?」
私のセラピストは普段質問をしないのですが、私が建築士の資格試験を受けるときに、こう聞かれました。
自分のインポスター症候群(自分を過小評価してしまう)は本当に強くて、落ちたらどうしようと、とにかく不安で仕方ありませんでした。
ですが、結局合格してもう3年になります。
14. 「それは別にどうでもいいのよ」
質問ではないけれど、私が「なんで私ってこうなの?!」と言ったときにセラピストさんがこう返したんです。
正直、むっとしました。
自分がどうしてこうなのかさえわかれば直せるのに、と思いました。
彼女の言う通りだな、と受け入れられるようになったのは数年後です。
大事なのはこれが自分だと受け入れること、現実と折り合いを付けながらうまくやっていく方法を見つけることなんですね。
「どうしてこうなのか」は大事じゃないんです。
もちろん知っておくことは有益ではあるけど、知ったからといって、突然ぱっとうまくいくわけではありませんからね。
15. 「あなたが抱えている問題について、自分は経験不足で力になってあげられないと思う」
質問ではないけれど、そのセラピストとは計4回のセッションをすることになっていました。
4回目が終わったとき、私が切り出す前に向こうからこんな感じで言ってくれたんです。
(正直に伝えてくれて)とてもありがたかったです。