おことわり:本記事では性的暴行、家庭内暴力、虐待など、センシティブな話題を含みます。
メンタルヘルスの専門家であるセラピストは、恋愛に関する相談に乗ることも。そんな時、「独特かつ絶妙な」質問を投げかけることがあります。
英語圏で人気のネット掲示板Redditで、u/annabel420さんがこんなスレッドを立てました。
「これまでセラピストに聞かれた、『ハッとした質問』を教えて」
物事の見方、考え方のヒントが見つかった、との声がコメント欄で多数上がり、スレッドは大盛況。
そこで今回は、恋愛の悩みに少しでも光を差し込んでくれるかもしれない、セラピストからのアドバイスをご紹介します。
1. 「周りや他人の行動を、あなたがコントロールできる?」
私は当時、ナルシストな彼と付き合っていて、悩んでいました。
セラピストは、どうして私が元カレの悪しき言動を、他人に説明しなきゃならないのか、と憤慨していたときにこの言葉をかけてくれました。
私は、その場に座ったまま「確かにそうかも。コントロールできない」と気づきました。
だから今では、こう考えるようになりました。
「私が何をしたって彼は変わらないし、彼の行動をやめさせられるわけでもない。それに、相手を自分や誰かにふさわしいような、ちゃんとした人間にするのは、私の仕事ではない」
2. 「関係が終わってしまったことが悲しいのか。それとも、関係を修復できると望んでいたのに、実際は叶わなかったことに悲しんでいるのか、どっちだと思う?」
後者でした。
4. 「あなたが今話してくれたことは、家庭内暴力だと認識していますか?」
そうセラピストに聞かれて、私は「いえ、彼は私に手をあげたことはないです」と答えました。
すると、私のセラピストは、感情的な虐待や心理的、経済的虐待が何なのかについて説明してくれました。
5. 「自分に言い聞かせている話は正確だと思う?」
セラピストにこう聞かれたのは、私の悩みについて話しているときでした。
当時、7年付き合った相手と破局したばかり。私は、自分たちの関係が疎遠になってきたから別れようと思った、そんな自分はひどい人間だと思った、という話をしたんです。
そこで冒頭のように問われて、自分はひどい人間なんだ、という考えを勝手に正当化させていたんだ、と納得したのでした。
二人で違いを乗り越えた末にもっと強くなれる、と私は思っていたのですが、残念ながらそうはなりませんでした。
セラピストさんはこう言い換えてくれました。
「あなたの周囲の人はあなたのことを、優しい、仕事で頼りになる、聞き上手で人の気持ちがわかる、と評価してくれているはず。恋人関係が終わってしまったのは、本当にあなたのせいでしょうか?」
今でも、何か悪いことが起きた時に自分のせいだと考えそうになったら、一度立ち止まって、そう考えた背景を分析するようにしています。
理性を失っているのか? それとも、自分のメンタルを守るため、あえてそうしているのか? と。
6. 「誰と付き合うかはあなたが選ぶの。相手があなたを選んだからその人と付き合うわけじゃない。自分が誰と一緒にいるかを決める責任は自分だけにある」
「そしていつでも、相手とこれ以上付き合いたくないと決めることもできる」
「交際するのは自分がその人を選んだからであるべきで、相手が選んでくれたからではないの。あなたの人生であって、あなたは相手の人生に尽くすためにいるわけじゃないから」
質問ではないですが、これはインパクトがありました。自分で気付くことができなかったのは情けないけど、彼女のおかげで、恋愛関係に対する姿勢がはっきり変わりました。
7. 「あなたに子どもがいたら、知らない人に近づけてもいいと思う?」
答えは絶対にノー。
そして、セラピストはこう続けます。
「では、そういう人物と虐待行為から自分は守られてしかるべきだ、と考えないのはどうして?」
「自分の中の子どもの部分が不安を感じていたら…。その子を気にかけてあげて」
8. 「不正をはたらいた時、罪の意識を感じるもの。ではあなたは、何か悪いことをしたの?」
相手のメンタルを傷つけるような別れ方をしたことを話していたときに聞かれました。
罪悪感は後から身につけた感情で、生まれながらにして持っている感情じゃない、他者の存在があってそういう感情が生まれるんだ、という言葉もかけてくれました。
過去に抱いてきた罪の意識について、改めて考えさせられましたね。
9. 「自分のパートナーが暴力を振るってくると最初から思う人はいない」
「過去の自分には優しくしなきゃ。今は経験があるから、同じようなことが起きれば何か対処できるかもしれないけど、当時はそうじゃなかった」
「そんなことになるとは知る由もなかったのだから、何も悪くないんですよ」
以前、暴力を振るうパートナーと交際していて、私はかなり深いトラウマを負っていました。
責任という視点でセラピストと話していて、私は自分を守るためにもっと何かできたはずだ、危険なサインに気づけたんじゃないかと思う、と言いました。
私が他の男性と会話したことに対して、彼が最初にいらだちをぶつけてきたときの話をすると、彼女はこう聞いてきました。
「彼が初めて怒ったとき、後に自分が壁に突き飛ばされて、冬の夜中に靴も履かずに彼の家から逃げ出さなきゃいけなくなるなんて思った?」
私が思わず笑って、その時は単によくあるちょっとした嫉妬心で、二人で話し合えば解決すると思っていた、と言うと、セラピストは冒頭の言葉を投げかけました。
今、セラピーに通って1年になります。
ここで書いたことは、彼女が言ってくれた実際の言葉の説得力や深みが100%表せてはないのですが、私の母語は英語ではないため、訳して再現してみました。