名前は伏せておくが、あるインフルエンサーのファンページで自作自演疑惑があるものをいくつか目にした。
その中のあるアカウントは、とにかくやりすぎなくらい誇張された表現を使っていたり、絵文字を連続で打ち込んでいたり、妙なつづりにしてみたりとミレニアル世代(1981〜1995年生まれ)に特有の書きかたで、「まだ何もわかってない若いネットユーザー」風を装っている。
インフルエンサーが自作?疑わしいファンアカウントの存在
インスタグラムのファンページをいろいろと見てきた結果、ファンアカウントの精神や、インフルエンサーを称賛するコメントの傾向がわかってきた。

もちろん本当に熱を入れている若いファンや、英語圏以外のファンのアカウントもあって、それで文章が少し不自然なケースもある。でもそこには一貫して真摯な気持ちが表れている、と言えばいいだろうか。
あこがれの人の発信や行動をいつも把握していたい、他のファンとそれを共有したい、そんな本物のファンであることが伝わってくる。こうしたアカウントのコメント欄には、さまざまな反応や対話が繰り広げられている。
一方、最初に挙げた疑わしいファンアカウントは、コンスタントに投稿しているにもかかわらず、他のファンとのやりとりがほとんどない。
誇張しつつもシンプルな言語表現は、実際の若いファンの生の声というより、できの悪い模倣に近い。言ってみれば、リアルな声を形にしているファンアカウントという独自の世界を踏みにじっているように感じられた。
このインフルエンサーは今年、フォロワー数を大きく伸ばしている。
ファンを装って自身の投稿に書き込みか
今年初め、恋愛リアリティーショー「バチェラー」出演者のひとり、マディソン・プルウェットが、インスタグラムの自身の写真に、自身のアカウントで「最高のデートだったね、マディ。あなたは正真正銘の本物 ❤️」とコメントし、後に削除して話題になった。
自身の裏アカウントからファンを装ってコメントしたつもりだったが、アカウントを変えるのを忘れていたとみられる。
マディソン自身はこの出来事についてあまり語っていないが、他のファンアカウントが「マディのアカウントにアクセスできる妹がうっかりコメントしてしまった」のだと擁護している。
あまりかっこいい話ではないので、インフルエンサーにはそんな事実を認めてほしくない。しかし、ファンがその人の価値や名声を認めているからこそインフルエンサーでいられるという性質上、当然のなりゆきともいえる。
すでに飽和状態の世界でファン層を築いていくのは、自分でファンアカウントを演出するよりもずっと大変だ。そして実際、自分で作った偽のファンアカウントがきっかけで、本物のファンが生まれることだってある。派手に注目を集めるコンテンツがあれば、人はそれを理解したい、自分もそれに乗りたいと思うものだ。
世界最多数、1億人以上のフォロワーを抱えるチャーリー・ダミリオを見てもわかる。「普通の」10代にどうしてそんなにファンがつくのか、との辛辣な目やとまどいの声が、ますます人気を押し上げた。
ともあれ、自分のファンページを自作するのは変ではあるけれど、戦略としては合っているとも思う。
実際に自作自演しているアカウントを、ここでひとつずつ晒すつもりはない。でも伝えたいのは、もしやるのなら、ファンの世界を大切にしてほしいということ。そして上手に、抜かりなくやってほしいものだ。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan