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履歴書の性別欄、写真、年齢欄って本当に必要?国への問いかけ。履歴書はどう変わるのか

履歴書から性別欄、写真、年齢欄をなくしてと求める声があがっています。厚生労働省に3つの署名の提出がされました。

就職活動中、履歴書に性別欄や証明写真、年齢欄ってほんとうに必要なんだろうか…と思ったことはありますか?

日本で今、そのような欄を履歴書からなくすよう、求める声が活発化しています。

今年、性別欄、写真、年齢欄を「履歴書からなくして」と訴える人たちがそれぞれ、オンライン署名を立ち上げました。

主宰者らは10月8日、厚生労働省担当者に合同で署名を提出しました。

3つの署名の主宰者らは、厚生労働相に当てた要望書と署名を、同省の担当者に手渡しました。

要望書では、性別欄や写真、年齢欄があることによる影響について、実態調査をすることや、廃止に向けた施策を実施することを求めています。

それぞれの署名主宰者の国への要請と、厚生労働省担当者の反応をまとめました。

採用に「見た目」関係ありますか?

履歴書に証明写真を貼り付ける欄をなくしてと呼びかける主宰者は「なぜ履歴書に顔写真が必要なのでしょうか?」と問いかけます。

企業の採用担当者は「顔採用はやっていません」と言います。しかし、履歴書に顔写真があることで、「採用に影響を与えるのではないか」と指摘します。

この署名を立ち上げたのは、生まれつきのアザや事故・病気による変形、脱毛などの症状を持つ人たちが抱える「見た目問題」に取り組む、NPO「マイフェイス・マイスタイル」と、「日本アルビニズムネットワーク」です。

アルビノ当事者でもある矢吹康夫さんは、履歴書の写真についてこう話しました。

「見た目問題を抱えている人には、写真を撮って提出し、それを評価されることがとても苦痛な人がいます。写真があるというのが大きなハードルになり、写真を提出しないで良い職業に就く人もいて、選択肢が限られることもあります」

「もちろん書類審査や面接だけでなく、その後にも差別はたくさんあります。しかし、まずは第一歩、採用での差別をなくし、その他の差別もなくしていかなければいけないと思います」

署名は「すべての人が、外見ではなく、能力で公正に選考されるために、履歴書の写真欄をなくしましょう」と呼びかけています。

NPO「マイフェイス・マイスタイル」の外川浩子さんは、履歴書に写真欄があることについてのハードルを、こう説明しました。

「面接までたどり着くことができれば、どのような人かと分かってもらえる機会ができます。しかし、写真が理由で書類の段階で落とされてしまったら、その舞台にも立てません。その2つには大きな違いがあります」

また、履歴書の写真欄は、見た目問題を抱える人だけでなく、外国人やトランスジェンダーの求職者でも、差別が起こる可能性もあり、写真を貼りたくない人もいるとしました。

履歴書の性別欄、すでに各所で動きも

性別欄をなくすよう求める署名は、労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が、トランスジェンダーの求職者の声などをもとに、オンライン署名を実施。1万人以上が賛同したオンライン署名は6月末、経済産業省に提出されました。

経産省も「個人属性を問うことは適切ではない」との認識で、日本規格協会に指導をし、様式例が削除されました。

様式例は、履歴書を販売するメーカーらが参考にしているもので、今回の削除により、今後、各メーカーの履歴書にも変化が出てくることが予想されています。

実際に、様式例の削除に伴い、大手文具メーカーのコクヨも、性別欄がない履歴書を作ることを明らかにしています。

国が「様式示す必要性」。調査行い検討している

日本規格協会の履歴書の様式例が削除されたことに関して、今回の申し入れに参加した厚生労働省・職業安定局 雇用開発企画課の担当者は、こう述べました。

「現在、様式例がない状態なので、(国としても)何らかの様式を示さなければいけないと動いています。採用の際に混乱を招かないように、現在色んなご意見を聞きながら、どういった形で示すのがいいのか検討しています」

そもそも様式例が削除されるきっかけとなったのも、性別欄の削除の要請が発端でした。担当者は、新しい様式で、性別欄や写真、年齢欄などの項目を入れるべきか否かも含め、調査をして検討していると説明しました。

担当者は、海外での事例なども参考にして調査をしていると話し、性別欄についてはこう述べました。

「海外の例では、履歴書に性別欄がない国もあり、EU(欧州連合)では例として『男』『女』『その他』『答えたくない』の4択になっているそうです。そのように選択肢を増やすのがいいのか、性別欄をなくす方がいいのかも含めて検討しています」

厚生労働省がLINEと協力し、新型コロナウイルスについての調査を実施した際には、LINEが使っていた形式として「男、女、その他」の選択肢が用意されました。

また担当者は、写真欄については、本人確認の方法としても使われているため、新たな本人確認の方法が必要だと指摘しました。

年齢差別、採用からなくしましょう

日本の求職で大きな問題としてあるのが、年齢が理由となった求職活動の難航です。

履歴書から年齢をなくすよう求める署名には、賛同者からこのような声も集まりました。

「昔から、私もこの問題と戦い続けてきました。年齢差別の原因にもなり、無記入の国もあります。現代社会において、履歴書に年齢を記入する必要はあるでしょうか」

「出産や育児で一度退職して、子供が大きくなってから職場に復帰したいという女性にとって、年齢制限は大きな不利益になります」

署名を立ち上げた金子大輔さんは、履歴書に年齢欄があることで、「門前払いやハラスメントというネガティブな目的に使用されます」と述べました。

厚労省担当者は「基本的には求人を出す場合は年齢不問にしてくださいとお願いしています」としましたが、求人で年齢が問われているケースも多いのが実態です。

担当者はそれぞれの項目に関し「様々な事例を整理している段階で、もし(削除を)実行する場合に、どういった問題が出るのかということも調べている途中です」と説明しました。

厚生労働省だけでなく、文部科学省や経済産業省との調整も必要とした上で、まだ国が新たな様式を示す時期などは定まっていないということです。


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