「LGBT理解増進法案」をめぐる自民党の会合で、反対派の議員が性的マイノリティに対する差別発言をし、強い抗議の声があがっています。
もし、議員による差別発言を報道などで目にして、傷ついたり嫌な思いをした若者がいたらーー。
LGBTQについての情報を発信する拠点の施設である「プライドハウス東京レガシー」でLGBTQの子ども・若者を対象とした相談のサポートスタッフを務める2人に、若者に伝えたい思いを聞きました。
報道によると、自民党の議員らは会合で「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」などと発言。
この発言に対して当事者らの有志が、発言した議員の謝罪や撤回、辞任などを求める署名をオンライン署名を立ち上げ、5月31日、約9万4千筆を自民党本部に提出しました。
多くの抗議の声があがる中、「プライドハウス東京レガシー」で子どもや若者の相談にのるサポートスタッフの小野アンリさんは、こう話します。
「政治家の発言や、それに伴って起こるSNS上の反応で、LGBTQに対する嫌な言葉が繰り返されています。SNSや生活の身近なところでも、LGBTQのことをバカにしたり、たいした存在じゃないと言ったりする言葉や考えに触れてしまうことはたくさんあるかもしれません」
「でも、知っててほしいのは、LGBTQであることは何も悪いことじゃないし、おかしいことでもないということです。もしもあなたがLGBTQであることで嫌な目にあっているのであれば、それは社会の側の問題です。『自分が悪い』とか『自分のせいでこんな目にあっている』と思わないでください」
また小野さんは、そのような差別発言を見聞きしてしんどい時には、一人で抱え込まずに「話してほしい」とも呼びかけます。
「そのような言葉で傷ついている時は、安心して話せる人に話してほしいです。それは、話ができる身近な人かもしれないし、電話相談やLINE相談かもしれません」
「私たちの相談窓口でも、ぜひ話してほしいなって思います。『こんなことを言われて嫌だった』『悲しい』『なんで』という気持ちでも、どんな思いでも、聞かせてほしいと思っています」
「自分たちのことをポジティブに感じられる言葉や価値観が身近にはなかったとしても、本やSNSなどに、そのような言葉を積極的に見つけにいってほしいなとも思います」
「(差別発言など)起こることや見聞きすること自体は変わらないかもしれないけど、そのような言葉自体を自分の中に入れずに、『違う』って跳ね返すことができるんじゃないかなと思います」
同じく、LGBTQの若者対象の相談でサポートスタッフを務める向坂あかねさんは、こう訴えます。
「差別発言をする人がいるのは、皆さんそして私たちがLGBTQであるからではなく、社会にトランスフォビア、ホモフォビアがあったり、そのような人がいるからです」
「私たちがLGBTQであることは、なんの関係もないと伝えたいです。差別する人たちの問題だということを知っていてください」
プライドハウス東京レガシー(東京都新宿区)では、24才以下のLGBTQの当事者や、そうかもしれないと感じている子ども・若者を対象に、日本語と英語、筆談で無料相談を行なっています。
性自認や性的指向に関すること、コロナ禍で生きづらさを感じていること、社会の中でモヤモヤすることなど、なんでも相談できます。
相談はプライドハウスの開館日の月曜・火曜・金曜・土曜・日曜の週5日間、午後1時〜7時に実施。
Eメール(care@pridehouse.jp)のほか、Googleフォームで予約ができます。当日に来館してから、空いている枠で相談することも可能です。
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