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衆議院の女性比率はさらに後退。9.7%の数字に「腰を据えた本気の改革が必要」

10月31日に投開票された衆院選。NHKの開票速報によると、新たに当選した議員のうち、女性は465人中45人で、全体の9.7%。前回よりも減る結果となった。

10月31日に投開票された衆院選。NHKの開票速報によると、新たに当選した議員のうち、女性は465人中45人で、全体の9.7%。前回よりも減る結果となった。

2017年に行われた前回の衆院選では、女性の当選者は47人(10.1%)。政治におけるジェンダーギャップを問題視する声が高まるなか、現実はむしろ後退した。

衆議院の女性比率は「9.7%」に

女性議員や候補者の政治活動をサポートしている「Standy By Women」代表の濵田真里さんは「前進したのではなく、後退したことがまずショッキング。女性を増やしていこうという機運、注目は高かったが、9.7%と1割にも満たない数字で非常に残念」と語る。

世界経済フォーラムが今年3月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数2021」で、日本は156か国中120位と、G7諸国の中でも圧倒的な最下位を記録した。特に政治分野の評価が低く、156か国中147位だった。

今回の衆院選は、各政党に男女同数の候補者を擁立するよう努力義務を課した「政治分野における男女共同参画推進法」の施行後、初めて行われた国政選挙だった。

しかし、候補者1051人のうち、女性は186人で17.7%。政党別では、与党の自民党(9.8%)と公明党(7.5%)はいずれも1割未満だった。

ジェンダー関連の政策を押し出していた、立憲民主党も18.3%と振るわず、枝野幸男代表はBuzzFeed Newsのインタビューに「正直に言って、大変残念です」と話していた。

国は昨年末に閣議決定した「第5次男女共同参画基本計画」の中で、衆議院と参議院の候補者に占める女性の割合を、2025年までに35%に引き上げるという目標を掲げている。

今回の選挙でこの目標を満たしていたのは、共産党(35.4%)と社民党(60.0%)の2党のみ。全体でこの数値を達成するためには、あと4年で現状の2倍に引き上げなければならない。

腰を据えた本気の改革が必要

今年6月に改正法案が成立した「政治分野における男女共同参画推進法」の基本原則には、国政選挙や地方議会選挙は「男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指して行われるものとする」と書かれている。

法案が審議された際には、候補者の男女同数を義務化することも検討されたが、自民党などの反対を受けて、拘束力のない「努力義務」までとなった経緯があると、濵田さんは指摘する。

「女性議員を増やすための議論においても、各政党の足並みが揃わなかったことも、今回の結果の大きな要因にあると思います。数値目標を義務化するくらいの強いルールを設けないと、なかなか現実は変わらないのでは」

さらに、各政党が候補者を擁立するプロセス自体にメスを入れていく必要があると指摘。

「野田聖子・男女共同参画相は公示前の10月15日に、『現職優先のルールがある。圧倒的に男性が現職で、押しのけて女性といかなかったことを自省している』と発言していました」

「そうしたルールも含め、党内の候補者擁立までのシステムが変わっていく必要がある。腰を据えた本気の改革が必要ではないでしょうか?」

「次の選挙へのスタート地点」

政治におけるジェンダーギャップはいつになれば解消できるのか。濵田さんは「選挙や選挙後だけ、声をあげても現実は一気には変わっていかない」と語る。

「選挙前はメディアでも一気に注目が高まり、SNSでも『選挙に行こう』と盛り上がりますが、一時のお祭りのように過ぎ去ってしまってはもったいない」

「選挙が終わったら終わりではなく、今は次の選挙へのスタート地点」

「次は来年7月に参院選が予定されていますが、ここをスタート地点だと思って、応援したい議員さんをサポートしたり、自分で声をあげてみたり、日々興味・関心を持って、声をあげる人たちが増えないと変わっていかないと思います」