• lgbtjpnews badge

「涙が止まりませんでした」「夢のよう」 同性婚訴訟、札幌原告たちが語った喜びと決意

札幌地裁(武部知子裁判長)は3月17日、法律上、性同士の結婚を認めない現在の法律は、「合理的根拠を欠く差別的取り扱いに当たると解さざるを得」ず、「違憲」だと明言する判決を言い渡した

「異性愛者と同性愛者という『生まれながらの違い』で差別をすることは、憲法14条に違反すると裁判長がはっきり仰ってくださったので、私は涙が止まりませんでした」

「夢のようです。まさかこんな判決文を裁判長が読み上げてくださると思っていなかったので、本当に嬉しい気持ちです」

札幌地裁前の大通りがレインボーフラッグに彩られるなか、同性婚の実現を求めて、国との裁判に臨んできた原告たちは、口々に喜びをあらわにした。

日本各地で同性カップルが一斉に国を提訴してから2年あまり。

札幌地裁(武部知子裁判長)は3月17日、法律上、同性同士の結婚を認めない現在の法律は、「合理的根拠を欠く差別的取り扱いに当たると解さざるを得」ず、「違憲」だと明言する判決を言い渡した

司法による違憲判断を求めて、訴訟を起こした原告たちにとっては、実質的な勝訴とも言える画期的な判決。

原告の国見亮佑さんは「同性愛者の多くは、自分は異性愛者と違って、差別を受けて当然だというような気持ちがあったと思います。でも今日の判決は『そんなことはないんだ』と力強く受け取ることができるものだった」と語った。

判決後に、札幌市内の弁護士会館で開かれた会見には、原告のカップル3組中2組が参加した。それぞれが語った判決への思いを紹介する。

国見亮佑さん「同性愛者が結婚を選択できる世の中に」

異性愛者が婚姻の制度を使えるのに対して、同性愛者が使えないことについて、判決は「合理的根拠を欠く差別だ」と言ってくれて、涙が止まりませんでした。

私は40台半ばの同性愛者として、パートナーと20年近く暮らしている中で、自分が同性愛者であることにも誇りを持って生きてきたつもりです。

でも、裁判長が異性愛者も同性愛者も性的指向が違うだけで、一緒なんだとはっきり言ってくれたのは、本当に良かったと思っています。

今回の訴訟で同性婚の実現を求めているのは、私自身のパートナーとの結婚はもちろん、同性愛者が結婚を選択できる世の中にしてほしいという思いがまずありました。

これまで私たちは、国から「同性婚は想定していない」という言葉ばかり聞かされてきました。尾辻かな子議員が国会で質問した時にも「想定していない」とずっと言っていた。

もう、「想定していない」という言葉でごまかさないでほしいです。

今回の判決では、国会に立法不作為があるとは認められないとの内容でしたが、私は国会の責任はあると思っています。本当にサボんなよと。司法に言われたからやりますじゃなくて、国会が自主的に、積極的に、法整備を進めていってほしいと思います。

たかしさん「大事な一歩、でもゴールではない」

2年前に提訴した時も会見をやりました。裁判自体が初めてのことで、記者の方が大勢並んでいて、マイクも並んでいる状況で。

本当に無我夢中、緊張を通り越した状態で、裁判にかける思いを一生懸命しゃべっていたのが2年前だったんですよね。

それが今日は、さらにすごい数のカメラと記者が目の前にいて、感慨深いものがあります。

判決の言い渡しでは「違憲」という言葉出たその瞬間、傍聴席で何かが動いた気がしました。何か空気が動いたような感覚でした。一生忘れない瞬間でした。本当に感無量としか言いようがないです。

この2年間の裁判の間、国の主張はこちらの議論をただかわされてきたという印象が強くありました。今日の判決は大事な一歩だったと思うんですけど、ゴールではないので、やはり二歩三歩と進んでいかなければならないと思います。

この一歩のために、弁護団の先生方がどれだけの時間と労力を費やしてきたか。私たち原告にできることといえば、これからも自分たちのリアルな姿を出して、伝えていくことしかないと思っています。

Eさん「生きる勇気と希望を与える判決」

今回の違憲判決は間違いなく、いま他の地裁で進んでいる同じ結婚の自由をすべての人に訴訟でも、プラスの影響があると私は思っています。

先ほど記者の方から、同性婚の問題は命に関わる問題ではという言葉がありましたが、本当に私もその通りだと感じています。

結婚ができないということは、自分はこの国では結婚を許されない者なんだ、そんな性的指向で生まれてしまったんだと、当事者は真っ先に目の前が暗くなるようなことです。

もちろん性的指向に気付く年齢は人それぞれだけど、多くは思春期に気付きます。

明るい未来の選択肢を描けるはずの年頃なのに、すでに未来への希望を断たれてしまっている。自分がここに存在していいのかがわからないという根源的な問いにも繋がると思います。

なので今日の違憲判決は、本当に今まだこの国いる人たちに生きる希望や勇気、このままでいていいんだと示した素晴らしい判決だったと思っています。

Cさん「弁護団の涙につられて…」

判決の言い渡しで最初にまず、請求を棄却すると言われた時は落ち込んで、「この2年間やってきたことは無駄だったんだ」という気持ちが湧きました。

それがその後、「違憲」だという言葉が出た瞬間に、弁護団の皆川(洋美)弁護士が、声を上げて泣き始めたんですよね。その声につられて、そこから先のことはあまり覚えていません(笑)本当に2年間続けてきてよかったなと思いました。

判決後、SNSを見ていも「これで同性婚できるようになるかもしれないんだ!」と喜ぶ人たちの声でいっぱいになっていました。今日の判決が「私たちも結婚できるかもしれない」という一筋の光になれたらいいなと思いました。