誰もが大人になる過程で悩み、経験する「性」のこと。
多くの人にとって、アダルトビデオがその“情報源”となっている現状について、実際に出演しているAV俳優たちが考えるトークイベント「AVの教科書化に物申す!」が11月4日、中央大学で開かれた。
「エンターテイメントとして楽しんで」
イベントを主催したのは、学生団体「中央大学SEXを考える委員会」。
現役AV俳優のしみけんさんと紗倉まなさん、女性向け動画で活躍する一徹さん、AVメーカー社長も務めるコンピューター園田さんが登壇。
産婦人科医のえんみちゃんこと、遠見才希子さんも議論に参加した。
では、実際どれだけの人が、AVを“情報源”としているのだろうか。
BuzzFeed Newsが10月26日から実施したアンケートでは、11月15日までに回答した472人のうち、47.2%がAVや成人向けコンテンツから性に関する知識を得ていると答えた。
一方で、実際に男優兼AVメーカーの代表として制作から撮影、販売まで関わっているコンピューター園田さんは、AVはフィクションであることを強調する。
「例えば監督さんの中には、30秒くらいで、はいカット!はいカット!と細切れに撮影していく人もいます」
「だから、完成した映像はきれいに編集されているかもしれないけど、現場では俳優さんたちがテンション上げては下げて…っていう状態で演技しているんです」
視聴者の関心を煽るパッケージ用の写真も、撮影が全て終わった後に別撮りすることが多いという。
「だからAVはフィクション、エンターテイメントとして楽しんでもらって。僕も、プライベートは正常位だけですから(笑)」と話した。
AVには「仕掛け」がある
しみけんさんも、AV内で俳優たちが作り出す仕掛けについて説明。その一つが、女優たちが行為のクライマックスで「潮を吹く」シーンだ。
「あれはモザイクがかかっていても、『すごいことをやっています』と分からせるために編み出された『演出』。実際に潮吹かせようとする男は、クソですから」
「そういう男は、自分の力を誇示しようとしてるだけ。女の子のことを考えたら、絶対にしない方がいいんです。だから実際にやろうとする男とは、全員連絡切った方がいい。そういうことがしたい男は、男優になってください」と語る。
実際にそうしたシーンを演じている紗倉さんは、「すごく気持ち良い時もあれば、あれ?今出てた?ってめちゃくちゃ他人事みたいなときもある」と語る。相手によっては、痛みを感じるときもあるという。
「実際女性の中には、やっぱりそういうことをする空気になったら、白けさせてしまうんじゃないかと思って、痛くても言いづらい方もいるじゃないですか」
「女性もこれはいやだって言えるように、自分からも伝えられるような努力とか心構えをすることも大事だと思います」
一方で、一徹さんは、セックスに至るまでのストーリーや関係性を重視した「女性向けAV」ならではの演出があることを紹介。
男優がコンドームを付けるシーンを必ず映すことが、その一つだ。
「男性向けのAVではカットされがちなんですけど、あるとき啓蒙的に載せたら、このシーンに相手の優しさを感じるという女性たちからの反響がすごくて。以降必ず付けるようになりました」
いつでも「NO」を受け入れる
イベントでは、セックスをする際のきっかけづくりや、どのように相手の意思を確認するべきかという「セクシュアル・コンセント」(性的同意)についても議論された。
実際に、ファンからしみけんさんに多く寄せられる「悩み」の一つが、どうすればデートからセックスへ誘えますか?というものだと言う。
「でも、そういうとき僕は『これさえ言えば、セックスに持ち込めるという台詞はない』と答えています」
「大事なのはデートから女の子を最大限楽しませて、この人だったらいいなって思わせることだからです。だから『食事』は前戯って思ってます」
一徹さんは、どのような意思確認が必要かは関係性や状況にもよるものの、いつでも「NO」と言えることが大切だと語った。
「例えば、いざ挿入というタイミングで『やっぱダメ』と相手が言ったら、それはもうダメなんですよ。部屋に泊まりに来たからそういうもんかな…?と思っても、『また次にして』と言われたらそこはちゃんとやめないといけないんです」
セックスとは、「相手を思いやる気持ち」だとしみけんさんは言う。
「お互いの同意があって愛を深めること。相手が何を考えてるかを知り、この人と結ばれてよかったなと感じることだと思います」
人に聞けない「セックスの悩み」に関する記事を厳選
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【日時】
2018年11月15日(木)午後10時〜
【配信先】
BuzzFeed Japan NewsのTwitterアカウント(@BFJNews)で配信します。
【ゲスト】
麻美ゆま(タレント・元AV女優)
太田尚樹(「やる気あり美」編集長)
【MC】
ハヤカワ五味(経営者)
大島由香里(フリーアナウンサー)
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