脳性まひの弟が、有名俳優の兄との思い出を語る。「腹が立った」でも「感謝している」
「兄は私にこう言った。『君につらい思いをしてほしくない。嫌なことからは、俺が守る』」
『バタフライ・エフェクト』や『スティーブ・ジョブズ』などに出演した、俳優のアシュトン・カッチャー(43)。彼には障がいを持つ弟、マイケルがいます。

母親のダイアンは、2005年にトーク番組の『オプラ・ウィンフリー・ショー』に出演した際、「マイケルとアシュトンの絆はかなり強いです。2人とも、子どもの頃はとてもやんちゃでした」と話しています。
2003年に、アシュトンはテレビのインタビューで、弟が脳性まひであることを明かしました。

脳性まひは、胎児から生後4週目までに、脳に損傷を受けたことによる後遺症を指します。
身体のバランス感覚の崩れや、運動困難、筋肉のこわばりなどがありますが、その程度や種類は人によってさまざまです。
そして2021年5月21日、マイケルは米ニュースサイト「Today Parents」の取材に応じ、当時の気持ちを述べました。

「アシュトンにとても腹が立ちました。それを彼に話したことを覚えています」

「脳性まひという障がいの『顔』になるのは嫌でした。そのため、自分の障がいの話はしてきませんでした」とマイケルは続けました。
しかし、アシュトンが障がいを明かしたことで、マイケルの人生は良い方向に変わったといいます。また、アシュトンを許すことができたそうです。

「アシュトンは、ありのままの私を許してくれました」
「彼の行動に感謝しています」
マイケルは続けて、幼い頃からアシュトンがいかに自分を支え、守ってくれているかを語りました。

「私は、障がいを持っていることで、さまざまなステレオタイプに分類されました。遊び場ではいじめられ、ありとあらゆる名前で呼ばれました。また、友達を作るのにも苦労しました」

「でも、いつもアシュトンが私を助け、支えてくれました」
マイケルは、他の子どもに障がい者差別的な中傷をされた時に、アシュトンが擁護してくれたことも語りました。

「兄は彼らにけんかを売りました」
「私のために立ち上がってくれたのです」
「いじめっ子たちにも、僕に敬意を持って接してほしいと兄は思ったみたいです」
「その行動は、私にとってとても意味のあることでした」
また、アシュトンはマイケルと遊びに行ったり、お泊まりしたりする際に、彼が仲間はずれにならないようにしたといいます。

「2人で友達の家に遊びに行くと、ほとんどの人は 『イエス 』と言ってくれたけど、たまに私に対して『ノー 』と言う人もいました。その際、アシュトンは『じゃあ、僕も行かないよ 』と言っていました」
「兄は私にこう言ったんです。『君につらい思いをしてほしくない。嫌なことからは、俺が守る』」
2021年現在、マイケルは妻と3人の子どもと一緒に、コロラド州で幸せな生活を送っているそうです。

また、マイケルは脳性まひ財団の代表者でもあり、障がいのある子どものシッターやヘルパーを探すことができるアプリ「Joshin」のアドバイザーも務めています。

「障がいのある子どもがいる場合、近所の人に気軽に面倒を見てもらうわけにはいきません。自閉症を理解している人や、栄養チューブの使い方を理解している人が必要です」

「『Joshin』では、そのようなニーズを理解しているシッターに頼むことができます」とマイケルは言います。
「自分の活動をとおして、さまざまな人に影響を与えることができて、嬉しいです」

「そして、もしこのような障がいがなければ、あるいは私が言うところの 『機会 』がなければ、このような活動はできなかったでしょう」
マイケルのインタビュー(英語)はこちらから。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:アシュウェル英玲奈