米ミネアポリスで起きたジョージ・フロイドさんの死亡事件をきっかけに、米国内外で「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」運動が広がり続けている。
米スターバックスは6月1日、人種差別に反対する旨のツイートをした。
「より包括的で公正な世界のため、私たちは人種差別と対峙します。私たちは、黒人の従業員、顧客、地域コミュニティと連帯して、(人種差別)に立ち向かいます。私たちは、傍観者にはなりません」
同社は4日にも運動を支持するツイートをし、人権団体に約1億円を寄付する意向を示していた。
スターバックスの従業員らの一部は、運動に参加するためアフリカ系アメリカ人の権利を主張するTシャツやバッチを勤務中に身に付けていた。ツイッターで運動に賛同する意思表示をしていたにもかかわらず、同社はこれに懸念を表明した。
元々、同社はあらゆる種類の政治的、宗教的、個人的なアクセサリーの着用を禁止していた。「Black Lives Matter」のグッズを身に付けることも、これに違反するとの見解だった。
また、BuzzFeed Newsが入手した社内報では、「黒人の権利を主張する衣服やアクセサリーを着用することは、誤解を招き、暴力を誘発する恐れがある」と経営陣が主張していた。従業員には同様の趣旨の動画も送られたが、現在は削除されている。

これに対し、「黒人の生活よりも、『不快に感じられる可能性』のほうを優先して考えている」「ツイッターでの意思表明はパフォーマンスだ」などと、従業員から批判の声が上がった。
また、スターバックスがLGBTの権利を支援するシャツやバッチなどの着用は例外的に認めていることも指摘された。
今月上旬にBuzzFeed Newsが行った取材で、スターバックスの広報担当者は、「組織的な人種差別」の撤廃には尽力していると話した。一方で、顧客とスタッフのための「安全で親しみやすい」環境を作ることが必要なため、ドレスコードの方針は変えないとのことだった。
しかし12日、従業員からの批判と報道を受け、「Black Lives Matter」グッズの着用を禁止する方針が覆った。

「スターバックスは、スターバックス・ブラックパートナーネットワーク(黒人従業員の団体)、コミュニティ、顧客と連帯し、自分を表現したいという従業員の気持ちを理解しています」とスターバックスは声明で述べた。
「この取り組みに向けた新しいステップとして(中略)アメリカとカナダの従業員に25万枚のTシャツを配布します。歴史的に重要なこの時期に、私たちの支援を表明したいと思います」
会社公式の「Black Lives Matter」Tシャツが配布されるまで、従業員は個人が所有するグッズの着用が許可された。
「Tシャツが届くまでも、運動への支援を表明したいという意見を従業員から聞いています。ぜひ自分らしく、サポートを示してください」と同社はツイートしている。
スターバックスの広報担当者は、個人が所有するグッズの着用が許可されるのは、公式のTシャツが届くまでの一時的なものだとBuzzFeed Newsに話した。
レポート:アルバート・サマハ
この記事は英語から翻訳・編集しました。