世界的シェフ、商標登録をめぐって他社へ圧力か。ネットでは「謝罪すべき」の声

    世界的なシェフ、デイビッド・チャン氏が運営するアジアンフード企業が、商標登録をめぐって、批判を集めている。

    世界的なシェフで、数多くのメディア出演も果たすデイビッド・チャン氏。

    そんな同氏が運営するアジアンフード事業「Momofuku(モモフク)」が、「チリクランチ(=“chili crunch”または“chile crunch”)」という名称を使用する、少なくとも7つの企業に対し、名称の使用停止を求めていたことがわかった。

    英ガーディアン紙の報道によると、Momofukuは現在、米国特許商標庁に、自社のブランド商品「chili crunch」の商標を申請中だという。

    報道を受け、実際にMomofukuから名称の使用停止を求められたという企業が、ネット上に名乗り出た。

    マレーシアの万能調味料サンバルを使用したチリクランチを販売するHomiahは、「90日以内に、チリクランチの商標の使用を中止するよう」求められていることを明かした。同社はインスタグラムで、「驚きと失望」を表明している。

    冷凍ギョウザを主力商品として販売するMìLàも同様に、Momofukuから名称の使用停止を求められたという。

    同社のCCOを務める俳優のシム・リウはXで、「『チリクランチ』という言葉の使用をめぐって、いろいろな企業をいじめているそうですね。『チリクランチ』の名称にふさわしいのはどちらなのか、目かくしで味をテストするのはどうでしょう」と、対決姿勢をあらわにしている。

    小規模なアジア系食品企業に対し、“事実上の販売停止”を求めるチャン氏に、ネットでは批判の声が集まっている。

    💬「アジア人はお互いを高め合い、欧米における我々の食と文化に対する認識と受容を広めてくれている」

    「アメリカで成功しようとしているアジア人の中小企業をいじめるのは、やめよう。企業利益のために文化を盗用し、商品化するのはやめよう」

    💬「あなたたちの製品は大好き。でも、他のアジア系経営者をいじめて、おとしめる行為は、卑怯だと思う。不買運動させていただきます」

    Momofukuは4月中旬、BuzzFeedの取材に応じ、声明を発表した。

    ((「Momofukuは、アメリカの味覚の多様性を高めることを使命としています。これは、自社のレストランやご家庭向けの製品を通じて実現しています。AAPIが創業したブランドの数々が、食品分野で遂げている大きな変革をサポートできるのを誇りに思います」

    「この1年で、チリクリスプ製品を販売していた複数の企業が『チリクランチ』という言葉を使用したブランド名に変更しています」

    「私たちは最初から、世界中のカリカリとした食感のスパイシーソースのすばらしい歴史に加わるのを誇りに思っていました。それは今も変わりません」

    「製品を作ったとき、私たち独自の名前がほしくて、『チリクランチ』という名称を、意図的に選びました。これは広いカテゴリーから区別を図るためであり、複数の料理の味を融合させた『チリクランチ』の独自性を反映したものです」))

    「商標を登録するのは、新しいカテゴリーで革新的な進歩を遂げているブランドが、より大きな企業によってコピーされるのを防ぐためです」

    「どのサイズの会社に対しても私たちの商標を守らないと、これらの大企業に対して何の手段も持たなくなります。大企業はしばしば勢いを増しているカテゴリーに参入しようと試みますから」

    「私たちの意図は、決してこのカテゴリーでの革新を妨げることではありません。私たちはこのカテゴリーを深く大切にしています」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙島海人