パレスチナ・ガザ地区での抗議デモで石を投げる車椅子の男性の写真が、何千回もシェアされている。この男性が、イスラエルとガザ地区の国境沿いで5月14日に行われたデモで殺害されたパレスチナ市民のなかの1人と誤認されたことがきっかけだった。
この男性は5月14日、あるツイートのなかで、ファディ・アブサーレハ(29歳)と誤認された。アメリカ大使館のエルサレム移転をめぐってガザ地区で行われた抗議デモの最中にアブサーレハが死亡した、と現地の通信社が伝えてからまもなくのことだった。
AFPカメラマンのマフムード・ハムズは、自分が撮影したこの男性はアブサーレハではなく、セイバル・アルアシュカール(同じく29歳)であることを確認したと語った。5月11日に行われた抗議デモの現場で彼を撮影したという。
この抗議デモでは、60人ものパレスチナ人がイスラエル兵によって殺害された。2008年に両脚を失ったアブサーレハも、そのなかの1人だった。
アブサーレハの友人であるワリード・マフムード・ルークは、アブサーレハを悼む以下のツイートを出した。ルークに取材したところ、彼はアブサーレハが死亡したことを認めた。
5月14日は、2014年のガザ侵攻以来、もっとも凄惨な一日だった。パレスチナ側の発表によると、この衝突で2700人以上が負傷したという。
8人の子どもが死亡し、そのなかには生後8カ月の赤ちゃんもいた。
今回の一連の大規模な抗議デモは、何千人ものパレスチナ人が毎週、国境に向かって行進する「帰還大行進」の一環だ。
おびただしい回数でシェアされている問題の写真を撮影したAFPカメラマンのハムズに取材したところ、写真に映っている男性アルアシュカールは、5月14日の衝突では亡くなっていないと思うと語った。
ハムズによると、彼は5月11日、国境での抗議デモに参加していたアルアシュカールと会った。その日は、アルアシュカールが参加した数回のデモの最後だったという。国境には多くの人々がいたが、それ以来、彼の姿は目にしていないとハムズは語った。