「ハマス支持者」「テロリスト」スカーフを巻いた男性に、女が暴言。憎悪犯罪で起訴

    米ニューヨークで、女は男性とその子どもに向かって暴言を吐いたうえ、熱いコーヒーを投げつけた。イスラエルとハマスの衝突を受け、アメリカではアラブ系やイスラム教徒に対する偏見に基づいた暴行が続いている。

    米ニューヨーク・ブルックリンの公園で、男性に「ハマス支持者」「テロリスト」などと暴言を吐き、男性とその子どもに向かって熱いコーヒーや携帯電話を投げつけたとして、女がヘイトクライム(憎悪犯罪)で起訴された。

    事件が起きたのは11月6日。男性は、パレスチナなどアラブ社会で男性が身につける伝統的なスカーフ「クーフィーヤ」を巻いていた。

    男性は1歳半の子どもとバスケットコートにいたところ、女が突然近づいてきて中傷が始まったという。

    女は「ハマス支持者が」「このテロリスト」「お前と子どもはあっちに行け」などの暴言を吐いたと、男性は証言している。

    男性がカメラを構えると女は激情し、手に持っていたコーヒーと携帯電話を2人に投げつけた。

    CNNの取材に対し、「ちょうど抱いていた息子を下ろしたところでした。抱いたままだったら、顔に当たっていたかもしれません」と男性は語った。

    「最初に彼女が私をテロリスト呼ばわりしたとき、嫌な予感がしました。その後事態が悪化し、より深刻になったので、息子を守るために安全な距離を保ちました」

    男性はその時の様子を撮影し、インスタグラムに投稿した。

    NBCによると、女(48)は11歳未満に対する暴行や9件の罪で起訴された。うち4件は憎悪犯罪にあたる。女は無罪を主張している。

    政治活動家で作家でもある男性は、約10年前にパレスチナ自治区であるヨルダン川西岸地区で働いていた。クーフィーヤはその当時贈られたものだという。

    パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエル軍との衝突を受け、アメリカではイスラム教徒に対する偏見や反アラブ的感情に基づいた事件や苦情が増加している。

    事件はアメリカを震撼させたが、アラブ系とユダヤ系双方への憎悪感情は広がっている。アメリカでイスラム教徒の権利を保護する非営利団体「Council on American-Islamic Relations」は、10月7日のハマスの急襲以来、1283件を超える苦情を受けたという。前年の同時期に比べると、216%増だ。

    同団体ニューヨーク支部局長のアファフ・ナシャ氏は「このように偏見に満ちた暴力を止めなければなりません」と語る。