「子どもを持つ夢さえもコロナに奪われる」引き裂かれる国際カップル。パートナーに「1年以上会えていない」人が多数

    新型コロナウイルスの世界的大流行で、海外にいるパートナーに長期間会えていない人々がいる。籍を入れている配偶者でない場合、国境を越えるのは苦労が多いのが現実だ。

    新型コロナウイルスの影響で、外国にいる恋人・パートナーに会えない人々がいる。

    #LoveIsNotTourism #愛は観光ではない というハッシュタグを使い、未婚のパートナーも出入国できるよう、条件の緩和を認めてほしいと訴える声がSNSに上がっている。

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    埼玉県在住の女性Aさん(21)は昨年12月13日、国際カップルを対象に、コロナ禍でパートナーと会えているかどうかのアンケート調査を実施した。

    Aさん自身にも韓国・ソウル在住の恋人がいるが、日韓相互の渡航制限によって1年以上会えていない状態だという。

    同じように海外にパートナーがいる知人2人とともに、日本語・英語・韓国語・中国語で調査を実施。SNSで知り合った同じ境遇のコミュニティに頼んだり、韓国のブログに掲載してもらったりと、オンラインで少しずつ拡散されていき、計550の回答が集まった。

    調査をしようと思ったきっかけは、政府・観光庁に「試験的な旅行パッケージプラン」を提案したいと考えたことだという。

    現在、入国の条件として、渡航前にPCR検査を受けて陰性証明書を提出することや、入国後の一定期間、自宅やホテルで待機する隔離措置を定めている国がある。

    Aさんは、PCR検査や隔離中の滞在場所などを含んだ旅行パッケージがあれば、海外にパートナーがいる人たちが国境を超えやすくなるのではと考え、試験的なプランを政府・観光庁に提案するために、このアンケートを実施したという。

    「私たちのような境遇の人が一定数いることを政府機関にアピールしたくて実施しました」と話す。

    「(パートナー・恋人と)会えなくてどれくらいになるか」という質問に対し、最も多かったのは「1年以上」で全体の約50%(273件)にのぼった。次いで「半年〜1年未満」と回答した人は全体の約35%(192件)だった。

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    グラフは日本語でアンケートに答えた人(444件)の回答の結果。「対面で会えていた時は友人関係だった」「オンラインで出会った」などの理由で、交際を始めてから「一度も会えていない」という答えもある。

    パートナーと会えないことで、またこの先もいつ会えるかわからないことで、精神面に悪影響が出ていると答えた人は全体の約91%(499件)に上った。うつや不眠など身体にも影響が出て、薬を服用するようになった人もいる。

    「すぐ落ち込むようになった」「ずっと不安を感じる」「イライラしている時間が長くなってしまった」などの声に加え、次のようなコメントもあった。

    「愛する人を画面上で見ることができても、ふとしたとき強烈な孤独感を感じてしまう」

    「出かけている人たちの姿や、(新型コロナに関する)悪いニュースをみると精神的な打撃が大きい」

    「1日に何回も、入国規制緩和関連のニュースをチェックしてしまう。1年近くニュースに一喜一憂していて、精神がもたない」

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    日本の入国条件は?

    国によって入国・出国制限はさまざまだ。

    日本の場合、再入国の場合を除いて、外国籍の人の入国はビザなしでは認められていない(6月15日時点、外務省ホームページ参照)。

    例外として、「特段の事情」がある人はビザを申請できるが、法務省が定めている新規入国者の「特段の事情」とは以下である。

    • 令和2年8月31日までに(みなしを含む)再入国許可をとり、現在上陸拒否の対象地域に指定されている国・地域に出国。行き先が上陸拒否の対象地域に指定された後、再入国許可の有効期間が過ぎて期間内に再入国することができなかった場合
    • 日本人永住者の配偶者、または子
    • 定住者の配偶者または子で、日本に家族が滞在している場合
    • 教育ビザまたは教授ビザを取得していて、本人が不在の場合所属する教育機関に困難が生じる場合
    • 医療ビザを取得していて、医療体制の充実・強化に貢献する場合


    日本で「配偶者ビザ」はあるものの、婚姻届を出していない相手に対する「パートナービザ」や、交際証明のもとでの「条件付きの滞在・観光ビザ」はない。「交際相手がいる」という理由での日本への入国は、現状「特段の事情」に含まれない。

    また、仮に状況が好転して出入国が今より容易になったとしても、国によっては一定期間の隔離措置を取る可能性が高い。

    隔離に関しては、日本語の回答者のうち約半数が「2週間可能」と答えた。 約36%は「隔離はできないが検査は受けられる」、約7%が「1週間可能」「1週間も不可能」と回答した。

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    他に「隔離は理解できるが、現実的に不可能」「検査だけでよければそのほうが好ましい」と答えた人がいる一方、「隔離も検査も受け入れられない」と答えた人もいる(2%)。

    隔離が難しい理由として目立ったのは、滞在費と休暇期間の問題だ。

    「(入国した場合)自費で2週間ホテルなどに滞在するのは、金銭的な負担が大きい」「2週間も会社を休めない」という声が多い。

    パートナーの入国を条件付きで認める国も

    オランダベルギードイツなどでは、結婚していなくても交際を証明でき、一定の条件を満たす場合、観光ビザやパートナービザでの一時的な滞在が認められる。

    条件は国によって変わる。例えばベルギーに入国したい場合、最低1年間の交際、その間に最低20日間、少なくとも2回会っていることを証明できれば、90日間の観光ビザがおりる。

    2人で写っている写真やメッセージのやり取り画面、国をまたいで行き来したパスポートのスタンプ記録などが「交際証明」となる。

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    オーストリアのように、同居の有無や交際期間の長さを規定していない国もある。パートナーと認証されれば、入国制限の対象から除外される。

    条件付きのパートナービザを、チェコは7月20日から、スイスやフランスは8月3日から開始する予定だ。

    アンケートの回答では、交際証明になるようなものを提出できると答えた人が多数を占めた。

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    Aさんは、上記の国のように日本も、せめて交際証明での滞在許可がおりるようになればと願っているそうだ。

    「ヨーロッパとは考えも状況も違うことはわかっています。でもいつか変わればいいなという思いで、活動しています」

    韓国大使館にも、「条件付きで観光ビザがおりないか」と問い合わせたが、やはり近いうちの対応は無理だと言われたという。

    入国制限緩和に「ワクチン接種済み」という条件があったらどうか。この条件に賛成(はい)の人は日本語の回答者で約40%、反対(いいえ)の人は約50%だった。

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    「はい」の理由としては、「入国先で感染を増やさないため」「入国先で自分を守るためにも、相手を守るためにも必要」「パートナーに会えるならなんでも良い」というコメントが多かった。

    一方で、「いいえ」と答えた人の中で最も多い回答は「副反応が心配だから(ワクチンを打ちたくない)」。効果を疑問視する声もあった。

    「ワクチンが必須となった場合、いつになるかわからないから」とコメントする人もいた。

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    「子どもを持つ夢さえもコロナに奪われてしまうのかと考えると…」

    Aさんによると、回答者はAさんと同世代の20代前半だけではなく「30代も多い印象」だという。Aさんいわくパートナーとの結婚や妊娠を考えている人もおり、その人たちにとってコロナ禍の1〜2年、もしくはそれ以上の年数は、大きなギャップとなる。

    「妊娠と出産を計画しているから考えているからこそ、ワクチンへの不安が高まるのかも(※)」とAさんは考察する。

    実際回答者の中には、次のようにコメントを残している人もいる。

    「年齢的に不妊治療をしており、婚姻届を出し次第子どもを作りたいと思っていましたが、1年近く会えないまま、ひとりで排卵検査やホルモン治療を続けています。子どもを持つ夢さえもコロナに奪われてしまうのかと考えると、メンタルが押しつぶされそうです」

    ※ワクチンをめぐって、「ファイザー社の公式サイトに不妊症を引き起こす可能性があると記されている」などという情報が拡散されたが、これは「誤り」だと判明している。


    近日中に、続編を配信予定です。パートナーと会えない期間が長引くことで日常生活にどのような支障があるのか、国際カップルの認知を求める活動での苦悩などを、当事者が語ります。