火曜夜10時から放送中のTBSドラマ『わたし、定時で帰ります。』が、来週6月25日に最終回を迎える。
そんな中、ニューヨーク・タイムズ紙がドラマについて報じた。記事の見出しは、「日本では人気のテレビ番組:会社員は定時で帰れるのか?」。ドラマが視聴者に向けて発信している「働き方」にまつわるメッセージは、海外でどのように受け止められているのだろうか。
ドラマの舞台はWEB制作会社。吉高由里子さん演じるディレクターの東山結衣は、「絶対に残業しない」をモットーに働いている。勤務中は効率よく仕事をこなし、定時になると即退社する結衣が、周囲の曲者社員たちに立ち向かうストーリーだ。
だらだらと残業する社員や、ワーカホリックの社員、部長などは結衣の職務態度が気に食わない。しかし結衣のモットーが周囲の「働き方」に対する考え方を少しずつ変えていく。
同紙の記事では、「危険なほど強烈で、時には命にも関わる労働倫理を持つ」国民の共感を得て、ドラマの人気が出たと書かれている。
日本人の労働時間が長いことや、日本で働く女性が直面する困難についても触れながら、これらの問題が人々の認識の中に深く根付いてしまっていると警鐘を鳴らした。
日本人が抱く「勤勉であること」への文化的価値に加えて、「昇進は実際の生産性よりも、デスクで過ごす時間に依存していることが多い」という。雇用主は残業に頼ることでコストを削減し、従業員は残業代のために長時間働いて上司を喜ばせるという縮図が様々な会社で見られる。
「日本政府は長時間労働を減らし、仕事に関する文化的規範を変えるための対策を講じてきた」が、「仕事は個人的な犠牲を伴うという考えが日本文化に深く根差しており、それが他の社会問題も悪化させている」と記事は分析している。
記事には読者からのコメントが寄せられた。
「日本の企業で働いたことがあるが、過剰な労働時間はイノベーションも低下させる。日本人は働くことに一生懸命で、古くて非効率的なプロセスそのものを修正することを忘れてしまっている。その代わりに、長時間働くことで帳尻を合わせようとしている」と1人は書いた。
また、長時間労働が「(日本の)人口減少の理由の1つなのかもしれない」と言う読者もいる一方で、「残念ながら、日本に限った話ではない」、「このドラマのアメリカ版も必要」という声もある。
Twitterでもコメントが寄せられた。
日本国内でも、「定時で帰る」というドラマの主題は様々な形で捉えられている。
「仕事は時間ではなく、成果」、「大事なことは『何時までいる』ということではなく『いかに生産性をあげるか』」というように、ドラマのメッセージに対して肯定的な意見もあれば、一方で、「現実には、仕事ができずに周囲の足を引っ張っている人が定時に帰るわ、有給すべて消化するわ、という例が多い」という声や、生産性だけを追求してしまうと排除される人や仕事が増えるのでは、と心配する声もNewspicksには寄せられている。
ドラマが海外メディアで取り上げられたことに関しては、「日本はやっぱり働きすぎと言う事実は海外でもNorm(一般的)なんですね笑」とツイートされた。
『わたし、定時で帰ります』最終回は6月18日に放送予定だったが、同日の午後10時22分ごろに山形県沖で発生した地震の影響で番組の放送を延期した。
主演の吉高由里子さんは、ツイッターで「娯楽は命あってのお話です」とコメントしている。