オーストラリア森林火災 海外セレブをとりまく複雑な「寄付」事情

    オーストラリアで昨年9月から続いている大規模な山火事。クリス・ヘムズワースやカイリー・ジェンナーなど、俳優やインフルエンサーなどの海外セレブたちが相次いで多額な寄付をしている。

    オーストラリアでの森林火災は、いまだ衰える様子を見せない。その被害は過去最悪と言われ、これまでに約1800万エーカー(約7万2800平方キロメートル)の土地が焼かれ、少なくとも24人の犠牲者を出している。

    そのうえ、シドニー大学によると4億8000万匹の動物たちが命を落とした。

    セレブたちによる多額の寄付が相次ぐ

    これを受け、世界のセレブリティたちがこぞって義援金を集めたり、自ら多額の寄付をしたりする動きが強まっている。

    『アベンジャーズ 』や『マイティ・ソー』シリーズへの出演で知られるオーストラリア出身の俳優、クリス・ヘムズワースとその家族は母国に100万ドル(約1億800万円)を寄付したとインスタグラムに投稿した。

    「オーストラリアの森林火災は甚大な被害をもたらしている。…僕たちに必要なのはみんなのサポートと寄付だ。僕は100万ドルを出そう。どんな形であれ、みんなも貢献してくれることを願っている。どんな額でも歓迎だ」と、動画で協力を呼びかけた。

    同じくオーストラリア出身のラッセル・クロウも精力的に活動している。多額の寄付はもちろん、自身も消火活動に参加し、ツイッターなどSNSで積極的に発信している。

    アメリカ現地時間5日に行われたゴールデングローブ賞授賞式では、リミテッド・シリーズ部門で主演男優賞を受賞したにもかかわらず授賞式を欠席し、森林火災の現場からメッセージを伝えた。

    女優ニコール・キッドマンと歌手キース・アーバンの夫婦は、50万ドル(約5400万円)を地方消防局に寄付。

    「私たち家族の支援、思い、祈りは、オーストラリア中の火災の影響を受けた全ての人と共にあります。多くの活動と支援を行っている地方消防局に、私たちは50万ドルを寄付します」とインスタグラムに投稿し、各消防局の情報を添えて同じく協力を呼びかけた。

    他にも、有名コメディアンのエレン・デジェネレスはクラウド・ファウンディングを立ち上げ、義援金の目標額を500万ドル(約5億4000万円)に設定した。

    テニスのノバク・ジョコビッチ選手とマリア・シャラポワ選手は、共同で1万7400ドル(約190万円)を消防局に送金した。

    寄付をめぐって炎上も

    一方で、オーストラリアへの支援をめぐり批判を受けたセレブもいる。

    モデル、インフルエンサーのカイリー・ジェンナーは、インスタグラムのストーリーに「(約)5億匹もの動物がオーストラリアで死んでいます。心が痛い」と投稿したあと、本物の毛皮で作られた高級ブランドのスリッパの写真を載せた。

    ツイッターでは、「本当に動物の命を大切にしているのか」と疑問視する声が多く上がった。

    この批判が背景にあるのかは定かではないが、ツイッターでカイリーを批判するツイートが拡散した直後、カイリーは100万ドル(約1億800万円)を寄付。多額ではあるものの、「動機が不純」「自分を『良い人』に見せたいだけ」と一部からはさらなる批判を呼んだ。

    セレブの「寄付」は何のため?

    一方で、カイリーの異父姉でモデルのキム・カーダシアンは、「寄付をしないこと」に対する批判を受けた。

    ツイッターで6200万人を超えるフォロワーを抱えるキムが「気候変動は現実」とツイートしたところ「カーダシアン家やジェンナー家が気候変動や山火事について語りながら、一銭も寄付しない。これほど、私を熱くさせることはない」と皮肉まじりのコメントが返された。

    これに対し、キムは「人々は、私たちが何を寄付したのか知っていると思っていて、さらに私たちが全部公表しないといけないと思っている。これほど、私を熱くさせることはない」と辛辣に返した。

    nothing gets me more heated than to see people think they know what we donated to and to think we have to publicize everything https://t.co/9qW1h2eZXe

    ツイッターでは、「普段、贅沢な生活はたくさん見せているのに、なぜ寄付は公表しないのか」とさらなる反論があったが、キムの妹、クロエ・カーダシアンは姉を擁護した。

    クロエは「私たちは(寄付したことを)自慢する必要はない」とツイート。

    「良い行いは(自分の)意図によってなされるべきで、注目を集めるためであってはいけない」とも書いた。

    Good deeds should be done with intention and not for attention. We are all blessed to be able to bless others even if it is in the slightest way. But we do not need to be boastful about that. Be boastful in regards to teaching others how they may be able to help as well.

    サムネイル画像:Getty Images