28年前、セーラームーンに出会って私の人生は決まった。夢みたいなクローゼットが最高すぎる!

    「セーラームーンと寄り添い生きて、最期はお葬式をして人生の幕を閉じたい所存です」

    継続は力なり、好きこそ物の上手なれ。

    「見えないゴールを永遠に追っていける幸せを、噛み締めながら作っていきたい。自分の中に伸び代がまだまだあるのが楽しい」

    そう話し、あるアニメの衣装を独学で制作するコスプレイヤーがいます。

    1990年代に朝日系列で放映されていた美少女戦士セーラームーンシリーズ。

    その衣装が「再現度が高すぎる」と、Twitterで話題になっているのです。

    主人公である「月野うさぎ」のクローゼットを忠実に再現しています。素晴らしい……!

    うさこさんのTwitterより / Via Twitter: @princessusako

    2次元のお洋服が現実になるなんて、夢を見ているようです。

    うさこさんのTwitterより / Via Twitter: @princessusako

    BuzzFeedは1992年の「美少女戦士セーラームーン」放映時から作品が大好きだという、うさこさんに話を聞きました。

    提供写真

    「放送当時からセーラームーンが大好きで、グッズもたくさん集めていました」

    後に「コスプレ」という表現方法があると知り、地元の同人誌即売イベントにも足を運ぶようになったと語ります。

    20年前は既製品として売られている衣装はなく、自分で作るしかなかった時代。セーラームーンのコスプレ衣装全般を作るようになりました。

    いまも全セーラー戦士の戦闘服から制服、プリンセスになった時のドレスに敵キャラのものまで、セーラームーンのキャラなら何でも自作しているのだと話します。

    「今回のうさぎちゃん私服はその延長線上で、約2年前位から本腰を入れて制作を開始しました」

    写真を見る限り、月野うさぎに毎日なりきって生活できるくらいの数があります。作られたお洋服は普段から着ているのか聞いてみると……?

    「私服としてのリアリティを追求して作っているので、もちろん実際に日常着として着ても違和感はありませんが、現在はコスプレとしてうさぎちゃんになっている時のみ着用しています」

    キャラクターの「私服」をたくさん作る理由は。

    「最終目的は自分が着ることではない」と話します。

    「いつか死ぬまでにうさぎちゃんの部屋を丸ごと家の中に再現し、そのクローゼットにズラリと並べる事が人生の野望です」

    「うさぎちゃんがあたかもこの空間に居るような空気を感じたい、ただそれだけの為に頑張っています」

    作られたお洋服の中でも一番のお気に入りを尋ねると、初登場6話の私服だといいます。

    提供写真

    「第6話『守れ恋の曲! うさぎはキューピッド』は、大人の恋にうさぎちゃんが首を突っ込むストーリーなのですが、全体的にシックな雰囲気で、子供心にとても印象的な回でした」

    「うさぎちゃんが変装ペンで変身する時に『かっこいい大人のミュージシャンになーれ!』とわざわざ"大人の"を付け加えている所も、背伸びをしている等身大の女の子が見事に表現されていてとても共感できました」

    このお話で大事な演出に使われているのは「雨」。

    シトシトと降る雨が、街の雰囲気を物寂しげにしている所が重要ポイントなんだとか。

    「実はこのお洋服は今日がおろしたて。転んで濡らした矢先『おニューの服なのに!』と本編で彼女が嘆いているのですが、お出かけが憂鬱になりそうな雨の日にわざわざ新しい服を選ぶ所からも、少しでも気分を上げる為にオシャレをしたうさぎちゃんの乙女心が見えるようでトキメキます」

    「そこに加え、私服のカラーに合わせた傘までさしているんです。まさに雨の日のお出かけ用として完成された私服といっても過言ではありません」

    「この一着は雨の日のストーリーを最大限に生かす演出をされた幾原邦彦さんと、作画監督只野和子さんの私服デザインが融合して作り上げられた奇跡の私服だと思います」

    エピソードを踏まえ、雨の日の特別な一着を、うさぎちゃんの乙女心に応えるためにも立体化するなら適当な物は作れないーー。

    そんな気迫の元、こちらの私服は型紙から力を入れて制作したと話します。

    「シンプルなデザインなので体のラインに気を付け、型紙の数を増やしシルエットを綺麗に出すよう努力しました。袖部分も二枚袖にしたので動きやすくスマートな仕上がりになっています」

    お洋服以外にこだわったのは、傘の素材だと語ります。

    「市販のビニール傘を解体し、青と白の防水生地を貼って仕上げたのですが、最近の傘は素材が変わったのか骨組が黒の物ばかりで、シルバーを探すのに中々手間取ってしまいました」

    「20年も経つと傘の材質も変わってくるなんて……そんな目からウロコの案件でした」

    セーラームーンのお洋服のどんなところに魅力を感じるのでしょうか。それは「記憶に強烈に刻まれた印象」だと話します。

    提供写真 / Via Twitter: @princessusako

    「私服は単体の魅力というよりは、着ていたシーンのストーリーと結びついている事が重要だったりします」

    「うさぎちゃんがあの時着ていたこの私服……と、記憶に強烈に刻まれた印象で服を見ただけでフラッシュバックしてくるんです」

    「引用リツイートのコメントなどを見ていますと、反響が大きかった一着に「虫食い水着」があります」

    「これには彼女が久々にタンスから出したピンクの水着が虫食いだらけで、その穴を隠す為に黄色いリボンを付けた、というエピソードが連結されています」

    「それが一瞬のうちに記憶の底から引き出され『虫食いの水着だ!』と懐かしさでいっぱいになるのがたまらない魅力だと思います」

    独学で衣装を作られてきたうさこさん。今まで費やしてきた費用や時間は……?

    「私服に限って言えばここ2年ほどですが、長年技術を培ってようやく今制作を始めたと思えば、時間は約20年間と言ったところでしょうか」

    コスプレを始めて20年、年間50着くらい作った年もあったといいます。

    「積み上げてきた継続と経験があるからこそ、今作りたいイメージの一着が仕上げられるのだと思います」

    うさぎちゃんの私服は予算にすれば1着5000円ほど。

    しかしプリンセスのドレスともなれば材料費が1着10万を超える事も。

    「全部の費用はちょっと怖くて数えられません」

    最後に作品への愛を語ってもらいました。

    セーラームーンという作品には「ただ可愛いとかキラキラしているとか、それだけでは終わらない奥深さがある」のだと話します。

    「彼女たちはどこにでもいる普通の女の子で、決して戦いたい訳ではなく、自分にとって大切な存在を護る為に辛い戦いをしています」

    しかもそれが遥か遠い未来にまでずっと続いていくと思ったらどれだけ恐ろしい事か、考えただけで背筋が凍り付くんだとか。

    「このような深い部分は、大人になった今だからこそ理解できるようになったように思います」

    また、セーラー戦士と対峙する敵キャラの魅力もセーラームーン作品の素晴らしい部分。

    「敵と呼ばれる立ち位置の方々も悪者だから倒す、という単純な存在では決してありません。戦うだけの理由があり、自分の強い信念を持ってセーラー戦士と対峙しています」

    「逆を返して言えば、セーラー戦士が全てに置いて正義だとは言えない部分もあります」

    「立ち位置が違えば見える風景も変わってくる、一方だけの意見を聞いて全てを理解したとは決して言えない事をセーラームーンから学びました」

    Contact Reona Hisamatsu at reona.hisamatsu@buzzfeed.com.

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