春ーー。それは「喜びの季節」のはずだった。
厚いコートをクローゼットに封印し、気持ちがときめく可愛い春服を着て、外出する。
例年待ちわびていた季節だった春。
コロナ禍で思うようにファッションを楽しめず、推しにも会えない。
そんな日々を送る女性の描いた漫画が共感を呼び、話題になっています。
冬を越えて、コートに隠されることなく自己表現ができる季節。それは春。
新型コロナウイルスに楽しみを奪われた。そんな中、約1ヶ月ぶりに身だしなみを整えてみようと思い立った。
この春に着ようと思い、買い揃えていた服。
好きなものに囲まれて、気付いたことがある。「好きな人に会えないのにがんばるのむり」。
誰にも会えないからこそ、準備する労力を自覚した。
どうして胸の内を漫画に描いたのでしょうか。BuzzFeedは作者のyuiccoさんを取材しました。
普段から好きなひと・もの・ことを発信するイラストや漫画を描いている彼女。
「外出自粛が始まってから、仕事が在宅勤務になりました。何日かしてすぐ漫画に描いたような堕落した状態になったのですが、Twitterには毎日きちんとメイクした女の子たちが流れてきて、なんで私はこういうふうにがんばれないのだろうか…と落ち込みました」
いつも、メイクをしたり好きな服の中からコーディネートを考えたりする時間は胸が高鳴る、楽しいひとときだったといいます。だからこそ……。
「外に出れなくても、フルでおしゃれをすれば、気持ちが前向きになると思い、やってみようと思い立ったんです。そしてその時のリアルな気持ちを漫画にしようと思いました」
「始める前は楽しい気持ちで満たされると思っていた」と語りますが、変身後には……?
「用意していくうちに、『このピンクのマスカラ推しメンに褒められて嬉しかったな』とか『この服は春になったら現場に着ていこうと思ってたやつ』とか『友達を好きな服屋さんに連れて行って買ったな』とか、好きなアイドルや友達、古着屋の店員さんなどのことばっかり思い出してしまって、会えない寂しさが募ってしまいました」
そこで、気がついたことがあったのだとか。
「身支度をする作業は、楽しい時間だし達成感もあるけど、地道で大変で労力がかかります。変身した後は、好きなものに包まれて気分が上がったのですが、いつもとはなんかちょっと違いました」
やっぱり「好きな人たちの存在が大きいんだなあ」と再認識。
「例えばアイドルと一緒に撮ったチェキを見返したときに、『この日は時間なくてテキトーな格好しちゃったな』とか『この日のコーデは100%お気に入りだった』とか『夏のライブで、今日は着席だから浴衣を着たい』とか写真と一緒にそういう気持ちも思い出せるので、なるべく明るい気持ちを残したいというのもあります」
「好きな人に会うときは好きな自分でいられると自分が嬉しいんです」
とはいえ、おしゃれには「労力」がかかることから、yuiccoさんにとっては「がんばるって感じ」なのだと話します。
「そのがんばるきっかけの一つとして、やはり好きな人たちの存在が大きいんだなあと感じました」