「お願いです。補聴器をイヤホンと思わないで」。警察官の注意に当事者から悲痛な声。

    耳の不自由な男性が何度も同じ内容をツイートしているのには、理由があります。

    「イヤホン」をつけて自転車に乗っているわけではないのに……

    Carl Court / Getty Images

    自転車は身近な乗り物ですが、その乗り方は法律などで定められています。

    2015年6月1日の道路交通法一部改正により取締りが厳しくなって以降、都道府県によっては、規則や条例でイヤホンをして自転車に乗ることを禁止している地域もあります。

    そんな中、耳の不自由な男性が、自転車に乗っていて起きた出来事をツイートし、議論を呼んでいます。

    「どうかお願いです。補聴器をイヤホンと思わないで」

    #拡散希望 どうかお願いです。 補聴器をイヤホンと思わないで。 自転車に補聴器を付けて乗っていたのですが、警察官に注意されたので、誤解を招かないよう説明したのですが、「イヤホンと誤解するから外せ」と。 補聴器を外せば何も聞こえず、 事故の可能性が高くなります。 どうか拡散お願いします

    高田哲章さんのTwitterより

    《自転車に補聴器を付けて乗っていたのですが、警察官に注意されたので、誤解を招かないよう説明したのですが、「イヤホンと誤解するから外せ」と。

    補聴器を外せば何も聞こえず、事故の可能性が高くなります。どうか拡散お願いします》

    4万人以上が拡散したこの投稿。

    リプライでは「私も同じく補聴器つけてます。お気持ちよく分かります」「私に出来る事があれば協力させてください」など共感を表す言葉や警察に対する怒り、疑問の声が寄せられています。

    BuzzFeed Newsは投稿者である高田哲章さんを取材しました。

    今まで自転車に乗っている時に警察官などから指摘を受けた回数は計6回だと話します。

    提供写真/高田さんの補聴器

    「ただ、理不尽に外すよう注意された回数は今回も含め3回目。そのため同様のツイートを昨年、一昨年に3回行いました」

    高田さんは難聴です。

    「私は補聴器がなければ、冷蔵庫が半開きになった時のピーという音、環境音などがほとんど聞こえず、生活ができません」

    今回の場合、「イヤホンをつけながら自転車に乗らないでもらえるかな」という警察官に「補聴器です」と答えました。

    しかし。

    「『イヤホンと誤解して不安がる人がたくさん出てくるから外すか、自転車に乗らないか、どちらかにしようね』といった旨のお返事をされ、止むを得ず外しました」

    「自宅へ向かう最中であったため、幸い無事で済みましたが、補聴器がなければ事故が起こり得ます」

    自転車に乗る時にイヤホンを禁止する規定が存在する理由は、音楽を聴いていて車のクラクション等、周囲の音が聞こえなくなると、安全な通行ができなくなるからです。

    耳が不自由な人が補聴器を外せば、周囲の音が聞こえなくなって危険性が高まります。「聴覚障害者は自転車に乗ってはならない」などという法律もありません。

    この警察官の指摘は、イヤホンを禁止するルールがある理由を理解していないとしか、言えません。

    首相「補聴器で自転車に乗るのは問題ない」

    この問題は国会でも以前、取り上げられています。

    衆議院で2015年6月、安倍晋三首相が「聴覚障害者が補聴器を使用して自転車を運転することは禁止されていない」としたうえで、「引き続き適正な指導取締りがなされるよう都道府県警察を指導したい」と答弁しています。

    この答弁を見ても、補聴器をして自転車に乗ることに問題はなく、それを取り締まろうとする警官の方が間違っている、ということになります。

    広く補聴器の存在を理解してもらえるよう、高田さんは以下3点を伝えたいといいます。

    ・補聴器とイヤホンの混同を避けること

    ・警察官「全員」が必ずしも正しいとは限らないこと

    ・補聴器がなければまともに生活できない人がたくさんいるということ

    理不尽な思いをする人が少しでも減りますように。

    Contact Reona Hisamatsu at reona.hisamatsu@buzzfeed.com.

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